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“大統領経験者の起訴 史上初めて”

アメリカ・ニューヨーク州、マンハッタン地区の大陪審は30日、トランプ氏を起訴しました。

罪状は明らかになっていませんが、トランプ氏をめぐっては、トランプ氏と不倫関係にあったと主張するポルノ女優に口止め料が支払われた問題について、検察が捜査を進めていました。

アメリカメディアによりますと、大統領経験者が起訴されるのは史上初めてだということです。

また検察は「トランプ前大統領の弁護士と連絡をとり、起訴された罪について罪状認否のためのトランプ氏の出頭について調整を始めた」と発表しました。

アメリカの複数のメディアはトランプ氏の弁護士の話として、来週4日にもトランプ氏が出頭要請に応じる可能性があると伝えています。

起訴されたことについてトランプ前大統領は声明を発表し「これは歴史上最大の政治的迫害と選挙への介入だ。民主党は、完全に無実な人間を起訴するという考えられないことをやった。この魔女狩りはバイデンにとてつもない形で跳ね返ってくるだろう」としています。

トランプ氏は、来年行われる大統領選挙への立候補を表明していて、今後の選挙戦やアメリカ政治にどのような影響が出るのか注目されています。

トランプ氏めぐり別の捜査も進む

トランプ氏をめぐってはこのほかにも司法当局による捜査が進められています。

司法省は去年11月、特別検察官を任命し、
▽南部フロリダ州のトランプ氏の自宅から最高機密を含む複数の機密文書が見つかった問題や、
▽2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件への関与について捜査を続けています。

またトランプ氏が3年前の大統領選挙で敗れた南部ジョージア州の結果を覆すよう、州当局に圧力をかけた疑いでも州の検察が捜査しています。

トランプ前大統領が声明「歴史上最大の政治的迫害」

トランプ前大統領は声明を発表し「これは歴史上最大の政治的迫害と選挙への介入だ。民主党は、完全に無実な人間を起訴するという考えられないことをやった。この魔女狩りはバイデンにとてつもない形で跳ね返ってくるだろう」としています。

また、自身が関係する企業が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し「これはかつてない規模の国家に対する攻撃だ。自由かつ公正だった選挙に対する継続的な攻撃でもある。アメリカは今や三流国家だ」として強く反発しています。

共和党 マッカーシー下院議長「先例のない権力の乱用」

野党・共和党マッカーシー下院議長はツイッターに投稿し「大統領選挙への介入の試みであり、われわれの国に取り返しのつかない損害を与えた」として、トランプ前大統領と不倫関係にあったと主張する女性に口止め料が支払われた問題について捜査しているニューヨーク州のマンハッタン地区の検事、ブラッグ氏を強く批判しました。

その上でアメリカ国民はこの不当な行為を許容することはない。議会下院は、ブラッグ氏の先例のない権力の乱用の責任を追及する」と対決姿勢を示しました。

裁判所前はものものしい雰囲気

ニューヨーク、マンハッタンにある裁判所の前には、トランプ前大統領の起訴のニュースを受けて、多くのメディアが集まっています。周辺には多数の警察官が警戒にあたり、ものものしい雰囲気となっています。

トランプ氏の弁護士も起訴認める

トランプ氏の弁護士はアメリカの複数のメディアに対し起訴されたとの連絡は受けていると認めたうえで罪状については現時点で知らされていないと話しています。

また、アメリカのニュースサイト ビジネスインサイダーは、弁護士が「ほかの事件と同様、私たちは最初から闘うつもりだ。即座に、積極的にこの誤った判断と闘う」と述べたと伝えています。

来年の大統領選挙への影響は

トランプ氏の起訴が伝えられたことを受けて、すでにトランプ氏自身が立候補を表明している来年の大統領選挙への影響が注目されています。

アメリカのメディアは、起訴されたり、今後、仮に有罪になったりした場合でも、立候補自体は可能だとの見方を伝えています。

背景にはアメリカの憲法が大統領になる要件について、アメリカ生まれであることや35歳以上であること、14年間以上アメリカに居住していることなどとし、犯罪歴などが制約になると明記していないためです。

トランプ氏自身も3月、司法当局からの捜査で起訴された場合について「選挙戦からおりる考えは毛頭ない」と述べ、立候補の意思に変わりはないと強調しています。

また、支持者やトランプ氏の求心力に与える影響についても大きな関心が集まっています。

トランプ氏をめぐっては、岩盤支持層と呼ばれる熱狂的な支持者が数多くいるとされています。2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件を受けて、歴代大統領で初めて任期中に2度目となる弾劾訴追をされた際や、自宅から機密文書が見つかった問題で司法省による捜査を受けても、岩盤支持層が大きく離れることはありませんでした。

その一方で、去年秋の中間選挙でトランプ氏が推す候補者が激戦州で相次いで敗れ、求心力の衰えを指摘する声がもともとあることに加え、大統領経験者として史上初めて、起訴されたと伝えられたことを受けて、穏健な共和党支持層などの離反を招く可能性もあります。

世論調査 アメリカ国民は冷静に受け止め

ロイター通信などが先週行った世論調査によりますと「トランプ氏が法を犯していた場合、裁判にかけられるべきか」との質問に「強く賛同する」と「ある程度賛同する」と回答した人を合わせると▽民主党支持者で94%、▽共和党支持者でも80%にのぼっています。

さらに「トランプ氏が逮捕された場合、抗議活動に参加するか」との質問に対しても、▽民主党支持者の96%、▽共和党支持者の90%が「参加しない」と回答するなど、アメリカ国民がトランプ前大統領の起訴に対して、冷静に見ていることがうかがえます。

