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先週末、ブラジルのボルソナロ大統領の盟友と警察の間で激しい衝突が発生した。大統領選決選投票の投票日を今月30日に控えて政治対立が深まる中、既に白熱している選挙戦に新たな混乱の芽が生じている。

連邦警察は23日、元議員のロベルト・ジェファーソン氏の自宅を訪れ、オンライン上で判事を攻撃したとして最高裁命令で逮捕した。ジェファーソン氏は既に、裁判所を脅かす「反民主主義的行為」を組織的に計画したとして自宅軟禁下にあった。  警察が到着すると、ジェファーソン氏は警察車両に発砲し、音響閃光弾(スタングレネード)を投げつけた。警察官2名がけがを負い、逮捕するまでの交渉に8時間以上を要した。

ジェファーソン氏の行為は、30日の決選投票で左派のルラ元大統領を押さえて再選を目指す現職の右派ボルソナロ大統領にとって、大きな頭痛の種となっている。複数の警察官がロイターに明かしたところによれば、警察は犯罪に厳しく対処するボルソナロ氏の姿勢をこれまで強く支持してきたが、今回の事件については見方が内部で大きく割れているという。

この一件を受け、アナリストらが選挙を巡る暴力への懸念と、ボルソナロ氏が勝利する可能性の低下を指摘。24日にはブラジルの通貨と株価は急落し、打撃を受けた。

リオデジャネイロ州立大学の政治学者、マウリシオ・サントロ氏はこう分析する。

「我々が23日に目にしたことは、新たな政治暴力の波の前触れとなり得る。ボルソナロ氏が敗北した場合、選挙結果を受け入れられない支持層にとっては、とりわけそうだろう」

ルラ氏の陣営はこれが、候補者同士が舌戦を繰り広げ、脅迫や殺人が増加するような緊迫した選挙戦における「ボルソナリスタの暴力」の最新の例だとする広告を出して大きく取り上げた。

「憎しみや暴力、法への不敬だ。ロベルト・ジェファーソン氏は犯罪者なだけではない。対立候補の主な盟友の一人でもある」と、ルラ氏はインスタグラムに投稿した。

司法の行き過ぎだとして最高裁を非難し、「奴隷になる」ことを避けるため武器を取るよう支持者に訴えてきたボルソナロ氏は、素早くジェファーソン氏との距離を取ろうとした。23日遅くに公開された短い動画で、警察に対して発砲する人は誰であろうと「無法者だ」と発言し、自身の心は負傷した警官と共にあるとも付け加えた。

しかし、「彼と私が一緒に写っている写真は1枚もない」とするボルソナロ氏の主張は、大統領官邸で会う2人の写真がソーシャルメディアに投稿されたことで逆効果となった。

ジェファーソン氏の弁護士であるグスタボ・クンニャ氏は、ジェファーソン氏に警察官を殺害する意図はなく、「ここから出ていけ、というような、脅すための発砲だった」とロイターに説明した。

<警察の分断>

十数人の警察官が匿名でロイターに明かしたところによれば、ジェファーソン氏の逮捕劇によって、ブラジルを大きく分断する政治の二極化が連邦警察を直撃し、内部にも分断をもたらしている。

ブラジルの連邦警察にコメントを求めたものの、すぐには返答は得られなかった。

複数の警察官は、ジェファーソン氏が自宅軟禁下にありながら、自動ライフル銃や禁止されている音響閃光弾などを自宅の兵器庫に所有していたことに怒りを示した。

ボルソナロ氏は武器の購入制限を緩和し、2018年以降、猟師やコレクター、射撃を行う人に与えられた購入許可の件数は約5倍に増えた。

ロイターは7月、世界で最も殺人件数の多い国での治安維持がさらに困難になるとして、連邦警察がボルソナロ氏の銃政策に反対姿勢を示したと報道。

「なぜ複数の犯罪で名前が挙がっている人に対して、自動小銃も含めた武器所有の許可が与えられたのか。閃光弾を所有する権限などあったのだろうか」と、連邦警察の1人は疑問を呈した。

また、警官のビニシウス・セクンド氏がジェファーソン氏に対し、負傷した2人の警官は「官僚主義」だったと笑いながら冗談めかして話す動画がソーシャルメディア上で共有され、これにも怒りの声が集まった。

動画内でセクンド氏はジェファーソン氏に対し、「あなたが必要なことなら、我々は何でもやる」と話す場面もあった。

セクンド氏が同僚に宛てたメッセージをロイターが確認したところによれば、セクンド氏は「状況を落ち着かせる最良の手段として演技をしただけ」で、自身の行動は正しかったと弁解した。

ロイターが取材した複数の警官は、外部の人間は警察の危機対処について理解していない、としてセクンド氏を擁護。

ただ、他の警官からは、セクンド氏のジェファーソン氏への対応を、ファべーラと呼ばれるスラム街での警察の激しい作戦と比較する声も上がった。ブラジル警察は、世界でも最も多くの死傷者を出す警察組織として知られる。

「もし警察がファベーラで貧しい人々や黒人相手に取り締まりをやっていたのだったら、こうはならなかっただろう」と、ある警察官は話した。

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