フランス大統領選 決選投票始まる 大勢判明は25日朝の見通し #nhk_news https://t.co/bbay4OKvL6
— NHKニュース (@nhk_news) 2022年4月24日
フランスの大統領選挙の決選投票は、今月10日に行われた1回目の投票の結果を受けて、前回5年前と同じ現職の中道マクロン大統領と極右政党のルペン前党首との間で争われています。
投票は24日午前8時、日本時間の24日午後3時からフランス各地のおよそ7万か所の投票所で一斉に始まり、このうちパリ市内の投票所では午前8時の投票開始とともに有権者が次々に1票を投じていました。
選挙戦では、EUとの関係の在り方やウクライナ情勢への対応などが争点になり、激しい論戦が繰り広げられました。
ウクライナ情勢をめぐって、マクロン大統領はEUが結束して外交的な解決を目指すとともに、ロシアに対する制裁の強化などを訴え、支持を集めてきました。
一方のルペン候補は、燃料価格などが高騰するなか、付加価値税の減税を公約に掲げるとともに、ロシアからの天然ガスや石油の輸入を止める制裁は経済をさらに圧迫するとして反対する姿勢を示し、低所得者層を中心に支持を広げてきました。
22日時点での世論調査では、マクロン大統領に投票すると答えた人が55%、ルペン候補と答えた人が45%で、マクロン大統領が圧倒的に優勢だった前回とは違い、ルペン候補が追い上げています。
投票は、日本時間の25日午前3時に締め切られて即日開票され、25日朝には大勢が判明する見通しです。
フランスの大統領選挙の決選投票では、ウクライナ情勢の影響で物価高騰への対策のほか、EU=ヨーロッパ連合との関係、対ロシア外交の在り方が主な争点になっています。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻と、ロシアへの経済制裁の影響で、エネルギー価格をはじめとした物価の高騰に拍車がかかるなか、インフレ対策は有権者の関心が極めて高くなっています。
ルペン候補は、燃料や電気代などにかかる付加価値税を20%から5.5%に引き下げるという公約を掲げ、20日のテレビ討論では「一時的な方法ではなく、持続的に燃料価格を引き下げる」と述べ、庶民の生活に寄り添う姿勢を強調しています。
一方、マクロン大統領は、当面の間、ガスと電気の料金を据え置く措置を実施していることをアピールしていて「付加価値税の引き下げよりも効果がある措置だ」として、ルペン候補の主張に反論しています。
EUやNATO=北大西洋条約機構との関係をめぐっては、両者の姿勢は対照的になっています。
マクロン大統領は、フランスの発展や平和のためにEUとの結束が不可欠だという主張を一貫して述べていて、NATOとの連携も重視すべきとする立場です。
テレビ討論では、EUの恩恵を受けた例として、新型コロナウイルスのワクチンを挙げて、ヨーロッパでは世界に先駆けて生産し供給することができたとして、「どんな問題についても、強く統合されたヨーロッパが必要だ」と訴えました。
一方、ルペン候補は、EUとは距離を置く姿勢で、NATOについても「フランスは自国の防衛に専念すべきだ」として、軍事部門からの離脱を主張しています。
テレビ討論では、EUによってフランスの主権が奪われているとしたうえで、「EUには留まり続けるが、ヨーロッパ諸国の連合体としてより効果的に機能するよう、改革していきたい」と述べ、ルペン候補がかつて主張していたEUからの離脱については考えを否定したものの、EUを改革する必要性を訴えました。
ウクライナへ軍事侵攻を続けるロシアとの関係についてもウクライナ情勢を受けて注目されています。
マクロン大統領は、ロシアのプーチン大統領との対話を続け、外交的な解決の道を探ってきた一方で、EUの議長国としてロシアに対する制裁強化の議論を主導してきました。
これに対し、ルペン候補は8年前のロシアによるウクライナ南部、クリミアの一方的な併合を容認するなど、ロシア寄りの姿勢を示してきました。
ウクライナへの軍事侵攻については、ルペン候補もロシアを非難していますが、テレビ討論などではロシアとの関係について慎重に言及を避けているほか、国内経済への影響を避けるためだとして、一部のロシアへの制裁については反対する姿勢を示しています。
マクロン大統領は、テレビ討論でルペン候補が前回の大統領選挙の際にロシアの金融機関から融資を受け今も返済を続けていると指摘したうえで、「ロシアから自律した政権運営はできないのでは」と主張しました。
一方、ルペン候補はロシアの金融機関から融資を受けた事実は否定せず、「私は全く自由で独立した女性だ」と述べ、懸念はあたらないと反論しています。
マクロン大統領とルペン候補が決選投票で争うのは、前回・5年前に続いて2回目ですが、今回は前回とは状況が大きく異なります。
5年前、マクロン大統領は決選投票での得票率が66.10%、一方のルペン候補は33.90%で、大差でマクロン大統領が勝利しました。
しかし、今回の決選投票では22日時点の世論調査で、投票する候補を決めている有権者のうち、55%がマクロン大統領に、45%がルペン候補に投票するとしていて、その差は前回よりも格段に縮まっています。
また、今月10日に行われた1回目の投票で、3位以下の候補者に投票した人のうち、決選投票での投票先をまだ決めていない人も多くいます。
