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今月14日の議会下院の選挙で第1党となった前進党のピタ党首は今週、他の7つの党と自らが首相となる連立政権を目指すことで合意したのを受けて24日、日本メディアでは初めてNHKの単独インタビューに応じました。

この中でピタ党首は、軍の影響力排除を掲げた前進党の勝利について「タイの人々はこれまで希望を失っていたが、過去に戻るのではなく未来へ向かうことを望むと声を上げた結果だ」と述べました。

ただ、自らが首相に選出されるには、選挙で選ばれた下院議員だけでなく軍政下で任命された上院議員の支持が必要で、政権交代を実現できるかどうかは見通せない状況です。

これについてピタ党首は「私を好きか嫌いかにかかわらず、タイの価値観こそが問われている」と述べて、上院も選挙結果に沿った判断を示すべきだとけん制しました。

その上で、連立政権の樹立について「今、民主化に向けた1歩、そしてタイにとっての新たな始まりの時を迎えようとしている。我々は政治家や政府、議会への透明性と信頼を取り戻さなければならない」と述べた上でタイの民主化の実現に向けて、日本を含む国際社会への支援を求めました。

一方、新政権を樹立した後の外交政策については、ロシアや中国の動きを念頭に、力による一方的な現状変更には反対する姿勢を明確にするとともに「大国の間の対立が続く中でこそ、タイを含む中堅の国々が発言力をもつべき時に来ている」と述べて、いわゆる「グローバル・サウス」の一角として外交を活発化させていく意向を示しました。

ピタ氏 プロフィール

「前進党」の党首を務めるピタ氏は42歳。

アメリカのハーバード大学マサチューセッツ工科大学修士号を取得しました。

父親が立ち上げた食用油などを手がける会社の経営を父親の急死にともなって引き継ぎ、その後事業を成長させ、若手実業家として注目を集めました。

前回、2019年の総選挙で軍政からの脱却などを掲げ、第3党に躍進した「新未来党」の下院議員に初当選。

翌2020年、プラユット政権下で「新未来党」が解党され、党幹部の政治活動が禁止されると、新未来党に所属していた議員らと「前進党」を立ち上げ、党首に就任しました。

今回の総選挙では王室制度をめぐる改革をはじめ民主化を訴えて急速に支持を広げ、前進党が第1党の議席を獲得しました。

ピタ氏は選挙後、連立政権の樹立に向けた各政党との合意をとりまとめ、タイのメディアでは連日その動きが報じられるなど次の首相候補として大きな注目を集めています。

しかし、軍に近い保守派などによりピタ氏の議員資格停止の動きが取り沙汰されるなど、ピタ氏を首相とする民主派の政権が実現するかは微妙な情勢となっています。

#タイ(前進党・ピタ党首・NHKインタビュー)

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