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アメリカの連邦最高裁は24日、妊娠15週以降の人工妊娠中絶を原則として禁止する南部ミシシッピ州の法律が憲法違反にあたるかどうかが争われた裁判について、州法は合憲だという判断を示しました。

そのうえで「憲法は中絶する権利を与えていない」として、半世紀近くにわたって判例となってきた1973年の「中絶は憲法で認められた女性の権利」だとする判断を覆しました。

中絶を支援する団体によりますと、今回の判断を受け、南部や中西部を中心に全米の半数余りにあたる26の州で、今後中絶が厳しく規制される見通しだということです。

判断について中絶容認の立場をとる民主党や権利の擁護を訴えてきたリベラル層は「女性の権利を後退させるものだ」として各地で抗議デモを行うなど強く反発しています。

バイデン大統領は「裁判所と国にとって悲しい日だ。アメリカの女性の健康と命が危険にさらされている」と述べて判断を非難しました。

一方で、キリスト教保守派の1つ、福音派の信者として知られる共和党のペンス前副大統領ツイッターに「命が勝利した。多数派の判事の勇気を称賛する」と投稿するなど、中絶に反対する共和党や保守層からは歓迎の声が上がっています。

中絶をめぐる司法判断の転換に対し、アメリカ国内の受け止めは大きく分かれていて、今後、社会の分断がいっそう深まるおそれもあります。

アメリカのバイデン大統領は、連邦最高裁の判断を受けてホワイトハウスで演説し、「裁判所と国にとって悲しい日だ。この極端な判断のせいで、女性が性暴力によって妊娠させられた子どもを産まざるをえない状況になってしまう。保守派の判事が多数を占める最高裁判所がいかに極端で、いかに多くの国民の感覚からかけ離れているかを示している」と述べ、強く非難しました。

そして、「中絶の権利を守らなくてはならない。それを実現するための政治家を当選させる必要がある。中絶の権利は投票にかかっている」と述べ、秋の中間選挙で、与党・民主党への支持を訴えました。

一方で、抗議活動が過激化することを懸念して、「この判断について、どれほど憂慮していても、抗議は平和的に行ってほしい。暴力は決して受け入れられない」と呼びかけました。

連邦最高裁の判断を受けてトランプ前大統領は声明を発表し、「きょうの判断は、私が国民に約束したとおり、高く評価されている3人を最高裁判事に指名し、承認させたからこそ実現したのだ」として、大統領の任期中に3人の保守派の判事を指名したのは、みずからの功績だと強調しました。

アメリカの連邦最高裁の判断は9人の判事の多数決で決まるため、保守派とリベラル派の判事の構成比が大きく影響します。

判事は終身制で、死亡するか、みずから退任した場合のみ、大統領が後任を指名します。

現在の顔ぶれは、トランプ前大統領が任期中に保守派の判事3人を指名したことで、保守派6人、リベラル派3人と保守派が多数となっています。

今回の判断では、9人のうち保守派の6人全員が、妊娠15週以降の中絶を原則として禁止するミシシッピ州の法律を合憲とすることに賛成しましたが、このうちの1人は、中絶は憲法で認められた権利だとした判断を覆すことについては賛成せず、5対4の僅差となりました。

ワシントンの連邦最高裁判所の前には24日、アメリカ各地から中絶の容認を訴える人たちと反対を訴える人たちの双方が大勢集まりました。

裁判所の判断が出ると、中絶容認派の人たちは、「ショックだとしか言いようがありません。多くの女性が今後、どうすればいいのか途方に暮れると思います」と嘆いたり、「この国で今後、何が起きるのかとても恐ろしいです」と訴えたりしていました。

一方、中絶反対派の人たちからは、「最高裁の判断によって、どれだけ多くの命が救われるかと思うと、とても興奮しています」とか、「何年もの間、中絶の禁止を願って活動を続けてきたので感激しています」などと評価する声が聞かれました。

世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」が、1995年から行っている調査によりますと、アメリカでは人工妊娠中絶を「合法とすべき」だと考える人の割合が、「違法とすべき」だと考える人の割合を一貫して上回っています。

今月発表された最新の世論調査でも、「すべての場合で合法とすべき」と「ほとんどの場合で合法とすべき」を合わせると61%で、「すべての場合で違法とすべき」と「ほとんどの場合で違法とすべき」を合わせた37%を大きく上回りました。

