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大雨や大津波など重大な災害が発生している可能性が極めて高くなった際に気象庁が最大級の警戒を呼びかける「特別警報」の運用が始まって30日で10年です。大雨の特別警報では発表されたほとんどのケースで土砂災害や川の氾濫が発生していて、専門家は「特別警報が発表されていないから大丈夫と捉えず、避難する必要がある」と指摘しています。

「特別警報」は警報の基準をはるかに超えるような大雨や地震による大津波などで大規模な災害の危険性が非常に高い場合に気象庁が最大級の警戒を呼びかける情報です。

80人あまりが犠牲になった2011年の紀伊半島豪雨などで「大雨警報」や「記録的短時間大雨情報」といった防災情報が自治体の避難情報の発信や住民の避難に結びつかなかったことを教訓に10年前(2013年)のきょう運用が始まりました。

特別警報は東日本大震災の大津波紀伊半島の豪雨など、警報の基準をはるかに超える現象について発表され、このうち気象に関する情報は「大雨」や「大雪」、「暴風」、「暴風雪」、「波浪」、それに「高潮」の6種類があります。

気象に関する特別警報はこれまで2018年の「西日本豪雨」や2019年の「東日本台風」などあわせて25回発表され、ことしは7月の梅雨前線による大雨で福岡県と大分県に、8月の台風7号鳥取県にそれぞれ「大雨」の特別警報が発表されました。

NHKがこれまでに発表された24回の「大雨」の特別警報と被害の状況を調べたところ、9割あまりにあたる22回で土砂災害や浸水の被害が確認されました。

災害情報に詳しい静岡大学の牛山素行教授は「『特別警報が発表されていないから大丈夫』ととらえず、自治体のハザードマップ気象庁のキキクルなどを使いながら、個人個人で避難を判断してほしい」と話しています。

定着の一方 避難行動につなげる取り組み 課題
特別警報は運用の開始から10年となり、多くの人に知られるようになった一方、発表された際のとるべき対応や多様な防災情報などとあわせて正確に理解してもらい、命を守るための避難行動につなげる取り組みが課題となっています。

気象庁は2022年、気象に関する防災情報の認知度についてインターネット上でアンケートを行い、20代以上の男女2000人から回答を得ました。

それによりますと大雨特別警報が「すでに何らかの災害が発生している可能性が高い状況で発表される」ことを知っているか尋ねたところ、▽「表現や意味を詳細に理解している」が15.2%、▽「詳細に理解していないが、避難の必要性を訴える情報と理解している」が71.5%、▽「よく分からない」が13.3%とおおまかな理解が進んでいることが分かりました。

一方、大雨警報や土砂災害警戒情報、2年前に運用が始まった「線状降水帯」が発生した際に発表される『顕著な大雨に関する情報』なども含め、気象に関する情報について複数回答で尋ねたところ▽「種類が多すぎて分かりにくい」が55.1%▽「避難を判断するのにどれが参考となる情報なのかわかりにくい」が47.7%▽「専門用語なのでわかりにくい」が29.9%と、多様な防災情報やそれをどう避難に役立てればよいか不明瞭だと感じている人が多いことも分かりました。

専門家「防災情報増えすぎ 客観的な情報を」
気象庁の気象情報に関する検討会のメンバーで災害情報や避難に詳しい静岡大学の牛山素行教授は「2011年の紀伊半島豪雨では明らかに通常の警報や土砂災害警戒情報を大幅に超えるような状況なのにそれを伝えるすべがない、いわゆる『弾切れ状態』で、特別警報はこれをなんとかしようと導入された」と述べました。

そのうえで、この10年程度の間に気象庁の「特別警報」や「顕著な大雨に関する情報」が設けられ、従来からのものと合わせて多くの防災情報が運用されていることについて「情報が増えすぎ、市民から『情報をあまり知らない』と声が上がるのもある意味当然だ。情報をこれ以上増やしたりせずとも、例えば『特別警報が発表されるとこのような被害が起こる』というように、客観的な情報を示すと説得力が増すのではないか」と話しています。

#気象・災害