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およそ7年前の発言が1ドル=125円前後で円安に歯止めをかけたことから、外国為替市場で意識された「黒田ライン」―。日本銀行黒田東彦総裁の発言が今度は逆に円安の材料になり、黒田ラインを突破して約20年ぶりの126円台へ後押しした。円安は日本経済にプラスと繰り返す黒田総裁の発言がさらなる円安を招く可能性もあり、次の発言機会に市場関係者の目が注がれている。

  13日午後3時過ぎ、黒田総裁は都内で開かれた信託大会であいさつしていた。「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」との発言が速報で流れると、米長期金利の上昇を背景にじわじわ円安に向かっていたドル円相場は、一気に125円70銭から126円台前半に駆け上がり2002年以来の円安水準を付けた。

ドル円相場の推移

  毎年一度開かれる同大会での総裁のあいさつは、直前に開かれた金融政策決定会合の決定事項をなぞることが多く、材料視された発言も従来の姿勢を繰り返したにすぎない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは「信託大会でのあいさつがこれまで市場で材料視された記憶はない」と話す。

  インフレ高騰を受けて米国はじめ海外の中央銀行が引き締めに向かう中、日銀は金利を据え置いており、金融政策の方向性の違いを背景に内外金利差が拡大。円安が進みやすくなる中、「金融緩和一辺倒で変わらない日銀の情報発信が円売りにお墨付きを与えている」と六車氏はみる。

  日銀が長期金利の上限0.25%を突破するのを防ぐため、2月10日と3月28日に国債を無制限に買い入れる指し値オペを通告した際も円安が進行。野村証券中島武信チーフ金利ストラテジストは「為替市場は日銀のオペや黒田総裁の発言に敏感に反応している」と指摘する。この間、鈴木俊一財務相など財務省関係者が円安けん制発言を繰り返しているが、ほとんど材料視されず、日銀への関心の高さがうかがえる。

次の発言機会は定例会見

  次に予想される黒田総裁の発言機会は28日の金融政策決定会合後の定例会見。3月18日の定例会見で「円安は経済にプラス」と述べた時も円安が進んでおり、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは「同じ発言を繰り返すと円安をさらに加速させる可能性がある」と話す。

  六車氏は、日銀の緩和方針が円安容認ととられて投機的な円売りにつながっていることなどから、日銀が同会合で緩和色を若干薄めると予想する。政策金利フォワドガイダンス(指針)について「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移」から「当分の間、現在の長短金利の水準を維持する」に修正するとの見立てだ。

  六車氏と唐鎌氏は、黒田総裁が円安は経済にプラスという一面的な発言を封印し、「プラス面もマイナス面もある」といったバランスの取れた評価に徹するとみる。直後のゴールデンウイーク中に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ為替相場が振れやすくなることを考えると、総裁がメッセージを変えないと「次のめどである130円を突破するきっかけになりかねない」と唐鎌氏は語った。

日銀の黒田総裁は、18日の衆議院決算行政監視委員会で、このところの円安について「かなり急な為替変動だ」と述べたうえで「急速な円安の場合はマイナスが大きくなる」と述べ、急速な円安が中小企業や家計に与える影響について注意深く見ていく考えを示しました。

この中で日銀の黒田総裁は「最近の円安は1か月ほどで10円ぐらい進んでいて、かなり急速な為替の変動だ。過度に急激な変動は、不確実性の高まりを通じて経済にマイナスに作用することも考慮する必要がある」と述べました。

そのうえで黒田総裁は「輸入価格が上がれば家計の負担が増えるほか、輸入価格の上昇を転嫁できない中小企業の収益が減少することになり、急速な円安の場合はマイナスが大きくなる。企業の業種や規模、それに経済主体によって影響が不均一なことに留意が必要だ」と述べました。

一方で、黒田総裁は「円安は日本経済全体としてはプラスだという評価を変えたわけでない」と述べ、今の物価上昇はエネルギー価格の上昇が主な要因であり、家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を招くおそれがあるとして、今の金融緩和を続ける姿勢を強調しました。

鈴木俊一財務相は18日の衆院決算行政監視委員会で、日銀との共同声明について「今変更する気持ちはない」と述べた。足元の円安傾向を踏まえた見直しについて質問した青柳陽一郎委員(立憲)への答弁。

鈴木財務相は2013年に当時の安倍政権が日銀と結んだ2%の物価目標達成に向けた共同声明について、2021年の岸田政権発足時に延長を確認したと改めて述べた。

為替について「私の不用意な発言が影響を与えてはいけないので言及しない。介入をどうするかを含めコメントは控えないといけない」と述べた。為替の安定が重要との認識を改めて示し、円安の進行を含め経済への影響に「緊張感を持って対応する」と語った。

為替については、20カ国(G20)財務相中央銀行総裁会議での、過度な変動はけん制した合意に従い適切に対応すると述べた。

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