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ロシアのウクライナ侵攻でLNG液化天然ガスの需給が世界的にひっ迫する中、日本の大手商社や電力会社が中東のオマーンから年間で200万トン余りを10年程度の長期契約で新たに輸入する方針を固めたことがわかりました。27日に契約に向けて基本合意する見通しです。

関係者によりますと、大手商社の三井物産伊藤忠商事、それに日本最大の発電事業者のJERAは、オマーンから3年後の2025年以降、年間で200万トン余りを10年程度の長期契約で新たに輸入する方針を固めました。

現地を訪れている西村経済産業大臣オマーンのエネルギー担当の閣僚が同席し、27日、合意文書への署名式が行われる見通しです。

このLNGの権益の一部は、三井物産伊藤忠商事などが持っていて、日本は現在、LNGの輸入量の2.6%にあたる年間190万トン余りをオマーンから輸入しています。

オマーンの輸出拠点などは、ペルシャ湾ホルムズ海峡の外側にあることから、紛争などの影響を受けにくいとされ、日本としてはエネルギー安全保障上、重要な輸入先と位置づけています。

オマーンとはほかの日本企業も交渉を行っているということで、合意すれば、輸入量はあわせて年間300万トン以上に増加する見通しで、LNGの需給が世界的にひっ迫する中、調達先の多角化が進むことになります。

政府は27日、総理大臣官邸で岸田総理大臣や野村農林水産大臣などが出席して「食料安定供給・農林水産基盤強化本部」を開き、食料安全保障の強化に向けた新たな大綱を決定しました。

それによりますと、農産物や肥料などを海外に過度に依存することを改め、国内の供給力を高める必要があるとしています。

そのうえで、2030年までの目標として、小麦の生産面積を去年と比べて9%、大豆は16%、それぞれ拡大させるため、水田の畑への転換や生産施設の整備を支援するとしています。

また、原料の大半を海外から輸入する化学肥料についても、使用量を2016年と比べて20%削減する方針で、代わりにたい肥などの活用を進めることにしています。

このほか、企業などによる「食品ロス」の削減も重要だとして、2030年度の廃棄量を2000年度に比べて半減させるとしています。

政府は、この大綱で定めた目標に沿って農産物や肥料の国産化を図り、今後、必要な法改正なども進めることにしています。

岸田総理大臣は総理大臣官邸で開かれた「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」の会合で「現下のウクライナ情勢を受け、食料安全保障の強化は緊急の対応が必要な世界の重要課題の一つだ」と述べました。

そのうえで「世界的な食料情勢や気候変動、海外の食市場の拡大など、わが国の食料農業を取り巻く課題の変化を踏まえ、野村農林水産大臣を中心に関係閣僚の協力を得て来年度中に『食料・農業・農村基本法』の改正案を国会に提出することを視野に、来年6月をめどに政策の展開の方向性を取りまとめてほしい」と指示しました。

大手商社の三井物産伊藤忠商事それに日本最大の発電事業者のJERAは、日本時間の27日午後、オマーンとの間で10年程度の長期契約を結び、2025年以降、年間で235万トンのLNGを新たに輸入することで基本合意したということです。

オマーンの首都マスカットでは日本とオマーン両政府の関係者が出席して合意文書の署名式が行われました。

これに先立って現地を訪れている西村経済産業大臣は「LNGの需給が引き続きひっ迫すると見込まれる中、日本のエネルギー安全保障にとって極めて有意義なものだ」と強調しました。

オマーン産のLNGをめぐっては三井物産伊藤忠商事などが権益の一部を保有していて、日本は現在、LNGの輸入量全体の2.6%にあたる年間190万トン余りをオマーンから輸入しています。

オマーンの輸出拠点は、ペルシャ湾のホルムズ海峡の外側にあることから、紛争などの影響を受けにくいとされ、日本としては今後の安定調達につながる重要な輸入先と位置づけています。

関係者によりますと、オマーンとはほかの日本企業も交渉を行っているということで、仮に合意すれば将来的な輸入量は最大で年間300万トン以上に増える可能性があり、調達先の多角化が進むことになります。

