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米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ元議長と国際通貨基金IMF)の元チーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は23日に公表された論文で、米国の労働市場の引き締まりと賃金上昇がインフレに及ぼす影響が増大し始めており、労働需要が均衡化されなければ急速な物価上昇が根付く可能性があるとの見解を示した。

バーナンキ氏は2006─14年にFRB議長、ブランシャール氏は08─15年にIMFチーフエコノミストを務め、現在は共に米ピーターソン国際経済研究所シニアフェローを務めている。

ブルッキングス研究所が公表した論文で、21年に始まった急速なインフレは、主にエネルギー市場の動向と耐久財不足で大きく煽られたと指摘。ただ「時間の経過と共に、極めてタイトな労働市場がインフレに及ぼす影響が増大し始めている。その度合いは今後も増加し、自ずと収束することはない」との見方を示し、「インフレの一部は労働市場の過熱に起因しているが、労働の需給をより均衡化させる政策行動にのみによって逆転させることができる」とした。

FRBがインフレ対応を続ける中、一部の政策当局者は失業率が上昇すると予想。どの程度のペースで、どの水準まで上昇するかは見解が割れており、一部の外部エコノミストは6─7%まで上昇する必要があるとの見方示す一方、FRB政策担当者はより緩やかな水準にとどまることを望んでいる。

バーナンキ氏とブランシャール氏はこの問題について明確な見解を示さなかったものの、失業率の上昇ではなく、求人数の減少を通した労働市場逼迫の緩和は可能との見方を示した。

両氏は、労働市場のスラックを示す指標としている求職者1人当たりの求人件数が向こう2年で1件を下回り、0.8件程度まで減少すれば、インフレ率はFRBが目標とする2%に戻ると推計。新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)前の1.2件程度に減少すれば、消費者物価指数(CPI)の上昇率は2.7%と、なお高い水準ではあるものの、FRBが目標とする2%に「手が届く」範囲に収まるとの見方を示した。

その上で「求職者1人当たりの求人件数が現在の水準近くで推移することを容認すれば、インフレ率は低下しない。物価が上昇する期間が長引けばインフレ期待が高まるため、インフレ率は徐々に上昇する」とした。

求職者1人当たりの求人件数は昨年に2件近辺でピークを付け、現在は1.6件。両氏は「労働市場の過熱に起因するインフレの一部は、労働需要と供給のバランスを改善させる政策行動によってのみ逆転させられる」と指摘。物価安定の維持に努める中央銀行は、労働市場の均衡化に注目する必要があるとの考えを示した。

#バーナンキ(インフレ・求職者1人当たりの求人件数)