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FRBは今月16日、インフレへの対応を急ぐため、ゼロ金利政策を解除して金融の引き締めに転換し、政策金利を0.25%引き上げることを決めました。

これについてパウエル議長は21日の講演で「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の前から、ことしのインフレ予想は大きく悪化するとみていた。供給サイドが改善する時期や範囲は極めて不確かだ」と述べ、サプライチェーン=供給網の混乱などを背景に、想定を超えてインフレが長期化しているという認識を示しました。

そのうえで、今後の利上げのペースについて「より積極的に動くことが適切だと判断した場合は引き上げ幅を0.25%よりも大きくする」と述べました。

この発言は今後、1回の会合で利上げの幅を0.5%と、通常の2倍にする可能性があることを示唆していて、必要に応じて金融引き締めのペースを速める姿勢を強調した形です。

ただ、引き締めを急げば景気にはマイナスになるおそれもあり、ウクライナ情勢による影響などを見極めながらの難しい対応が続きそうです。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は21日、インフレ抑制にFRBは「迅速に」行動する必要があるとし、必要に応じて通常より大きな幅での利上げを実施する可能性があると述べた。

パウエル議長は全米企業エコノミスト協会(NABE)会合での講演で「労働市場は極めて力強く、インフレは高すぎる」と指摘。「物価安定の回復に必要なら、金融政策スタンスをより中立的な水準に戻し、その後、より制約的な水準に移行するために迅速に動く必要があるのは明らかだ」と述べた。

その上で「1回の会合、もしくは複数の会合で、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)以上引き上げ、一段と積極的に対応することが適切と結論付けられれば、そのように行動する」と表明。

「年初時点では、インフレは第1・四半期にピークを付け、その後は横ばいになり、下半期には大きな進展が見られると予想されていた。ただこうした予測はすでに崩れ去った」とし、「一段と迅速に行動する必要があるとの結論に達する可能性がある。そうなれば、そのように行動する」と述べた。

その上で、必要に応じて50bpの利上げを実施する用意があるとの姿勢を改めて表明。5月までにバランスシート縮小に着手する可能性があるとの見方も改めて示した。

パウエル議長はまた、現在は超過需要の状況にあるとした上で、「原則的」に金融緩和の解除に伴い、労働市場の圧力が緩和され、失業率を押し上げることなく、物価安定に寄与する可能性があると指摘。リセッション(景気後退)ではなく、「ソフトランディング(軟着陸)」に至るという見通しを示した。

<インフレリスク>

ロシアによるウクライナ侵攻を受けた原油高でインフレ高進が一段と進むとの懸念が出る中、パウエル議長は米国が今や世界最大の産油国となったため、1970年代と比べ石油ショックにうまく対応できるとの見方を示した。

FRBは通常は一過性と見られるコモディティー(商品)価格の上昇には対応しないことが多いが、パウエル議長は「高インフレが長期化し、長期期待が居心地の悪い水準に上昇するリスクは増大している」と指摘。供給網の問題についても「政策を決定する際は、供給面の問題が短期的に大幅に緩和しないと想定し、実際の進展に注目する」と述べた。

その上で、インフレの上昇が今四半期中にピークに達し、今年下期に鈍化するという見通しについて「すでに崩壊している」とし、FRB当局者が「より迅速に行動する必要があるという結論に達する可能性があり、そうなれば一段と迅速に動く」と言明した。

ただ、米国のインフレ率は向こう3年以内に「2%近辺」に低下すると予想。「経済は極めて力強く、一段と引き締め的な金融政策に対応できる」との見方を示した。

<積極利上げの観測高まる>

パウエル議長の発言を受け、市場では5月の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの利上げが決定されるとの見方が強まり、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が織り込む、5月のFOMCで0.50%ポイントの利上げが実施される確率が63%に上昇した。発言前は約52%だった。

ウィズダムツリー・インベストメンツの債券戦略責任者、ケビン・フラナガン氏は、パウエル議長の講演について「単なる目先の戦術的な動きではない」とし、「FRBからのより戦略的なメッセージと捉えている」と指摘。モルガン・スタンレーのチーフ・グローバル・エコノミスト、セス・カーペンター氏は、パウエル議長は「不確実性が存在していると合理的に伝えた」とし、「望む結果が出るまで続ければ、行き過ぎる可能性もある」と述べた。

米連邦準備制度理事会FRB)のパウエル議長は21日、米国のリセッション(景気後退)入りの可能性をどこで見極めるかという債券市場の重要な議論に加わった。

  一部投資家は迫り来る景気後退に警鐘を鳴らすため、米国債の2年物と10年物の利回り格差(スプレッド)の急速な縮小に注意を促しているが、パウエル議長は全米企業エコノミスト協会(NABE)の講演で、イールドカーブ(利回り曲線)で注意信号がまだ点滅していない部分を重視していることを明らかにした。

  パウエル議長は質疑応答で、「率直に言って、イールドカーブの短期の部分である最初の18カ月を注目するよう指摘したFRBスタッフの優れた調査がある」とコメント。「それがイールドカーブを100%説明する力を持つ。その部分で長短金利の逆転が起これば、当局は利下げし、経済が弱いという意味になる」と述べた。

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  ブルームバーグの集計データによると、現在の3カ月物米財務省短期証券(Tビル)利回りと、フォワード市場から算出される1年半後の3カ月物Tビル利回りのスプレッドは現在約229ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で、フラット化や逆イールドが見られてリセッション懸念に拍車を掛けている他の尺度とは著しい対照を成している。

  2018年6月公表の論文でFRBエコノミストのエリック・エングストロム、スティーブン・シャープ両氏は、いわゆる「短期のフォワード・スプレッド」は広く注目される2年債と10年債のスプレッドよりもリセッションの予測力が高いと分析した。21日のフォワード・スプレッドは2002年以来最大。このスプレッドは直近3回のリセッションに毎回先行して長短逆転していた。

原題:

Powell Says Look at Short-Term Yield Curve for Recession Risk(抜粋)

#FRB#金融政策