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米連邦準備理事会(FRB)は1日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、4月から5月終盤にかけて大部分の地域で経済は控えめ、もしくは緩やかなペースで拡大したとし、需要抑制に向けたFRBの対応策の効果が出ている兆候が見え始めているとの認識を示した。

地区連銀報告は「小売業は、消費者が物価上昇に直面したことで若干の軟化が見られたと報告した。住宅用不動産業は、物価高と金利上昇による弱さを報告した」とした。

報告書は、5月23日までに12地区連銀が全国の調査先企業から受けた報告に基づき作成された。

今回の調査では、企業の楽観的な考え方が弱まって景気後退への懸念が高まったことが明らかとなり、物価上昇圧力や労働市場の逼迫がいずれ大幅に緩和されると期待できない状況も明らかになった。

全体として、企業は労働力不足が引き続き最大の課題になっていると報告した。他の懸念材料としては供給網の混乱や全般的なインフレ、ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナウイルスによる混乱などが続いた。

今回の報告で、企業は既に警戒感を強めていることが示された。8地区の企業の間で今後の成長への期待が薄れた。一方、3地区は特に景気後退への懸念を報告した。

こうした懸念の一部は、景気の抑制に向けたFRBの行動に伴う副作用でもある。

消費者が消費を手控え始めた兆候として、半数を超える地区がコスト増に対する顧客の抵抗を挙げた。例えば、クリーブランド連銀の地区の大手食品販売店チェーンは顧客が支出を減らし始めていると指摘し、「全国的ブランドから、より安価なストアブランドに移行している。また牛乳を1ガロンではなく半ガロンで購入したりもしている」と報告した。

セントルイス連銀の地区によると、ミシシッピ州北部の高級車販売店は大型車の販売を減らし、燃費のよい小型車を多く販売するようになった。

ニューヨーク連銀の報告によると、ニューヨーク州北部の人材派遣会社が労働市場は依然としてかなり堅調ではあるものの「活況度合いが弱まってきた」と指摘した。

しかし、全体的に雇用市場は引き続き非常に引き締まり、大半の地区が賃金の大幅な伸びを報告した。ただ、賃金上昇率が横ばいか、低下傾向にあると報告した地区もあった。

ボストン連銀の地区では、製造業の大部分が「半導体やプラスチック、ガラス、エネルギー、物流、労働力などさまざまな投入価格の上昇に対応するために」平均を上回る値上げを行った。

#FRB#経済統計#ベージュブック

米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は1日、米経済が直面している課題を迫りくる「ハリケーン」と呼び、連邦準備理事会(FRB)は景気後退(リセッション)回避に向け、強力な措置を講じる必要があるという認識を示した。

ダイモンCEOは、現在の状況が前例にないと発言。「今は晴天で物事は順調に進み、誰もがFRBが問題に対応できると考えている。しかし、ハリケーンはすぐそこまで来ており、われわれの方に向かっている。このハリケーンが小型なのか、『サンディ』のような超大型の嵐なのかは分からない」と語った。

その上で「FRBは利上げと量的引き締め(QT)によって対応する必要がある。私解ではQTが必要だ。金融システムには非常に潤沢な流動性が存在するため、FRBの選択肢は限られている」と述べた。

JPモルガンは「ハリケーン」に備えて「バランスシートを非常に保守的に運営する」とし、「誰もが身構える必要がある」と述べた。

米金融大手ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)のチャーリー・シャーフ最高経営責任者(CEO)は1日、連邦準備理事会(FRB)が経済のソフトランディング(軟着陸)に向けて政策運営することは「極めて困難」になると警告した。

「ソフトランディングというシナリオは、今のような環境下では達成が極めて困難だ」と指摘。「インフレ抑制に景気は減速する必要がある。短期間の景気後退があったとしても、それほど深いものではなく、その間に多少の痛みはあるだろうが、全体として見ればそこから皆がうまく抜け出すだろう」と述べた。

また、全体的に個人消費は堅固だが、成長が鈍化していると発言。「企業は依然として支出しており、在庫を増やしている。われわれは消費者と最終的には企業が弱体化すると予想している。これはFRBが意図していることの一部だが、できれば建設的な方法を願う」とも語った。

イエレン米財務長官は1日、カリフォルニア州の港湾が稼働し続けることは国内サプライチェーン問題を悪化させないために重要と述べた。

バイデン大統領との会談後のCNBCとのインタビューで長官は、大統領は同州での労働状況を注視監視していると指摘。また、インフレは高すぎるとし、大統領と経済政策当局が取り組むべき最優先課題だと改めて表明した。