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イギリスのクワーテング財務相は3日、トラス政権が打ち出していた経済対策のうち、来年4月に所得税最高税率を現在の45%から40%に引き下げる案を、撤回すると発表しました。

クワーテング財務相は「われわれは多くの人と話し、反応を目の当たりにした。その結果、この税率引き下げが、エネルギー問題などに対するわれわれの強力な介入をかき消していると感じた」と述べ、光熱費の抑制策などを推し進めることを優先させたと説明しました。

トラス首相も、前日に出演した公共放送BBCの番組では、起業や投資を促すとして、税率の引き下げを予定どおり行うと明言していましたが、3日、ツイッターに「私たちは理解し、聞き入れた」などと書き込みました。

税率の引き下げをめぐっては、イギリス国内のインフレ率が記録的な水準となる中、富裕層の優遇だという批判が与党 保守党内からも上がっていました。

大手調査会社「ユーガブ」が先月下旬に行った政党の支持率調査では、保守党が21%だったのに対し、野党 労働党が54%と、その差が広がっていて、トラス政権は軌道修正を余儀なくされた形です。

トラス英首相は減税計画の財源を確保するため、福祉手当に対する物価スライドの適用を制限する可能性を否定しなかった。首相の経済対策に対する反発が再び強まるとみられている。

政府は先月、400億ポンド(460億ドル)以上の減税を発表したが、財源を明示しなかったため、金融市場が混乱。富裕層優遇と批判された所得税最高税率引き下げの撤回を余儀なくされた。

トラス首相はBBCに対し、福祉手当がインフレ率に応じて引き上げられるのかとの質問に「債務の対国内総生産(GDP)比を中期的にどう抑制するか決断を下す。あらゆる角度からこうした問題を検討し、財政に責任を持つ必要がある」と述べた。

トラス英政権は所得税最高税率引き下げ計画を撤回し、経済政策を急転回させた。しかし、政府が経済計画の財源を示すよう求められている状況に変わりはないと投資家は警鐘を鳴らしており、今回の政策転換は信認回復に向けた最初の一歩に過ぎないかもしれない。

クワーテング財務相が9月23日に大規模な減税計画を発表すると、財政悪化への懸念からポンドが対ドルで過去最安値を更新し、英国債相場が急落するなど金融市場は混乱。担保の追加拠出を迫られた年金基金金策に奔走する事態となり、9月28日にイングランド銀行(英中銀、BOE)が英国債の緊急買い入れに動いた。

金融市場は表面上、前週よりも落ち着いている。3日に所得税最高税率の引き下げ撤回が発表されるとポンドはじりじりと上昇し、英国債利回りは低下した。

だが、投資家の発するメッセージは明白で、クワーテング氏は予算管理に関する英国の評判を傷つけることなく、成長計画の財源を賄えると投資家を納得させる必要がある。

ラボバンクの為替・金利戦略部長、ジェーン・フォーリー氏は「BOEの緊急措置が終了する数週間後には、答えが明らかになる」と見ている。BOEの国債買い入れ終了は14日。「英国の資産、ポンド、国債は、まだ危機を脱していない」と同氏は述べた。

トラス氏とクワーテング氏が、将来の成長を約束するだけでは財政拡大・減税政策の財源の説明には不十分だと認めない限り、市場はすぐに混乱へと逆戻りする恐れがある。

英国債市場が深刻な機能不全に陥れば、インフレ率が過去40年間で最も高い水準に迫っているにもかかわらず、BOEには国債買い入れ継続の圧力がかかるだろう。

こうした事態になればBOEが財政ファイナンスに巻き込まれ、インフレ抑制という使命において妥協し、本格的な「財政従属」の扉を開くことになりかねないと、エコノミストは危惧している。

証券会社パンミュア・ゴードンのチーフエコノミスト、サイモン・フレンチ氏は「経済計画に盛り込まれた税制変更に問題点があるのではなく、計画に先立つ制度的な『焦土政策』にある。この問題が解消しない限り、英国のリスクプレミアムは低下しないだろう」と話した。

フェデレーテッド・ハーミーズの債券部門シニア・ポートフォリオ・マネジャー、オーラ・ガーベイ氏は先週の段階で、BOEの買い入れが終了すれば、英長期国債の利回りは上昇に転じる可能性が高いとの見方を示していた。

英国債は、BOEが買い支えの対象とした長期ゾーンを除くと、他の大半の年限は経済計画発表後の下落分を取り戻していない。

ある年金基金のファンドマネジャーは先週、ロイターの取材に「BOEが10月に買い入れを停止したときにどうなるかを見極めなければならない。この措置は、ばんそうこうに過ぎない」と述べた。

<事実と向き合えるか>

英市場の暴落は世界の金融情勢が原因だと、トラス氏は繰り返し訴えてきた。

ロイターがリフィニティブとBOEのデータを分析したところ、10年物英国債は9月の月間の下げが少なくとも1957年以来で最も激しく、先進7カ国(G7)の10年物国債としては1987年以降で最大の下落だった。

閣僚の1人であるサイモン・クラーク氏は9月30日、英紙タイムズのインタビューで、市場の懸念は最悪期を脱したと述べた。しかし、米大手銀などのエコノミストは、3日の政策転換後もそのような確信を抱いてはいない。

米シティのアナリストは「今重要なのは、今回の動きが政府の財政的アプローチについて、より広範な方向転換を示すものかどうかだ」と指摘。ノートで「市場はまだ納得していない」とくぎを刺した。

保守党は世論調査での支持率が低く「トラス氏の立場が当初から弱かったことを考えると、支持率低迷によって首相に(軌道修正を)求める圧力が一層高まる」と予想した。

政府が市場の沈静化に失敗すれば、国債買い入れの期限が近づくにつれてBOEへの圧力は強まるだろう。

シンクタンク、チェンジング・ヨーロッパのジョナサン・ポーテス氏によると、BOEが財政従属に抵抗し、使命を全うすればポンドは安定するが「そのコストは相当のものになる」と予測する。

その場合はBOEが金利を大幅に引き上げる可能性があり、減税政策のコストを負担するのは住宅所有者や企業、公共サービスとなる。

「しかし、そうしなければポンドは下がり続け、インフレはさらに上がって、それが長期化し、英国は投資先としての魅力が確実に低下する。この場合も、やはり私たち全員がその代償を負うことになる」とポーテス氏は語った。

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