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長期金利低下と円安反転で日本銀行の大規模金融緩和の修正観測が鎮静化する一方、市場の圧力が低下している時期こそ修正に踏み切るチャンスとの声が市場関係者の一部で出ている。

  米消費者物価指数(CPI、10日発表)伸び鈍化を契機に利上げ継続観測が後退。米長期金利は4%を割れ、1ドル=152円近くに下落した円相場は一時137円台まで上昇した。円安阻止の必要性が薄まるといった見方から日銀の政策修正期待も後退した。政策修正観測を示す6カ月後6カ月フォワード金利は足元で0.05%と期待が盛り上がった6、10月を下回る。日銀の政策修正は当面ないとの見方が市場では大勢だ。

6カ月後6カ月フォワード金利の推移

  この中で野村証券の松沢中チーフストラテジストは、仮に米CPIが米連邦準備制度理事会FRB)の大幅利上げ路線の転換点になれば「日銀はむしろ金融正常化により動きやすくなる」とみる。日銀が避けたいのは、円安や海外投資家の投機に耐え切れず政策修正したと誤解され、さらなる政策対応を迫られることだ、というのが見立てだ。

  このため海外の主要中央銀行ハト派に転換すれば、円売りや日本国債売りといった海外発の市場投機がある程度収まることで「日銀が市場混乱を最小限に抑えつつ誤解を与えぬ形で政策修正する機会の窓が開く」という。

国債機能改善

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストも同様の可能性があるとしている。メインシナリオでは2024年度まで現状維持を想定しながら、リスクシナリオとして緩和修正観測後退のタイミングで日銀がYCC柔軟化を検討する可能性は捨てきれないとみる。

  米インフレ圧力後退で米利上げ停止、米経済軟着陸の公算が大きくなれば「日銀はその機会を利用し、国債市場の機能度改善を理由に長期金利の上限を0.50%程度などに引き上げるかもしれない」と語る。

  日銀の黒田東彦総裁は、大規模緩和の副作用の一つとして国債市場機能低下を10日の国会で示した。18年7月にYCCの変動許容幅を拡大した際も、国債市場の機能度を高めることが目的だとして金利水準上げの意図は全くないと指摘。21年3月のYCC変動幅明確化の際も、市場機能の維持と金利コントロールの適切なバランスを取ると説明した。

来年4月の黒田東彦日本銀行総裁の任期満了まで半年を切り、後任人事が本格化する。新総裁が2%の物価安定目標の実現を託されるのは確実だが、黒田体制で10年近く続く大規模な金融緩和の弊害も目立ち始めており、誰がなっても難しい金融政策運営に直面するのは避けられない。

  ブルームバーグの調査によると、日銀ウオッチャーは次期総裁の有力候補に雨宮正佳副総裁と前副総裁である中曽宏大和総研理事長の日銀生え抜きの2人を挙げている。ポスト黒田の新体制は、金融政策の正常化を含めて実務的にも困難な対応を迫られるとみられているからだ。

  黒田総裁の在任期間は140年の日銀史上で最長だが、残される課題も前例のない大きさとなる。大規模緩和は日銀のバランスシートを膨張させ、保有する国債だけでも日本の経済規模に匹敵する。ほぼ金利のない世界が常態化し、マイナス金利政策とイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を続ける唯一の中央銀行となった。

  次期正副総裁の人事案は来年1月召集の通常国会に提示される見通し。岸田文雄首相は先月、予見性や政府と日銀の連携を重視しながら総裁人事を考えると述べた。物価高騰や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題で支持率が急落する岸田政権にとって、日銀総裁を適切に指名して経済・物価や金融市場の安定を図ることは極めて重要だ。

  野村総合研究所木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、安倍晋三元首相がデフレ脱却を掲げて日銀に大胆な金融緩和を求めた10年前と状況は全く違うと指摘。次期総裁に期待されるのは「もう少し柔軟な金融政策運営、あるいは金融政策の正常化を進めるのであれば金融市場が大きく混乱しないようにうまくやってほしいということだろう」とみる。

雨宮正佳氏
  日銀のエースとして金融政策の企画・立案を担う企画畑を中心に歩み、大規模な金融緩和を推進する黒田総裁を実務面で支えてきた。黒田総裁の就任直後に打ち出した量的・質的金融緩和(QQE)や長期金利をターゲットにした異例のYCC政策などの導入も企画局担当理事として主導した。

  雨宮氏が総裁に就任する場合は、黒田路線の継続が印象付けられそうだ。7月の講演では賃金上昇を伴う形で2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを目指すとし、「手を緩めることなく、金融緩和を継続する必要がある」と述べた。

  政界や財界との豊富な人脈は日銀内でも突出している。前例にとらわれない柔軟な発想にも定評がある。趣味のクラシック音楽は玄人はだしで、若いころは音楽家になることを夢見たという。

「ミスター日銀」が仕切る金融政策の最前線-物価2%へ持久戦

中曽宏氏
  今年出版した約700ページの著書では、1990年代後半の日本の金融システム危機に際し、最前線で対応に当たった苦悩や緊張感がまざまざと描かれている。2008年のリーマンショックでは金融市場局長として市場安定に奔走するなど危機対応の手腕は高く評価されている。

