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新型コロナウイルス禍への追加経済対策として、昨年3月に成立した1兆9000億ドル(現行レートで約249兆円)の「米国救済計画(ARP)」について、インフレ高進につながる可能性を懸念したイエレン財務長官が規模を3分の1削減するよう、バイデン政権当局者に当初呼び掛けていたとの内容がイエレン氏の評伝の新刊書見本で示された。

  この本の著者で、ワシントンで1983年から経済や政治を取材しているジャーナリストのオーウェン・ウルマン氏は「過度の政府資金があまりにも急速に経済に流入している」との点でイエレン氏はサマーズ元米財務長官の意見に「内々では同意していた」と記した。書籍「Empathy Economics(仮題、共感の経済学)」は9月27日発売の予定。

  しかし、イエレン氏は4日の声明でこうした指摘に異議を唱えた。「バイデン大統領の就任当時、米国は深刻な経済的課題に直面していた。経済の不確実性が非常に高まった時期であり、大恐慌に匹敵する恐れのある景気下降の合理的なリスクがあった」と同氏は振り返った。

  その上で、「私がより小型化した米国救済計画の採用を呼び掛けたことはない。米国の実質DGP(国内総生産)は他の先進諸国のペースを上回る伸びとなり、労働市場は過去の経験と比較して急速に回復しており、ARPが21年とその後の力強い成長の推進に中心的役割を果たしたと信じる」と強調した。

  出版社のパブリックアフェアーズによれば、ウルマン氏は執筆のためのリサーチでイエレン氏にフィルターなしのアクセスを得た。イエレン氏の複数の同僚の話では、同氏は1兆3000億ドルに近い規模とすることを望んだが、大統領が掲げた1兆9000億ドルのパッケージと、議会の一部で支持があった1兆ドル未満との選択では、大きい方が良い方向だと確信した」とウルマン氏は著述している。

  一方、イエレン氏は4日の声明で「高インフレは現在、バイデン政権の最優先の経済課題だ。われわれは連邦準備制度の独立性を尊重して行動の余地を与えることでそれに対処することにコミットしている」とコメント。「われわれは手元にある政策手段を使って供給面の障害に取り組むとともに、処方薬などの分野で米国民が直面する高コストの一部を引き下げるよう議会に行動を訴えている。インフレ圧力の緩和に向けた財政赤字の削減も支持する」との立場を示した。

  このほかウルマン氏によれば、イエレン氏は財政刺激計画を巡るサマーズ氏の懸念の一部に共感を抱きつつも、計画への同氏の攻撃には憤りを感じていたという。具体的には、大統領の政策リストにあるその後の支出案に反対する理由を共和党や、民主党中道派のマンチン上院議員らに与えることで、サマーズ氏が自ら所属する民主党に「多大な苦悩をもたらしたと、イエレン氏はいら立ちを感じていた」と書き記した。

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原題:

Yellen Wanted Biden Relief Plan Scaled Back, Biographer Says (1)(抜粋)