https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

本日開催された理事会で、キャッシュレートの目標を4.10%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.00%に据え置く。

昨年5月以来、金利は4%ポイント引き上げられた。金利の上昇は経済の需給バランスをより持続可能なものにすることにつながっており、今後もこれは続く。このことと経済見通しを巡る不確実性を踏まえ、理事会は今月、金利を据え置くことを決定した。これまでの利上げの影響と経済見通しを見極めるための時間ができることになる。

オーストラリアのインフレ率はピークを過ぎ、5月の消費者物価指数(CPI)統計は一段の鈍化を示した。しかし、インフレ率は依然として高すぎ、まだしばらくはこの状態が続くだろう。高インフレは人々の生活を困難にし経済の機能を損なう。貯蓄の価値を損ない、家計を苦しめ、企業の計画や投資を困難にし、所得格差を悪化させる。また高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるには非常にコストがかかる。このような理由から、理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。

豪経済の成長は鈍化し、労働市場の状況は緩和されたが依然として非常に引き締まった状況だ。求人・広告が依然として非常に高い水準にあるが、労働力不足は緩和されたと企業は報告している。労働参加率は過去最高を記録し、失業率は50年ぶりの低水準に近い。労働市場の逼迫と高インフレを受けて賃金の伸びは上向いている。全体としては、生産性の伸びが回復すれば、賃金の伸びはなおインフレ目標に合致している。

経済の余剰能力は限られ失業率がなお極めて低いことを踏まえ、理事会は高いインフレ予想が物価と賃金の上昇加速につながるリスクを引き続き警戒している。従って労働コストの推移と企業の価格設定行動に今後も細心の注意を払っていく。

インフレ率を2─3%の目標範囲に戻しつつ、経済の成長は可能だと依然として見込んではいるが、このバランスを達成するための道筋は狭い。不確実性の大きな要因は引き続き個人消費の見通しだ。金利上昇と生活費の圧力は個人消費の大幅な鈍化を招いている。住宅価格が再び上昇し、貯蓄に余裕のある世帯もあるが、家計の圧迫による痛みを感じている世帯もある。世界経済も不透明で、今後2年程度(couple of years)は平均以下の成長率になると予想される。

インフレ率が合理的な期間内に確実に目標値に戻るようにするために金融政策の幾分のさらなる引き締めが必要になる可能性があるが、それは経済とインフレがどのように推移するかによる。今月の金利据え置きの決定は、理事会に経済状況、経済見通しおよび関連リスクを評価するための時間を与えるものだ。決定にあたっては、世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しにこれからも細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

#オーストラリア準備銀行