支持政党別で見ると、「合法とすべき」と回答したのは民主党支持者では80%だったのに対し、共和党支持者では38%にとどまり、支持政党による違いがはっきりと表れています。

アメリカでは人工妊娠中絶をめぐって1973年、連邦最高裁判所が「中絶は憲法で認められた女性の権利」だとする判断を示しました。

きっかけとなったのは、南部テキサス州の妊婦が起こした訴訟で、「母体の生命を保護するために必要な場合を除いて、人工妊娠中絶を禁止する」とした州の法律は女性の権利を侵害し、違憲だとして訴えたものでした。

裁判は、原告の妊婦を仮の名前で「ジェーン・ロー」と呼んだことから、相手の州検事の名前と合わせて「ロー対ウェイド」裁判と呼ばれています。

最終的に連邦最高裁は、「胎児が子宮の外で生きられるようになるまでなら中絶は認められる」として、中絶を原則として禁止したテキサス州の法律を違憲とし、妊娠後期に入るまでの中絶を認める判断をしました。

根拠としたのは、プライバシー権憲法上の権利として認めた合衆国憲法の修正第14条です。

憲法では、中絶について明文化されていないものの、最高裁は女性が中絶するかどうかを決める権利もプライバシー権に含まれると判断しました。

これが判例となり、以後およそ50年にわたって、中絶は憲法で認められた女性の権利だとされてきましたが、近年、特に共和党の支持者が多い地域で、女性の、みずからの体についての選択よりも、宿った命こそが大切だとして、人工妊娠中絶を厳しく規制する法律が相次いで成立していました。

調査会社「ギャラップ」が、今週23日に発表した世論調査の結果によりますと、アメリカで連邦最高裁を信頼する人の割合はこれまでで最も低くなっています。

調査は先月、アメリカの一部メディアで、連邦最高裁が中絶の権利を認めた過去の判断を覆す見通しであることを示す文書が報じられたあとの今月1日から20日にかけて行われました。

それによりますと、連邦最高裁について「非常に信頼している」、または「かなり信頼している」と回答した人は、合わせて全体の25%にとどまりました。

これは去年に比べて11ポイント低く、1973年に調査を始めてから最も低くなったということです。

支持政党別で見ると、リベラル層が中心の民主党支持者の間で17ポイントと大きく下がった一方、保守層の多い共和党支持者では2ポイント上がっています。

調査では、連邦最高裁が中絶をめぐる過去の判断を覆した場合、アメリカ国民からの信頼がさらに下がる可能性がある一方、新たな判断の理由について国民が納得すれば、上がる可能性もあると指摘しています。

全米で中絶をする女性を支援しているNPO「プランド・ペアレントフッド」のジョージアナ・ハンソンさんは、連邦最高裁が中絶の権利を認めた過去の判断を覆したことに対し、「きょうの判断は壊滅的だ。憲法で守られてきた中絶の権利が失われるのは49年間で初めてのことで、この国に壊滅的、かつ連鎖的な影響を及ぼすだろう」と述べ、50年近く認められてきた女性の権利が失われることに深い懸念を示しました。

そのうえで、「中絶は医療だ。誰であろうと、どこに住んでいようと、どれだけの収入があろうと、誰もが必要な医療を受けられるべきで、それは私たち全員が持つべき権利だ。誰もが妊娠や出産についての決定を自分自身で下せるようになるまで、私たちは闘い続ける」と述べ、法律の整備を求めるなどして、中絶を希望する女性たちの支援を続けていく考えを示しました。

全米規模で活動する中絶反対派の団体の会長キャロル・トビアスさんは、連邦最高裁の今回の判断について「過去の判断は重大な誤りで、彼らはそれを正してくれた。最高裁が胎児を守る権利の必要性に同意したことを心からうれしく思う」と述べ、歓迎しました。

そのうえで、「きょうの判断は大きな一歩だが、私たちが望む世界にはまだ遠い。なるべく多くの赤ちゃんの命を守る法律を成立させるため、できるかぎりのことをしていく」と述べ、中絶禁止の実現に向けて、活動に一層力を入れる決意を示しました。

米連邦最高裁が24日、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下したことを受け、国内の約半数の州が中絶の制限に動く見通しとなる中、ウォルト・ディズニーやメタ・プラットフォームズなどの企業は相次いで、州外で中絶手術を受ける必要の従業員の交通費などのコストを支援する方針を表明した。

