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日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の軋みが顕在化している。市場から大量に買い入れた一部の国債流動性が低下、日銀は「減額措置」という異例の対応で、市場に再び国債を供給している。市場は需給改善につながると好感しているが、返却されるはずの国債を市場に残す形で金利維持と流動性確保の両立に取り組む状況は、政策の限界的症状を示すとの指摘も多い。

<日銀保有額が減少>

YCCのもと、大規模な国債買入れを続ける日銀だが、一部の国債保有額が減少している。8日時点の銘柄別国債保有残高によると、10年356回債の保有残高は5兆1336億円となり、6月30日時点の5兆3120億円より1784億円減った。

この間、日銀は資産売却のオペを行っておらず、財務省のバイバック(買入消却)もなかったため、金融機関が日銀から借りた国債の返品を免除される「減額措置」が実施されたとの見方が市場ではもっぱらだ。

日銀は6月17日に「減額措置」を利用しやすくする制度改正を発表。一部の金融機関がさっそくこの措置を利用した背景には、国債の大量買い入れに伴う流動性低下への懸念があったとみられる。

6月、海外の投機筋の売り仕掛けに対応するために行った指し値オペなどの結果、一部の国債流動性が低下、決済日に現物の債券の受け渡しができない「フェイル」が増加した。日銀が発表したデータによると、「フェイル」は6月に1234件と、5月の394件から急増。額面総額も3兆5264億円と前月の8900億円から大きく増えた。

国債流動性維持のため、日銀は国債補完供給を実施、金融機関に国債を供給した。同制度では、通常は金融機関が日銀から供給された国債を、一定期間後に返すのが原則だが、返品の目途が立たなかったり、流動性の改善に資する場合は一定の手数料と引き換えに返品が免除される。「減額措置」に掛かる手数料は国債1億円当たり3万円強とみられている。

流動性の低下に伴い、国債補完供給制度の利用は急増。6月15日に日銀がチーペスト銘柄の連続指し値オペを発表すると、翌16日の国債補完供給では356回債の応札額が9789億円と15日の3.5倍に膨らんだ。

<「減額措置」のコスト、やむを得ず>

市場では「減額措置」を好感する声が多い。市場が日銀からチーペスト銘柄などの国債を買い戻しているとすれば「需給改善につながる」(野村証券のチーフ金利ストラテジスト、中島武信氏)という。356回債の日銀の保有比率は7月8日時点で75.7%に低下、「減額措置」によって市場の356回債保有額が増えたことになる。

しかし「日銀が買い入れた国債を日銀自ら市場に戻し、次回以降の国債買い入れの原資としているようなものだ」(アナリスト)との見方もでき、「YCC政策の限界を示している」(国内証券)との声もある。

7月14日の10年356回債の国債補完供給の落札額は1515億円。金額は6月のピーク時よりも減少しているが、流動性は十分に回復してはおらず、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介・債券ストラテジストは「今後も減額措置が利用され、同銘柄の日銀保有残高が減少する可能性がある」と指摘している。

日銀では、YCCのもと、10年債金利が許容上限の0.25%に接近する局面で多少のコストが発生するのは政策の仕組み上やむを得ず、10年金利を0.25%で抑えることを優先すべきだとの見方が強い。

「減額措置」の実施については、日銀からコメントは得られていない。

#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政