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アメリカの7月から先月までのGDPは日本時間の26日午後9時半に発表されます。市場の予測では、前の3か月と比べた実質の伸び率は、年率に換算してプラス4.5%程度となっていて、5期連続のプラス成長になるとの見方が広がっています。

前の3か月の伸び率のプラス2.1%から拡大し、高い金利水準のもとでも経済の堅調さが示される形になりそうです。

要因について「バンク・オブ・アメリカ」のアディチャ・バベ シニアエコノミストは、9月の小売業の売上高が6か月連続で前の月を上回るなど個人消費が好調なことや、半導体などにおける政府の巨額の財政支出を受けて、企業の設備投資が増加したことなどを指摘しています。

FRB連邦準備制度理事会のパウエル議長は、追加の利上げなどは今後の経済指標を見極めて慎重に判断していく考えを示していて、景気の現状と見通しに市場の関心がこれまで以上に集まりそうです。

【専門家Q&A】
高い金利水準のもとでも、5期連続のプラス成長が予測されているアメリカ経済について「バンク・オブ・アメリカ」のアディチャ・バベ シニアエコノミストアメリカ経済担当)に聞きました。

Q1. 金融引き締め続けていてもなぜ堅調?
多くの要因が積み重なっている。FRBの急ピッチの利上げは本来、住宅ローンの負担増加を通じ、個人消費にも影響を及ぼすはずだが、多くの世帯が低金利の時に固定金利でローンを組んだため、金利上昇の影響をほとんど受けていないことも、個人消費の好調さが続く要因となっている。

また、政府などの財政政策も予想以上の刺激となり、企業投資が大幅に押し上げられた形だ。労働の供給面では在宅と出勤を組み合わせた働き方が可能になり、女性の労働参加率が予想以上に上昇している。

Q2. 好調は今後も続く?
第4四半期(10月から12月)には景気は減速し、GDPの伸び率は前期比プラス1.5%になると予測している。逆風として注意すべきは、UAW全米自動車労働組合ストライキが長期化していることや、すでにかなり高水準の企業投資がこの水準を維持するとは考えにくいことが挙げられる。

Q3. 今後の金利引き上げは?
FRBは12月に、もう1回利上げを行うと見ている。ただ、パウエル議長は10月19日の講演で、追加の利上げには「経済成長のさらなる加速やインフレ率の大幅な上昇リスクなどの追加的なデータが必要になる」と述べていて、非常に微妙な判断になると思う。

Q4. 利下げの時期は?
マーケットにとっては金利の到達点よりも、利下げの時期が最も重要になっている。私たちは「FRBは2024年6月に利下げを開始する」と見ている。これはインフレ率が鈍化していくことに合わせた利下げ(=中立金利の引き下げ)で、景気減速を受けた利下げにはならないだろう。

FRBが利下げに踏み切る際にはインフレが再燃するリスク、つまり、これまでの努力が水の泡になるリスクを強く意識するため、慎重に利下げのペースを判断していくとみている。

Q5. 長いスパンでみたアメリカ経済の懸念やリスクは?
アメリカ経済で興味深いのは、消費者と企業の収支バランスはいずれもかなり健全なことだ。

一方、赤字が膨らんでいる政府の財政は問題となっている。これには様々な要因があるが、社会保障を受け取る資格のある高齢者が増え続けていること、金利上昇による国債の利払い増加など構造的な問題を抱えている。

この傾向は来年も変わらない。経済状況にかかわらず、これほど大きな赤字を垂れ流していることは懸念材料で、景気後退に陥っても財政支出を行う余力はあまりないということを示している。

#経済認識(アメリカ経済なぜ堅調?)