ディズニーは引き続き、従業員による中絶を含むヘルスケアへのアクセスを確実にすると表明。メタは州外で生殖に関する医療サービスを利用する際に交通費を払い戻す方針を示しつつも、法的に複雑な状況を踏まえ、最良の方策を見極めていくとした。

金融大手ゴールドマン・サックスバンク・オブ・アメリカも州外での中絶に関する旅費を負担すると表明した。

アップルは、従業員が生殖に関する健康について自身で決定を下すことを支援する方針を改めて示し、州内で受けられない医療サービスが必要な場合には、同社の健康保険によって交通費がカバーされるとした。

5月24日、テキサス州ユバルディの小学校に18歳の男が押し入って銃を乱射し、児童19人を含む21人が死亡しました。男はその場で射殺されました。

現場の小学校には、犠牲者の名前が書かれた十字架が立てられて、24日も人々が祈りをささげ、訪れた人は「銃を販売する際の手続きを厳しくすべきです」と話していました。
事件を受けて、アメリカでは銃規制を求める声が高まり、連邦議会の下院は24日、著しく危険とみなされた人物から銃を没収できるように州政府を財政面で支援することなどを盛り込んだ銃規制強化の法案を可決しました。

バイデン大統領の署名をもって近く成立する見通しで、本格的な銃規制としては28年ぶりになるとして、地元のメディアは大きく伝えています。

ただアメリカでは前日の23日に連邦最高裁判所が、拳銃の携行を制限しているニューヨーク州の州法は銃を所持する権利を保障する憲法に違反しているという判断を示すなど、銃規制の在り方をめぐっては依然分断が続いています。

今回可決した銃規制の法案には、「レッドフラッグ法」と呼ばれる銃規制の法律を各州で成立させるための支援を行うことも盛り込まれています。

「レッドフラッグ法」は、銃で脅そうとするなど著しく危険と見なされる人物から一時的に銃を没収できる法制度で、精神的に不安定だったり、自殺願望がみられたりする人にも適用されます。

没収は警察などからの申請に基づいて裁判所の判断で行われ、全米では19の州と首都ワシントンで導入されています。

南部フロリダ州では、2018年に高校生など17人が死亡する銃撃事件が起きたあと導入され、ことし4月までの4年間で一時的な没収はおよそ9000件に上っています。

このうち、州内でもっとも多くの没収を行ったポーク郡保安官事務所のグレイディ・ジャッド保安官は、「銃を使った事件を起こすと脅す人がいるなら、銃を持たせないようにするのは当然のことだ。銃撃事件をなくそうとするなら、司法当局が介入できる必要がある」と話しています。

「レッドフラッグ法」の効果について、カリフォルニア州立大学デービス校がおよそ200件の没収事例について調べたところ、30%のケースで対象者が銃撃事件を起こすと脅していたということで、ベロニカ・ペア助教は、「銃撃につながるリスクが高いケースで危険を取り除くことができたという点で非常に効果がある」と分析しています。

また、アメリカで最初に「レッドフラッグ法」を導入した東部コネティカット州の法案作成に関与したニューヘイブン大学のマイク・ローラー准教授は、「この法律の目的は、責任ある市民から銃を取り上げるのではなく、銃が持つべきではない人の手に渡るのを防ぐことだ」と述べ、アメリカの憲法で保障されている銃を所持する権利を尊重しながら銃規制を強化することは可能だと指摘しています。

保守層が強いアメリカ南部テキサス州では、共和党アボット知事が銃規制の強化に反対の立場で、学校の安全を守るためだとして、一定の訓練を受けた教師に銃の携行を認める「ガーディアン・プラン」と呼ばれる政策を進めています。

州の委託を受けて訓練を実施している施設によると、5月24日にテキサス州ユバルディの小学校で銃撃事件が発生して以降、受講者は増えているということです。

「ガーディアン・プラン」を導入している学校は、校舎の入り口に「学校は武装した職員によって守られている」と表示しています。

ただ、どの教師が銃を持ち歩いているのかなどについては、安全管理上の理由から児童や保護者には伝えていないということです。

また銃を持った不審者が入ってきた時には、ボタン1つですべての校舎のドアをロックできる設備を導入するなど、銃犯罪は起こりうるという前提で安全対策をとっています。

教師に銃を携行させるべきという考えは、トランプ前大統領も先月、テキサス州で開かれた銃規制に反対するロビー団体全米ライフル協会」の年次総会で示しています。

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