日本ラグビー最上位層に ハイパフォーマンスユニオン正式決定 #nhk_news https://t.co/ewxrszAxTZ
— NHKニュース (@nhk_news) May 11, 2023
ラグビーの国際統括団体、ワールドラグビーの理事会が開かれ、日本が世界最上位層の新たな枠組み「ハイパフォーマンスユニオン」に入ることが正式に決まりました。
「ティア1」とされていた世界の強豪10チームに日本を加えた11チームで構成され、日本のラグビーが初めて世界のトップ層に位置づけられました。
「ハイパフォーマンスユニオン」は世界の強豪10チームによる「ティア1」を発展的に解消して新たに構成された枠組みで、日本ラグビー協会によりますと11日、ワールドラグビーの理事会で日本が入ることが正式に決まりました。
「ティア1」はイングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、フランス、イタリアのヨーロッパの「6か国対抗戦」に出場するチームと、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの南半球の「4か国対抗戦」に出場するチームのあわせて10チームで構成されていましたが、「ハイパフォーマンスユニオン」はそこに新たに日本を加えた11チームになります。
世界ランキング10位の日本はこれまで中堅層にあたる「ティア2」に位置づけられていたため、実質、世界の最上位層に昇格した形になります。
固定されていた階層を刷新
「ハイパフォーマンスユニオン」は、ラグビー界で固定されていた階層を刷新して設けられた枠組みです。
これまでの枠組み、「ティア1」の「ティア」は「階層」を意味し、チームの強さに加えてラグビーの伝統や格式が考慮されていました。
テストマッチの成績で順位が変わる世界ランキングとは異なり、基本的に変動することはなく基準があいまいで閉鎖的だという批判もありました。
このためワールドラグビーは、代表チームの成績や▽ラグビーの普及の度合い、協会の財政力など、具体的な基準を設けてそれぞれの国や地域のチームを5段階の階層に分ける方針を示しました。
ワールドラグビーとしてはトップグループの形を「ハイパフォーマンスユニオン」に変えることで、これまで伝統国や地域を中心に発展してきたラグビーの環境を、開かれたものに変えるねらいがあるとみられます。
今回日本は、2019年に自国開催のワールドカップで初めてベスト8進出を果たしたことや、大会そのものを成功させた組織運営力などが評価され、「ハイパフォーマンスユニオン」入りを果たしました。
日本にとっては、理事会での投票権が2票から3票に増えて発言力が増すなどのメリットのほか、代表チームの強化やラグビーの普及活動、ワールドカップの再招致などにもプラスの影響があるとみられます。
潮目が変わった2015年イングランド大会
かつて日本のラグビー界にとって世界のラグビーの最上位グループに入ることは遠い目標でした。
日本は1987年の第1回大会からワールドカップに出場してきましたが、2011年のニュージーランド大会までは1勝21敗2引き分けと大きく負け越し、世界の強豪の壁に跳ね返される時代が続きました。
1995年の南アフリカ大会ではニュージーランドに17対145と記録的な大敗を喫するなど、トップ層との実力差は顕著でした。
潮目が変わったのは2015年のイングランド大会でした。
日本は1次リーグの初戦で優勝経験がある南アフリカに34対32と歴史的な勝利をあげ、サモアやアメリカにも勝利しました。決勝トーナメントには進めなかったものの、1大会で3勝と大きく躍進しました。
そして、2019年の日本大会では、アイルランドやスコットランドといった強豪ぞろいの1次リーグを4戦全勝で勝ち抜き、史上初のベスト8進出を果たしました。
外国出身が多くさまざまなバックボーンを持つ選手たちが「ワンチーム」となって強豪を破るシーンは、ラグビーに関心がなかった“にわかファン”を巻き込んで大きな話題となりました。
問われる日本代表の真価
世界のラグビー界で最上位層に入った日本は、今後それに見合った実力があるかどうかが問われることになります。
日本は4年前、ワールドカップ日本大会でベスト8に入りましたが、それ以前はいずれも1次リーグで敗れていて「ティア1」の一部からは日本の実力に懐疑的な声があるのも事実です。
9月に開幕するワールドカップでは「ハイパフォーマンスユニオン」として日本代表の真価が問われることは間違いありません。そして、その先もワールドカップで好成績を残し続けることが求められます。
そのためには世界トップレベルのチームと定期的に対戦できる環境づくりが欠かせません。
これまでヨーロッパでは「6か国対抗戦」、南半球では「4か国対抗戦」で「ティア1」のチームどうしがしのぎを削ってきましたが、日本にはこうした試合ができる環境はまだありません。
日本ラグビー協会は今月、ニュージーランドのラグビー協会と相互の連携を深める覚書を結び、代表チームのテストマッチなどを定期的に行っていくことを申し合わせましたが、今後、さらに強豪との対戦機会を増やし経験に裏打ちされた実力をつけていくことが求められます。
日本ラグビー協会 土田会長「世界のラグビー発展に貢献したい」
日本ラグビー協会の土田雅人会長は「日本が『ハイパフォーマンスユニオン』としてワールドラグビーから認められ、世界のラグビー界を率いるトップユニオンと肩を並べることができて光栄に思います。すべての関係者の長きにわたる努力のたまもので、ジャパンラグビーの歴史に恥じぬよう気持ちを引き締め、引き続き日本、アジア、そして世界のラグビーの発展に貢献していきたいと思っています」とコメントしています。
日本ラグビー協会 岩渕専務理事「関係性より強化できると期待」
日本ラグビー協会の岩渕健輔 専務理事は「南半球の4か国やヨーロッパの6か国・地域の10ユニオンと同じカテゴリーに含まれたことは光栄です。ジャパンラグビーの存在感が増し、ほかの『ハイパフォーマンスユニオン』との関係性をより強化できると期待しています。中長期的な戦略計画に沿って日本代表のパフォーマンスレベルを向上させるとともに、協会の組織運営やマネジメントの構造強化に努めていきたい」とコメントしています。
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