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27日の市場で英国債は朝方に買われたものの続かず、長期債を中心に下げに転じた。今後の国債増発を投資家が警戒したほか、イングランド銀行(英中央銀行)チーフエコノミストのヒュー・ピル氏は、インフレを抑制するため金融政策を引き締めるべきだと論じた。

  30年債利回りは一時47ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の5.01%と、2002年以来の高水準に達した。英政府は2053年が償還期限のグリーンボンドを28日にも追加発行する準備を進めており、先週発表した経済対策の財源を確保するため国債発行が続くと見込まれる。

  ピル氏はクワーテング財務相が23日に発表した経済対策案で、重大な政策対応が必要になったと主張。英中銀が大幅な利上げを迫られるとの観測を強めた。同中銀は市場のリプライシングに無関心ではいられないとも、ピル氏は語った。

英中銀ピル氏、金融政策で「有意な」対応が必要-新政府の財政計画で

  ピル氏の発言後、短期金融市場は英中銀の利上げ見通しを引き上げた。来年5月の政策判断発表後の時点までで政策金利は4ポイント上昇して6.25%になることを織り込んでおり、そうなれば2001年以来の高水準となる。

原題:

UK Long Bonds Slump to Send 30-Year Yield to Highest Since 2007(抜粋)

27日の英国債市場では、20年債と30年債を中心に英国債利回りが数年ぶりの高水準を付けた。クワーテング英財務相による大幅減税発表後の利回り急上昇が続いている。

30年債利回りは約50ベーシスポイント(bp)上昇し5%弱と2002年以来の高水準。20年債利回りは35bp上昇。10年債利回りも上昇が続き、月間では少なくとも1957年以降で最大の上昇となる勢い。

イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏が27日、大規模減税に対して「大幅な政策対応」を行う可能性が高いが、11月の次回会合まで行動を起こすべきではないと述べたことを受け、利回り上昇に拍車がかかった。

イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は、英中銀が機能不全の市場で英国債を売却することはないが、ファンダメンタルズの変化を反映した急激な価格変動は英国債の売却を一時的に停止する理由にはならないと述べた。

「われわれは機能不全の市場で売却するつもりはない」とした上で、「現在の市場環境が多くの人々にとって厳しいものであることは理解しているが、ファンダメンタルズを反映した秩序ある価格決定である限り、量的引き締め(QT)を継続できる環境であり、続けるべきだ」とした。

英国債利回りは27日に数年ぶりの高水準を記録した。

英政府が打ち出した減税政策は海外の政策当局者の間で懸念を引き起こしている。米金融当局者からはこうした政策を受けた金融市場の混乱で、世界経済への向かい風が強まるとの見解も示されている。

  米アトランタ連銀のボスティック総裁は26日、英金融市場の悪化は世界のリセッション(景気後退)の確率を高めるかとの質問に対し、「助けにはならない」と回答。

  ボスティック氏は米紙ワシントン・ポスト主催のオンライン討論会で「減税案に対する反応として見られている状況は、新たな行動で景気の不確実性が高まるとの現実の懸念、不安だ」と指摘。「同減税案は実際に不透明感を強めており、景気の先行きについて疑問を生じさせている」と語った。

ボスティック総裁、英国の混乱が米経済に悪影響及ぼすリスク指摘

  この数時間後、リントナー独財務相もドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)が主催したイベントで、1970年代初期以来となる英大型減税に疑問を投げかけた。英減税案の発表はポンド下落と債券利回りの上昇につながった。

英国が25.5兆円経済対策、1972年以来の大型減税-通貨と国債急落 (2)

  リントナー氏は「英国では、中央銀行がブレーキを踏むのと同時に、政府はアクセルペダルを踏むという壮大な実験が始まりつつある」と発言。「われわれはこの試みの結果を待ってから、教訓を導き出す意向だ」と述べた。

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  欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁も27日、英減税に批判的な見方を示した。

  センテノ氏はリスボンでの会議で「英国で見られている反応は厳しい状況を生み出す可能性があると容易に予測できるだろう」と話した。

  サマーズ元米財務長官は23日、英政策を「甘い」と批判していた。

サマーズ氏、英経済政策でポンドは対ドル等価割れも-日銀介入も批判

原題:

Truss’s UK Tax Cuts Raise Concern Among Fed, German Officials(抜粋)

英国のクワーテング財務相は自身の経済・財政政策がうまくいく「自信がある」とし、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)との緊密な協力関係の必要性を強調した。大手銀行や保険会社、資産運用会社との会合で語った。