一方、「トランプ氏の起訴が取り沙汰されて以降のトランプ氏のふるまい」については「無責任だ」と回答したのが▽民主党支持者では76%だった一方、▽共和党支持者では29%にとどまっていて反応が分かれています。

アメリカのモンマス大学が3月、発表した共和党支持者に対して行った世論調査では「誰に2024年の大統領選挙の共和党の候補者になってほしいか」という質問に対して▽トランプ氏がトップで41%、
▽次いで南部フロリダ州のデサンティス知事が27%、そして
▽ヘイリー元国連大使が3%と
トランプ氏が依然として大きくリードしていて支持の根強さを示しています。

ニューヨーク州の大陪審は、不倫相手のポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに口止め料を払ってもみ消しを図ったとされる疑惑を巡り、トランプ前米大統領を起訴した。米大統領経験者が起訴されるのは初めて。

トランプ氏は2024年の大統領選に出馬を表明しており、同氏の起訴が選挙の構図を変える可能性がある。

トランプ氏は「完全に無実」とする声明を出し、選挙活動を続ける意向を示した。「これは史上最高レベルの政治的迫害と選挙妨害だ」と訴えた。

その直後に、法廷での弁護のために支持者らに献金を呼び掛けた。トランプ氏陣営によると、同氏が今月18日に21日に逮捕されると予告して以降、200万ドル以上の献金が寄せられたという。

詳しい起訴内容はまだ不明で、数日内に発表される公算が大きい。ニューヨーク州マンハッタンで指紋採取などの手続きが必要になる。

口止め疑惑の調査はマンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事が指揮してきた。同検事の事務所は出頭を調整するためにトランプ氏の弁護士に連絡したと説明。事情に詳しい関係者は、来週初めに出頭する可能性が高いと述べた。

トランプ氏の弁護士であるスーザン・ネシェレス氏とジョセフ・タコピナ氏は、起訴に対して「激しく争う」と表明。

先週発表されたロイター/イプソスの世論調査によると、トランプ氏が起訴された場合、選挙から降りるべきと回答した共和党員は約44%に上る。

ホワイトハウスはコメントを避けた。

マンハッタンの裁判所前では数人の抗議者がトランプ氏を批判するプラカードを掲げた。トランプ氏が18日に支持者らに抗議を呼びかけて以来、裁判所周辺の警備が強化されている。

ダニエルズさんの弁護士は「法の上に立つ者はいない」とツイートした。

マンハッタン地検はトランプ氏一族が運営するトランプ・オーガニゼーションの脱税疑惑の捜査も担い、昨年12月にニューヨーク州裁判所の陪審が有罪評決を下した。トランプ氏を巡っては、この他に2件の刑事捜査が進められている。

トランプ前米大統領は30日、不倫口止め疑惑でニューヨーク州陪審に起訴されたことを受け、2024年の大統領選勝利に向けて支持者らに献金を呼びかけた。

トランプ氏の資金調達団体であるトランプ・セーブ・アメリカ共同資金調達委員会は「終わらない魔女狩りからわれわれの運動を守り、24年にホワイトハウスを勝ち取るために寄付を願う。額は問わない」とする電子メールを支持者に送った。

同州大陪審は、不倫相手のポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに口止め料を払ってもみ消しを図ったとされる疑惑を巡り、トランプ氏を起訴した。当局筋が30日、明らかにした。

トランプ氏は疑惑を否定しており、支持者への電子メールで、起訴は左翼による陰謀の証拠だと主張した。

政治アナリストや献金者によると、起訴を受けて、最も熱心な草の根の支持者が寄付に動く見通しで、トランプ氏の第1四半期の資金調達に有利に働くとみられるという。

共和党のストラテジストを務めるロン・ボンジャン氏は「トランプ氏の資金調達は一気に進むだろう」と指摘。「起訴が政治的動機によるものだという認識が高まれば、トランプ氏への小口献金が急増し、デサンティス氏の資金調達活動に食い込む可能性がある」と述べた。

フロリダ州知事を務めるデサンティス氏はトランプ氏の有力対抗馬と目されている。

トランプ前米大統領が起訴されたことについて、議会共和党幹部は民主党による司法制度の武器化だと非難し、トランプ氏を擁護する姿勢を示した。

共和党の反発は2024年の大統領選挙で再選を目指すトランプ氏が党とその有権者の多くを依然として掌握していることを浮き彫りにしている。

マッカーシー下院議長(共和党)は「われわれの神聖な司法制度を武器にした」と述べた。

党下院指導部メンバーのエリス・ステファニック氏は「政治的な魔女狩りであり、アメリカにとって暗黒の日」と表現。また、リック・スコット上院議員フロリダ州選出)は「トランプ大統領に対する政治的復讐」と指摘し、テッド・クルーズ上院議員テキサス州選出)も「司法制度の武器化における破滅的エスカレーション」とした。

トランプ氏自身は「完全に無実」とする声明を出し、「これは史上最高レベルの政治的迫害と選挙妨害だ」と訴えた。

同氏は24年大統領選の共和党最有力候補で、27日にまとまったロイター/イプソスの世論調査では共和党員の44%の支持を得ており、デサンティス・フロリダ州知事の30%を上回っている。

しかし、今回の起訴は再選を目指すトランプ氏に危うさをもたらすものでもある。世論調査は多くの共和党有権者が同氏に代わる候補を求めていることを示している。

出馬をまだ正式に表明していないデサンティス氏は30日、詳細には触れずに、党幹部らと同様にトランプ氏起訴を非難。「アメリカ的ではない」、「政治的目標を推進するための司法制度の武器化」とツイートした。

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