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11月8日の米国中間選挙を控えて、ドナルド・トランプ前大統領のPAC(政治活動委員会)である「セーブ・アメリカ」は、共和党でも最有力の政治資金団体の1つへと急速な台頭を見せている。

だが、連邦選挙委員会(FEC)に提出された政治資金報告書をロイターが分析したところ、これまでのところ、中間選挙での勝利をめざす共和党の取組みに向けた「セーブ・アメリカ」の支出は、他団体に比べるとごく小規模に留まっている。

トランプ氏が共和党の出馬予定者にわずかな支援を提供しただけでも注目を集めるが、ロイターの分析によって明らかになった支出面での他団体との違いについては、今回が初めての報道となる。

トランプ氏が「セーブ・アメリカ」を発足させたのは2020年11月。それ以来、同団体は1億2400万ドル(約150億円)の献金を集めている。元大統領が立ち上げた政治資金団体としては過去最大だ。ところが、支出は約1400万ドル(約17億円)と、集めた資金の11%程度に留まっている。その大半は資金集めを目的とした集会と広告に費やされている。表向きは中間選挙をめざす共和党候補を応援しているものの、むしろトランプ氏本人のアピールが中心だ。

対照的に、上院選挙の出馬予定者を支援する共和党の主力資金団体は、2021年以来で集めた1億3500万ドルのうち約80%を支出した。また下院選挙の出馬予定者のための主力資金団体は、同時期に集めた1億6200万ドルの半分以上を支出している。いずれもFECへの提出書類から分かる数字だ。

「セーブ・アメリカ」の支出が限られていることについて、選挙資金に詳しい専門家や政治評論家の間では、大統領選挙への出馬に向けて資金を確保している証拠ではないかとの疑問が生じている。

「セーブ・アメリカ」とトランプ氏自身の双方について広報担当ディレクターを務めるテイラー・ブドウィッチ氏によれば、トランプ氏は直接の献金や集会、共同の資金集めを通じて出馬予定者を支援してきたという。

ブドウィッチ氏はロイターに対する声明の中で、「『セーブ・アメリカ』は、具体的な戦略や支出をいちいち報道機関に伝えるつもりはない」と述べている。「頂いた献金はすべて、トランプ大統領が支持する候補者や大義を通じて、彼の『米国第一』というアジェンダを推進するために使われる」

トランプ氏は「セーブ・アメリカ」を、「リーダーシップPAC」として登録している。選挙法の規定では、リーダーシップPACの資金の用途は、トランプ氏本人以外による選挙運動に限定される。だが選挙資金に詳しい専門家は、トランプ氏が再びホワイトハウスをめざすのであれば、「セーブ・アメリカ」の資金を利用する抜け道は複数あるのではないか、と話す。

トランプ氏が2024年の大統領選に出馬する場合は、自身の選挙運動のために別の政治資金団体を立ち上げる必要がある。同氏はまだ出馬を発表していないものの、支持者の集会では、再び大統領の座をめざす意志をほのめかすことも珍しくない。

<奇妙な支出パターン>

選挙に向けたサイクルとしてはまだ時期も浅く、トランプ氏がこれから11月に向けて、連邦議会での過半数確保をめざす共和党を支援するための支出を増やしていく可能性はある。

だが、選挙資金改革を推進する無党派の団体「イシュー・ワン」で調査ディレクターを務めるマイケル・ベッケル氏によれば、中間選挙の年の3月という時点では、リーダーシップPACが出馬予定者に資金をふんだんに提供しているのが普通だという。

「リーダーシップPACにこれほど多額の政治献金を貯めこんで、選挙への直接的な支出はあまり多くないというのは異例だ」とベッケル氏は言う。

トランプ氏と提携するフロリダ拠点のロビー活動企業バラード・パートナーズのジャスティン・セイフィー氏は、選挙が間近に迫った時点でトランプ氏がさらに大きな影響を与えられるよう、現時点では支出を控えておくことが賢いやり方だ、と話す。

同氏は、「党予備選が終った段階で、共和党にとって最もチャンスの大きい30議席を見極めることになるだろう」と言う。「それから、8月から投票日にかけて、そうした選挙区にすべての資金を投じる」

コンサルティング、広告、そしてホテル>

トランプ氏が最も多くの資金を投じているのは支持者の集会である。識者の間では、支持者らと交流し参加者のデータを集める中で、2024年に向けた準備を進めているのではないかとの見方が多い。

3月20日の提出期限を前にFECに提出された政治資金報告書によれば、「セーブ・アメリカ」では、2月までにイベント関連費用で300万ドル以上を支出している。

また「セーブ・アメリカ」は、コンサルティング・サービスに200万ドル以上、広告費用に30万ドル近く、そして中間選挙共和党出馬予定者に約20万ドルを支出している。さらに、「セーブ・アメリカ」関連の宿泊費・食費、また施設レンタル費として、少なくとも17万ドルがトランプ氏の保有するホテルで使われている。

中間選挙に向けた共和党の主力資金団体が出馬予定者に提供したのは約30万ドルだが、それ以外の用途に巨額の費用を投じている。広告費として2000万ドル以上、またテキストメッセージや、選挙目的の郵便の送付や戸別訪問の対象となる有権者を絞り込むために使用する有権者リストへのアクセスのために2500万ドル以上といった具合だ。

<「二言でいい」>

トランプ氏の集会では、中間選挙共和党候補に投票するよう支持者に呼びかけてはいるが、集会の主役はトランプ氏自身だ。

厳しい寒さとなった3月12日、サウスカロライナ州の空港で開催された集会で、トランプ氏はスピーチを途中で止めた。現職の共和党トム・ライス下院議員への挑戦者として自らが支持するラッセル・フライ氏に話す機会を与えるためだ。

「ほんの一言、二言喋ったらどうか。それでこの場所からはおさらばしよう。寒すぎる」とトランプ氏は言った。

フライ氏が手短にしゃべった後、トランプ氏は約20分にわたってスピーチを続け、次の大統領選挙の後、自分のアジェンダによってこの国がどう変わっていくかを描き出した。「2024年、私たちはあの美しいホワイトハウスを取り戻すことにしよう」と同氏は言った。「誰がその主になるのか。いったい誰だろうね」

民主党系の政治資金団体は先週、「セーブ・アメリカ」の集会費用の支出は大統領選挙に向けた運動に相当し、選挙法違反であると主張する告発をFECに提出した。

だが、ベッケル氏をはじめ、選挙資金に詳しい専門家によれば、仮にトランプ氏が大統領選への出馬を表明し、「セーブ・アメリカ」の資金を自分の選挙運動に流用しようと試みたとしても、FECがトランプ氏の摘発に踏み切る可能性は低いという。

FECの中枢は共和党民主党出身の委員が同数で占めており、近年では、最も賛否の分かれるテーマに関しては身動きが取れない状態だからだ。

トランプ氏の広報担当者であるブドウィッチ氏は、民主党側による告発は「取るに足らない」もので「事実無根」だと述べている。

FECの元委員、アン・ラベル氏をはじめとする専門家によれば、「セーブ・アメリカ」の資金を大統領選に流用するためにトランプ氏が採用しそうな法務戦略の1つは、同団体との公式の関係を断つことだという。また、提携する団体に「セーブ・アメリカ」の資金を移転することも可能だ。

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