クワーテング氏が23日に経済対策を明らかにしたのを受け、投資家はトラス新政権への信認を喪失。ポンドは対ドルで急落し、26日に一時1.0327ドルの過去最安値を更新した。英国債は売り浴びせられた。

クワーテング氏のオフィスによると、同氏は会合で「成長計画と今後の中期財政計画について(中央)銀行と緊密に協力することで、われわれのやり方はうまくいく自信がある」と語った。

クワーテング氏はベイリー英中銀総裁と毎日話し、両者は緊密に連携していると主張した。

クワーテング氏は「われわれは必要性があったため、エネルギーについて拡張的な財政スタンスで緊急の対応をしてきた」とし、「新型コロナウイルス流行とウクライナ(での戦闘)という2つの外的なショックがあり、介入が必要だった。高い税負担も持続不可能だった」と主張した。

英政府は2021年に定めた部門別支出制限を見直すことはないだろうとし、金融規制を緩和したいとの意向も示した。

クワーテング氏は「来月のビッグバン2.0は私の最重要課題だ。(ロンドンの金融街)シティーと英国をこれまでのように世界第一級の金融センターに戻す必要がある」と言及。「経済成長の原動力となる金融サービスの分野で規制を自由化できることはたくさんある」とも訴えた。

国際通貨基金IMF)は27日、市場の混乱につながっている英国の新たな財政政策について、大規模で的を絞っておらず、国内の不平等拡大を招くほか、金融政策の効果を損なう恐れがあると警告した。

大規模な減税や歳出拡大の代わりに、より的を絞った世帯・企業向け支援を行うよう当局に促した。

IMF報道官は「最近の英経済動向を注意深く監視し、当局と連携している」と表明。「英国を含む多くの国でインフレ圧力が高まっていることを踏まえると、現時点では大規模で的を射ない財政政策は推奨しない。財政政策が金融政策と食い違わないことが重要だ」と語った。市場の懸念が高まる中、ポンドが過去最安値を更新したことを受け、ロイターが取材した。

クワーテング英財務相は23日、大規模な減税と大幅な借り入れ増額を発表。これを受け金融市場には動揺が広がり、ポンドや英債価格が急落した。

同相は26日、市場混乱を受け、11月23日に中期的な債務削減計画を発表すると表明した。

IMF報道官は「英国の措置は不平等を拡大させる見通しだ」と指摘。11月23日に公表される計画については「英政府にとって、より的を絞った支援の方法を検討し、特に高所得者に有利な税制措置を見直す早期の機会になる」と語った。

クワーテング英財務相が28日の銀行関係者との会合で、ポンド安を想定したポジションを取らないよう要請するとのスカイニュースの報道について、財務省筋はこれを否定した。

財務省は公表できるコメントはないとした。

イングランド銀行(英中央銀行)は28日、市場の安定化に向け、長期国債の一時買い入れを開始すると発表した。予定していた国債の売却は延期する。

「9月28日から英長期国債の一時的な買い入れを実施する。市場の秩序を回復することが買い入れの狙いになる」との声明を発表した。

保有する英国債8380億ポンド(8920億ドル)を今後1年で800億ポンド減らす目標は維持するが、市場の状況を踏まえ、売却開始を延期する。売却は来週開始する予定だった。

トラス新政権が先週、大型減税を柱とする財政政策を発表したのを受け、財政悪化懸念からポンドや英国債への売りが加速。この日、英30年債利回りは2002年以来となる5%台に乗せた。

英中銀は「市場の機能不全が継続ないし悪化すれば国内の金融安定に甚大なリスクが生じる。資金調達環境の正当化できない逼迫と実体経済への信用供与減少につながる」と指摘。

市場が安定化すれば、購入した国債を売り戻す方針で、損失が生じた場合は財務省が補償することに同意していると説明した。

「この買い入れは厳格な時限措置で、長期国債市場の問題に対応することを企図している」とした。

エコノミストのジュリアン・ジェソップ氏は28日、英経済が通貨安と金利上昇の「破滅のループ」に陥る恐れがあると警告した。最近の市場の動きは過剰反応との見方も示した。

ラジオ4に「ポンドの下落と長期金利の上昇を懸念するのは正しい」とし「通貨安、金利上昇、成長率低下という破滅のループに陥る危険性もある。これは明らかに新政権の目標を損なうものだ」と述べた。

「ただ過去数日間、市場関係者は過剰に反応したとも認識している」と語った。

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