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卵の卸売価格の目安となる「JA全農たまご」の東京地区でのMサイズ1キロ当たりの価格は、先月の平均で262円と、去年の同じ月と比べて55円値上がりし、統計を公表している1993年以降、11月としては過去最高となりました。

また、今月に入ってからの平均価格は273円と、2013年12月に記録した280円に迫る水準です。

多くの食材に使われる卵は生産の効率化が進んでいることから、価格の変動が少なく、「物価の優等生」とも言われています。

高値の理由について農林水産省では、ロシアのウクライナ侵攻でニワトリの餌となるトウモロコシなどの飼料価格が高騰しているほか、鳥インフルエンザの感染が、過去最多の処分数となった2年前を超えるペースで急拡大し、卵の出荷が減少していることなどが背景にあるとしています。

農林水産省では卵の店頭への供給が不足することはないとしていますが、需給の動向を引き続き、注視する必要があるとしています。

東京 墨田区のスーパーでは先月、10個入りの卵の店頭価格を10円値上げしました。
しかし、仕入れ価格は15円ほど上がっていて、採算はとれていないことから、さらに値上げを行うか、検討を迫られています。

買い物に来た30代の女性は「さまざまなものが値上がりしていて、子どもたちもよく食べるので、出費ばかりが増えて大変です」と話していました。

その一方で、60代の男性は「日本は海外と比べて物価が低いので、少しずつでも値段を上げていったほうがいいのではないか」と話していました。

スーパーイズミの五味衛社長は「卵は今までは安く売れる特売向きの商品だったので、大変厳しい状況です。さらに仕入れ価格が上がることも予想され、特売の回数も見直さなければならないかもしれない」と話していました。

卵のほかに、もやしや豆腐なども価格の変動が少なく「物価の優等生」と呼ばれていますが、これらも値上がりが続いています。

もやしは、ことし10月の消費者物価指数で去年の同じ月と比べて3.8%上昇していて、前年比プラスとなるのは12か月連続です。

生産者などで作る「工業組合もやし生産者協会」によりますと、「緑豆」と呼ばれるもやしの種は主に中国から輸入していますが、生産地の天候不順やほかの作物への転換が進んでいることを背景に、30年前と比べて緑豆の価格が3倍以上に高騰しているということです。

さらに生産や輸送に必要な原油価格も上昇していることから値上げに踏み切る生産者が増えているということです。

このほか豆腐も、原料となる大豆の価格が上昇していることから、10月の消費者物価指数で去年の同じ月と比べて6.2%上昇するなど、「物価の優等生」にも値上げの波が押し寄せています。

ことしも残すところ20日余り、正月のおせち料理にも影響が出ているところがあり、東京都内の仕出し料理店は例年よりおよそ3割、価格を値上げしています。

東京 練馬区にある仕出し料理店は毎年、正月のおせち料理の注文を受け付けていて、黒豆やだて巻き、昆布巻きなどの定番の品に加え、いくらやかずのこなど多くの海産物を入れているのが特徴です。

しかし、ことしは品をほとんど変えない中で、去年9720円だった価格を1万3000円に値上げしました。

店によりますと、ことしは海産物や野菜など食材の仕入れ価格が上がっているほか、おせちの容器や包みなども値上がりしています。

特に外国産の海産物は、円安や海外からの輸送費の高騰の影響で仕入れ価格の値段が例年に比べ、高いもので5割程度上がっているということです。

この店は、食品会社に価格の交渉を行うなどコストを抑える取り組みを続け、食品の量を減らして価格を維持することも検討しましたが、質を保つことを優先したいとやむなく値上げを決めたということです。

仕出し料理店「魚伊三」の小美濃一喜取締役は「おせちに関するものは一とおり価格が上がっていて、例年の価格で作るとスカスカのおせちになってしまいます。おせちは1年に1度の特別なものなので、質を保つことが大切だと考えました」と話していました。

一方、これまでに350個の注文があり、すでに予約は締め切っているということです。

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