このうち、1回目の投票でおよそ22%の票を獲得し、3位となった急進左派のメランション氏は、主な支持層が労働者や低所得者層などでルペン候補と重なっています。
メランション氏に投票した人のうち、44%は決選投票での態度を明らかにしておらず、専門家は状況によってはこの票がルペン候補に積まれ、当選するケースも考えられると指摘しています。
このため、極右政党の政権が誕生することへの警戒感から、敗退した候補の多くが早々とマクロン大統領の支持を表明したほか、フランスの左派の新聞には「今度は本当にまずい」という見出しも躍る事態になっています。
接戦の背景にあるのが、ルペン候補の「脱悪魔化」と呼ばれる穏健化路線と、ウクライナ情勢の影響を受けた物価の急激な高騰です。
ルペン候補は、今回の選挙で移民排斥やEUからの離脱などの過激な主張を封じ、穏健化路線を進めて支持の拡大を図ってきました。
さらに、ウクライナ情勢を受けて燃料価格など物価が高騰するなか、ガソリンなどにかかる付加価値税の大幅な減税など、市民の生活に身近な政策を重点的に訴えることで、マクロン政権に強い不信感を抱く地方の低所得者層の受け皿にもなってきました。
一方、マクロン大統領はテロ対策や気候変動対策、制度改革などさまざまな課題に取り組んできましたが、痛みを伴う改革は強い反発も招きました。
また、物価高騰への対応として、当面の間、ガスと電気の料金を据え置く措置を実施していますが、年金支給年齢の引き上げなど不人気な公約も掲げていて、ルペン候補に差を縮められる要因にもなっています。
今回のフランス大統領選挙は、ウクライナ情勢に大きく左右されてきました。
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始める前日の2月23日の時点では、1回目の投票でマクロン大統領に投票すると答えた人の割合は各世論調査の平均で25%でした。
これに続いて極右政党の前党首のルペン候補が17%、移民排斥などのより過激な言動で注目を集めた極右のゼムール候補が13%となっていました。
しかし、2月24日に軍事侵攻が始まって以降、マクロン大統領への支持は上昇し、3月9日の時点で30%と、2位につけていたルペン候補を一時、13ポイントも上回りました。
マクロン大統領は、ロシアのプーチン大統領と繰り返し、会談を行い、EU=ヨーロッパ連合の議長国として、ロシアへの制裁の議論も主導していました。
専門家は、危機に直面したときに国民が指導者のもとに結束する「旗の効果」が、マクロン大統領への支持となって表れたと指摘しています。
マクロン大統領がそのまま優位を保ち再選するのではとみられたフランスの大統領選挙ですが、ロシアによる軍事侵攻が長期化するにつれ状況が変わってきます。
ロシアへの経済制裁の影響もあり、エネルギーや食料などの価格が急激に上昇するなか、選挙戦でのもっとも重要な争点として、国民は「購買力」をあげるようになりました。
こうした中、支持を広げたのがルペン候補です。
ルペン候補は、高騰する物価への対策として付加価値税の大幅な減税を行うべきだと重点的に訴え、低所得者層や地方の労働者層から支持を集めることに成功しました。
3月上旬まで17%ほどだったルペン候補の支持は、3月下旬から上昇をはじめ、今月10日に行われた1回目の投票での得票率は23.1%となりました。
さらに、急進左派のメランション候補も購買力の強化を訴えて急速に支持を伸ばし、1回目の投票ではおよそ22%を獲得し3位につけました。
一方で、マクロン大統領の1回目の投票での得票率は27.8%にとどまりました。
決選投票での各候補への支持は、今月22日の時点の各世論調査の平均で、マクロン大統領が55%、ルペン候補が45%となっています。
パリ15区にある投票所では、午前8時の投票開始とともに次々と有権者が訪れ、一票を投じていました。
マクロン大統領に投票した34歳の女性は「フランスは民主主義の国だ。ルペン候補はフランスのリーダーにはなれない」と話していました。
また、51歳の会社員の女性も「新型コロナウィルス対策などマクロン大統領は多くの実績を残した」と述べ、マクロン大統領に投じたと話していました。
一方、年金暮らしの65歳の女性は「マクロン大統領は多くの産業を外国に売り渡すなど、経済や医療をひどい状態にしてしまった。ベストではないがルペン候補のほうがまだましだ」と述べ、ルペン候補に投票したということです。
また、スポーツジムを経営している35歳の男性は「マクロン大統領はこの5年間、何も実績を残せなかったが、ルペン候補も多様なフランス社会の代表とするにはふさわしくない。どちらの候補にも投票できなかった」と述べ、悩んだ末に白紙で投票したと話していました。
2人の候補もそれぞれ1票を投じました。
このうち現職のマクロン大統領は、ブリジット夫人とともに自宅のある北部のルトゥケの投票所を訪れ、支持者と握手を交わしたり、写真撮影に応じたりしたあと、投票しました。
また、極右政党のルペン前党首は、党の地盤のひとつの北部のエナン・ボーモン投票所を訪れ、有権者との写真撮影ににこやかに応じたあと、1票を投じました。
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