LNG液化天然ガスの輸入で中東のオマーンと長期契約を結ぶ意義について、日本エネルギー経済研究所の小山堅首席研究員に聞きました。

Q.LNG調達の多角化 なぜ必要なのか?
A.1つの供給ルートに依存しないで分散しておくと供給ルートに何か問題があったときも、影響を回避したり軽減したりできる。

ヨーロッパはLNGの調達をロシアに依存しすぎていたために大きな問題を抱えたが、日本の場合はこれまでもいろいろな国からLNGを輸入してきた。今回のオマーンとの長期契約も多角化の一環だ。

Q.オマーンとの長期契約はどう評価する?
A.2022年はロシアによるウクライナ侵攻の影響で国際的なエネルギー価格の高騰や市場の不安定化が起きた。LNGの安定供給の確保が世界的に最も重要な課題の1つだという認識も大きく深まった。

今回、オマーンとの間でLNGの長期的な契約が成立すれば、エネルギーの安定供給にとって大きな貢献になる。

Q.カタールと長期契約を結ばず 中国が枠を獲得した反省は?
A.ウクライナの危機が起こる前は、できるだけスポット取り引きをうまく活用して自由度の高い調達をやっていくほうが効率的であるという考えがあった。

しかし、危機の発生でやはり安定的な長期契約の価値は非常に高いと世界全体の認識が変わった。

Q.今後の課題は?
A.電力会社やガス会社などLNGの買い手は小売り事業の自由化という競争にさらされているため、非常に長い期間、買うことを約束するのが難しい面もある。

長期契約の種類は10年、15年、20年とさまざまだ。

経営面も考えながら長期契約をどのように確保していくかがこれから先、大きな課題になる。

日本の電源構成の7割以上を占める火力発電の主な燃料であるLNG液化天然ガスは、ほぼ全量を海外から輸入しています。

経済産業省によりますと、日本が輸入したLNGの量は去年は7432万トンに上りました。

国別で見ると、
▽最も多いのがオーストラリアで全体の35.8%を占める2660万トン余り、▽次いで13.6%を占めるのがマレーシアで1010万トン余り、
▽3位のカタールは12.1%を占める899万トン余り、
▽4位のアメリカは9.5%を占める706万トン余り、
▽そしてロシアが5位で8.8%を占める654万トン余りとなっています。

今回、日本が新たにLNGの長期契約を結ぶオマーンからの去年の輸入量は8位の190万トン余りで全体の2.6%を占めています。

ロシアによるウクライナ侵攻で、LNGの安定調達をめぐる状況が不透明さを増す中で、オマーンからの輸入量が今よりも増加することは調達先の多様化につながりプラスに働くものとみられます。

日本の電力会社やエネルギー関連企業が輸入するLNG液化天然ガスは、複数年にわたる「長期契約」かすぐに取り引きができる「スポット市場」で調達しています。

世界中でLNGが“取り合い”の状況になる中で、スポット市場の価格が高騰しているため比較的、安定した価格で購入できる「長期契約」を結ぶことはメリットがあるものと見られます。

日本のLNG調達のおよそ8割を占めるのが「長期契約」で、歴史的にその多くは原油価格に連動する形で決められています。

残りの2割を占めるのが「スポット市場」で日本の場合、主にJKM=ジャパン・コリア・マーカーと呼ばれる価格の指標で調達しています。

JOGMEC=エネルギー・金属鉱物資源機構によりますと、JKMの価格は市場が安定していた2019年はガス取り引きで使われる熱量の単位を表す100万BTU当たりでおよそ5ドル。

それがロシアによるウクライナ侵攻後のことし3月には過去最高の84.7ドルまで急騰しました。

その後、4月に入って徐々に下がったものの、6月から8月にかけてロシアからヨーロッパへの天然ガスの供給量が減ったことから、LNGの需給がひっ迫するのではとの懸念が出て再び70ドル台まで上昇しました。

足元ではヨーロッパでLNGの備蓄が進み、30ドル当たりで推移していますが、それでも2019年と比較すると5倍以上の価格になっています。

この冬以降、ヨーロッパの備蓄が減少し、LNGの調達を増やした場合は、再び価格が一段と上昇する可能性もあり、「長期契約」を増やすことは日本にとって大きな課題になっています。

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