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「正当な理由とは何なのか、誰も教えてくれない」

十徳ナイフをかばんに入れて持ち歩いたとして軽犯罪法違反の罪に問われた大阪の鮮魚店の店主に、大阪高等裁判所は1審に続いて有罪判決を言い渡した。

軽犯罪法では、「正当な理由」なく刃物などを携帯することを規制している。

裁判の争点は十徳ナイフの所持が「正当な理由」にあたるかどうかだが、無罪が言い渡されたケースもあり、司法判断がわかれている。

大阪放送局記者 奥村凌)

人に迷惑をかけていないのに…

大学卒業をきっかけに、親族が経営する鮮魚店を手伝うようになったという40代男性。

その後、店主として働くようになり、多い時は100キロ以上、少ない時でも50キロほどの魚を仕入れて販売してきた。

「おいしかった」という客のことばを励みに日々の仕事に取り組みながら、3か月に1度くらいのペースで家族で外食にいくことが楽しみだった。

しかし、おととし12月、仕事帰りに家族と食事をするために焼き肉店へ向かう途中、警察官に職務質問された。

その際、かばんのポケットに刃渡りおよそ6.8センチの十徳ナイフを持っていたとして、軽犯罪法違反の疑いで書類送検された。

店主は「仕事や日常生活で持っていたら便利だと思った」などと主張したが、ことし1月、大阪簡易裁判所は過料9900円の略式命令を出した。

その後、店主は正式裁判を求めた。

鮮魚店の店主
「単なる罰金と考えていましたが、前科になると知って控訴しました。人柄などを見ずに十徳ナイフを持っていたという事実だけで判断されているので、しっかりと裁判官に話を聞いてもらって判断してもらおうと思いました」

かばんのポケットに十徳ナイフ ”正当な理由”に当たらない

店主の十徳ナイフは、刃渡りおよそ6.8センチのナイフや栓抜き、ドライバーなどが収納されているもので、店主が住む自治体の地域防災マップには災害時の持ち出し品の1つとして掲げられていた。
裁判で店主は、
▼かつて仕事で商品の箱にかけてあった結束バンドを切ったり、日常生活で缶詰を開けたりするなどして使っていた
▼災害時にあったら便利だと考えていた
などと無罪を主張した。

しかし、大阪高等裁判所は店主の主張を認めず、1審に続いて科料9900円を言い渡した。
ことし8月1日 大阪高
裁判所の判断を見ていく。

まず、軽犯罪法がいう「正当な理由」については、法律で規制している器具を携帯することが、仕事や日常生活の必要性から認められる場合をいう。

これに該当するかどうかは、器具の用途や形状のほか、持っていた人の職業や生活との関係、携帯した日時や場所などを総合的に判断すべきものとしている。

そのうえで裁判所の判断は以下のようだった。
▼4、5年は仕事のためには使っておらず、日常生活で使っていても外出先ではなく自宅だった。

▼万が一、災害にあった際「こういう事態になったらこう使おう」などといった、具体的な想定をしておらず、災害の備えとしてナイフを携帯していたとはいえない。

▼地域防災マップに持ち出し用品の1つとして掲げているのは、災害時に道具の調達が難しい場合に、炊事などで使うことを想定していると考えられ、災害に備えて常時携帯することを推奨しているものではない。
その結果、「十徳ナイフは人に対して使用すれば、重大な害を加える危険性が認められるもので、日常生活でも3か月は使用していなかったことを踏まえれば、自宅から持ち出す必要性はなかった。多機能な便利グッズだが、漠然とした目的で携帯することは犯罪を未然に防ぐための法の趣旨からみて相当とは言えない」などとして「正当な理由」にあたらないと結論づけた。

鮮魚店の店主
「いままで人に迷惑をかけずに生きてきたつもりで、人に危害を加えるつもりもまったくなかった。悪いことをしているなら反省もします。

ただ十徳ナイフがかばんに入っていたというだけで、『なぜ』という思いがあります。裁判では『被告人』と呼ばれて、気持ちが落ち込むことがあります。正当な理由とは何なのかを誰も教えてくれません」
この判決を不服として、店主は最高裁判所に上告した。

十徳ナイフ所持めぐり無罪も 割れる司法判断

十徳ナイフを所持していたものの、無罪となったケースもある。

刃渡りおよそ6.2センチの十徳ナイフを車の中に隠し持っていたとして男性が軽犯罪法違反の罪に問われた裁判。

ことし2月、新潟簡易裁判所は「5年以上、車に収納され使用していないことから、護身用ではなく災害用・防災用であったと認められる」として無罪を言い渡した。
この裁判では、「災害時に車が立往生したり、車内に閉じ込められたりしたニュースなどを見聞きしたことがあったから、シートベルトを切断することに利用できるではないかと考えた」などと主張していて、それが認められた。

規制はどうあるべきか

なぜ、判断がわかれるのか。

元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授に聞いた。

法政大学法科大学院 水野教授(元刑事裁判官)
「十徳ナイフを携帯していたことについて、具体的な用途が言えないことから正当な理由がないと判断したと考えられる。人を傷つける能力があるものなので、みだりに持ち歩いて危険なことに使うことはあってはいけないという、軽犯罪法の運用は理解できる」
しかし、水野教授は、軽犯罪法の慎重な運用が必要だと考えているという。

この法律は、日常生活における軽微な犯罪を処罰するために規定されたものだが、労働運動を不当に弾圧する手段として悪用された反省から、戦後に乱用防止を明記する条文が追加されたという。

軽犯罪法4条
国民の権利を不当に侵害しないよう留意し、目的を逸脱してほかの目的のためにこれを乱用するようなことがあってはならない

法政大学法科大学院 水野教授
「キャンプに行くなど目的がないかぎり、基本的には持ち歩かないように気をつけたほうがいい。摘発され有罪となった場合、科される刑は軽微なものに過ぎなくても前科がつくというのは、国民にとって重大な不利益だ。警察官が取り締まりをすることはあっても、起訴は慎重に行う必要があるのではないか」

そのうえで、水野教授は、次のように指摘する。

「制定当初の日本は、貧しい時代で、自分の持ち物について認識がないということはあまりなかったと思われる。しかし、現代の日本ではかばんの中に入れたままにして忘れていたというようなことは日常的によくあることで、そのような場合に『正当な理由』があったといえないとするのは疑問である。

そもそも十徳ナイフは制定時にはないものであって、戦後すぐに作られた軽犯罪法は、犯罪をどう防ぐかという観点も考慮したうえで見直す時期に来ているように思う」

#法律(高裁・軽犯罪法・十徳ナイフ携帯・法政大学法科大学院水野教授「そもそも十徳ナイフは制定時にはないものであって、戦後すぐに作られた軽犯罪法は、犯罪をどう防ぐかという観点も考慮したうえで見直す時期に来ているように思う」)

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