  国際決済銀行(BIS)の市場委員会議長も務めるなど海外人脈も豊富だ。現在は東京国際金融機構の会長も務め、国際金融都市化を目指した取り組みを進めている。総裁に就任すれば、金融システムや市場機能といった金融緩和の副作用への対応がより重視される可能性もある。

  中曽氏は黒田体制の最初の5年間を副総裁として支えた。9月には金融政策運営について、デフレ脱却の取り組みで日銀が役割以上のことを行い、アベノミクスの経済政策運営では日銀に依存し過ぎたとの認識を示した。

日銀はデフレ脱却で相応の役割以上を実行-中曽前副総裁

ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹シニアエコノミスト
「日本の大きな需給ギャップや世界的に深い景気後退に陥る可能性を考慮すると、誰が総裁に就任しても2023年に金融政策を正常化するのは難しいだろう」

浅川雅嗣氏
  財務官からアジア開発銀行(ADB)の総裁に就任した。財務官の在任期間は約4年と過去最長。自民党麻生太郎副総裁の首相時代の秘書官や、安倍政権時の麻生財務相の秘書官を務めるなど、麻生氏からの信頼が厚い。

伊藤隆敏
  コロンビア大学教授。黒田総裁の財務官時代に副財務官を務めるなど親交が深く、インフレ目標政策を指南したとされる。先月のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、日銀が今すぐ利上げをする理由はないとしつつ、長期的には賃金上昇を伴う安定したインフレの兆候があれば、YCCを調整することができると述べた。

黒田総裁のインフレ目標政策の指南役・伊藤隆敏氏、次期総裁との声も

中尾武彦氏
  元財務官でみずほリサーチ&テクノロジーズの理事長を務める。財務官時代(2011年8月-13年3月)には、円が戦後最高値の1ドル=75円台を付け、政府・日銀の円売り介入を指揮した。6月のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、足元の円安進行について「行き過ぎた動きだ」とし、円安が日本経済にプラスとの考えは「明らかに間違っている」と主張した。

「為替介入の可能性排除できない」と中尾元財務官、円が上昇

若田部昌澄氏
  雨宮氏とともに日銀副総裁を務める。元早稲田大学教授で積極的な金融緩和によって緩やかなインフレの実現を目指すリフレ派の論客。6月の講演では、「金融緩和の粘り強い継続によって着実に経済の好循環を支え、賃金が上がっていく環境を維持することが必要」と指摘。経済の下振れリスクが顕在化すれば、「ちゅうちょなく必要な追加的措置を講じることも排除すべきではない」と語った。

氷見野良三氏
  元金融庁長官でニッセイ基礎研究所エグゼクティブ・フェローを務める。日銀ウオッチャーからは副総裁候補との見方が多い。先月のブルームバーグのインタビューでは、金融政策は銀行の都合で決めるわけではないと述べ、低金利環境下で金融機関が経営にさまざまな工夫を凝らすのは当然だと語った。

金利環境で銀行経営の工夫は当然、事業成長担保権に期待-氷見野氏

本田悦朗
  リフレ派の論客。安倍元首相のアドバイザーを務め、黒田総裁が誕生した13年の日銀総裁人事の人選に関与。金融政策のレジームチェンジを始めとしたアベノミクスの推進に大きな役割を果たした。3月のブルームバーグとのインタビューでは、一段の利下げは地域金融機関経営のリスクが大きくなると追加緩和に慎重な姿勢を示し、財政出動の重要性を主張した。

10兆円規模の補正予算編成を、財政・金融一体が必要-本田元内閣参与

内田真一氏
  企画局担当理事として黒田総裁、雨宮副総裁と緊密に連携して金融緩和政策を推進している。雨宮氏と同様に企画畑が長く、QQEやYCCなどの導入に企画局長として中心的な役割を担った。4月に理事に再任された。5月には国会で長期金利の許容変動幅を拡大する可能性を問われ、「事実上の利上げであり、日本経済にとって好ましくない」と発言し、市場の思惑をけん制した。

#日銀#金融政策
#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政

財務省が17日に発表した10月の貿易統計によりますと、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2兆1623億円の赤字となりました。赤字額は、10月としては過去最大です。

財務省によりますと貿易収支が赤字となるのは15か月連続で、赤字額は去年の同じ月と比べて23.8倍にのぼります。

貿易赤字が膨らんだ要因は、原油LNG液化天然ガスなどエネルギー関連の輸入額の増加です。

エネルギー価格の上昇に加え、外国為替市場で円安が進んだこともあって、
原油の輸入額はほぼ2倍
LNGの輸入額は2.5倍に増えました。

輸入額は11兆1638億円で、1か月の輸入額としては過去最大です。

一方、輸出額も増えています。

アメリカ向けの自動車のほか
▽アジア向けの半導体など電子部品が増えて、
こちらも1か月の輸出額としては過去最大の9兆15億円となりました。

このところ輸出額も増加が続いていますが、輸入額の伸びには追いつかず資源の高止まりや円安を背景に、巨額の貿易赤字を計上する状況が続いています。

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