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スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間の10日午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

受賞が決まったのは、
アメリカのFRB連邦準備制度理事会の元議長、ベン・バーナンキ氏、
アメリカのシカゴ大学の栄誉教授、ダグラス・ダイヤモンド氏、
アメリカのワシントン大学セントルイスの教授、フィリップ・ディビッグ氏の3人です。

スウェーデンの王立科学アカデミーは、現代の銀行についての研究では、銀行がなぜ必要なのか、銀行の破綻がいかに金融危機につながるかが明らかにされていますが、これらは1980年代はじめに行われた3人の研究が基礎となっているとしています。

そして、3人の研究はその後の金融市場の規制や金融危機の対処方法に重要な役割を果たしたとしています。

授賞理由について王立科学アカデミーは、「経済における銀行の役割への理解を深めた。それにより、金融市場への規制や金融危機への対処の仕方について多くの示唆を与えた」としています

ことしのノーベル経済学賞に選ばれたベン・バーナンキ氏はアメリカ、ジョージア州出身の68歳。

2006年にはアメリカの中央銀行にあたるFRB連邦準備制度理事会の議長に就任し、2014年までの2期8年にわたって、金融政策のかじ取りを担いました。

2008年のリーマンショックのあと、世界的な景気の悪化に歯止めをかけるため、政策金利を事実上のゼロ%に引き下げる「ゼロ金利政策」を実施するとともに、金融市場に大量の資金を供給する「量的緩和策」を打ち出しました。

FRBの議長に就任する前は、アメリカのプリンストン大学の教授などを務めました。経済学者としては、1930年代の世界恐慌の分析を行い、銀行の破綻を含む金融危機実体経済にどのような影響を及ぼすかなどについて、研究を行いました。

スウェーデンの王立科学アカデミーは、バーナンキ氏の業績について、銀行の預金が引き出され金融機関が破綻すると、貯蓄が投資に振り向けられなくなり、経済危機が深刻化し長引くメカニズムを明らかにしたとして、評価しています。

ことしのノーベル経済学賞アメリカの中央銀行にあたるFRB連邦準備制度理事会の議長を務めたベン・バーナンキ氏など3人が選ばれたことについて、慶應義塾大学の坂井豊貴教授に聞きました。

Q.3人の受賞の受け止めは?
A.新型コロナという世界的な危機が訪れ、世界が不況に陥ってしまうかもしれない中、各国の中央銀行は、低金利政策をとるなどして早期に対応した。その1つの基礎を与えたのが今回の受賞者たちだと言って良いかと思う。リーマンショックのときも、アメリカは早々に手を打ったという印象を持っているが、その背後にこうした学問があったはずだ。

Q.3人の研究の意義は?
A.資本主義の世界というのはお金が滞りなく循環することが大切だ。
銀行は最も重要なお金の中継点であり、そこがもし壊れそうになった場合は早期に手を打たねばならない。だから、例えば政府が預金保険の制度を整えておくとか、中央銀行が最後の貸し手としてきちんと信用を支えるとか、いわばパブリックな部門をきちんと整えておかなければいけないということが彼らの研究によって明らかになっている。

Q.マクロ経済学の研究で世界的に知られるアメリカ・プリンストン大学教授の清滝信宏さんの受賞を期待する声も出ていたが。
A.ノーベル経済学賞は発表されるときに、受賞理由を説明する論文も公表されたが、今回は、その中で清滝教授の研究について各所で触れられていた。今後も清滝教授のノーベル賞の受賞は期待されるのではないかと思っている。

スウェーデン王立科学アカデミーは10日、2022年のノーベル経済学賞ベン・バーナンキ元米連邦準備理事(FRB)議長、ダグラス・ダイヤモンド氏、フィリップ・ディビグ氏の3人に授与すると発表した。

「銀行と金融危機に関する研究」が対象。選考委員会は「バーナンキ氏は1983年の論文で、銀行の取り付け騒ぎが破綻につながり、それが30年代に比較的通常レベルの景気後退が大不況に発展したメカニズムということを統計的分析と歴史的資料を用いて示した」と指摘した。