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ミャンマーで3年前の8日に行われた総選挙では、民主派指導者のアウン・サン・スー・チー氏が率いた政党、NLD=国民民主連盟が圧勝したものの、軍は不正が行われたと主張してクーデターを起こし、そのあと、反発する民主派勢力や少数民族武装勢力との間で戦闘が続いています。

軍は民政移管に向け「公正な選挙」を行うとして、ことし9月には政党関係者を集めて選挙に関する説明会を開き、準備を進めていることをアピールする一方、民主派勢力を支持基盤とするNLDを解散させ選挙から排除するなど、みずからに有利な政治環境づくりともとれる動きを見せています。

ただ、地方では軍と民主派勢力などとの戦闘はこう着した状態が続いていて、先月末には3つの少数民族武装勢力が北部の州で一斉に攻撃を開始し、これまでに軍の施設などおよそ120か所が占拠される事態になっています。

選挙の実施にはクーデターに伴って発令された非常事態宣言の解除が前提となりますが、民主派勢力などとの戦闘が続くかぎり、軍は延長を繰り返すとの見方もあり、選挙が行われるかは見通せない状況です。

専門家 “選挙行わず 軍事政権状態が長期化する可能性”
ミャンマー情勢に詳しい京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏 准教授は「軍に選挙を行う意思はあると思うが、アウン・サン・スー・チー氏を含めた、民主派勢力の関係者の参加は想定しておらず、自由で公正な選挙をするつもりはないだろう」と分析しています。

一方、軍と民主派勢力との間で続く戦闘について「軍が若干、優位に立っているがこう着状態のところもあり、選挙を実施するのに十分な治安を確保できていない」と指摘しています。

そのうえで、中西准教授は「非常事態宣言から2年半以上がたち、軍のなかで現状の方が自分にとっては利益があると考える人が増えていけば、結果的に選挙は行われないまま現在の軍事政権の状態が長期化する可能性もある」と述べ、軍が治安を理由に選挙を実施せず、この先も実権を握り続ける状況が常態化することへの懸念を示しました。

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