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テロ対策上の問題が相次ぎ、2021年に事実上運転を禁止する命令が出されていた新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所について、原子力規制委員会は27日、自律的な改善が見込める状態であることが確認できたとして命令を解除しました。
福島第一原発の事故を起こした東京電力が持つ原発で再稼働に向けた手続きが再開されることになり、今後は地元の同意が焦点となります。

目次
地元、新潟の反応は

原子力規制委や東京電力

再稼働の手続き再開へ 地元の同意が焦点
柏崎刈羽原発では2021年、他人のIDカードを使った中央制御室への不正入室や外部からの侵入を検知する複数の設備の故障といったテロ対策上の重大な問題が相次いで見つかり、原子力規制委員会東京電力に対し、事実上運転を禁止する命令を出しました。一般の原発を運営する電力会社に運転を禁止する命令が出されたのは初めてでした。

その後、事務局の原子力規制庁東京電力による再発防止の取り組みなどを検査してきた結果、12月に提出された報告書案では「自律的に改善できる仕組みが定着しつつある」と評価され、これを受けて規制委員会は、現地調査や東京電力の社長との面談を行い改善状況を確認してきました。

27日開かれた会合で、規制委員会は報告書案を了承し、自律的な改善が見込める状態であることが確認できたとして命令を解除することを全会一致で決めました。

このあと規制庁の担当者が東京電力の幹部を呼んで決定を通知し、命令は正式に解除されました。

命令の解除は2年8か月ぶりで、これにより福島第一原発の事故を起こした東京電力が持つ原発で、再稼働に向けた手続きが再開されることになります。

今後は地元の同意が焦点となりますが、新潟県の花角英世知事は県民の意思を確認するとして、知事選挙を行うことも選択肢の1つだという認識を示していて、最終的な判断が注目されます。

地元、新潟の反応は
知事「再稼働は県民の意思を確認」
原子力規制委員会の決定に先立って行われた会見で新潟県の花角知事は「柏崎刈羽原発について何らかの判断をするのであれば県にも聞かせてもらいたい。また県の技術委員会でも安全性の確認を進めていきたい」と述べました。

柏崎刈羽原発の再稼働をめぐって花角知事はこれまで県民の間で議論を進めたうえで自身の判断を示し、最終的に県民の意思を確認するため「信を問う」としています。

花角知事は、判断を示す時期は決めていないとしたうえで「『信を問う』とは自身の存在をかける意味合いが強いと思う。いま決めているものはないが、方法としては選挙ももちろんある」と述べ、知事選挙も選択肢の1つとして県民の意思を確認する考えを改めて強調しました。

県民からは「疑問」や「活性化に期待」の声
新潟県内ではさまざまな意見が聞かれました。

原発が立地する柏崎市に住む70代の女性は「2022年12月のような記録的な大雪が降った時に原発事故が起きると、逃げることができないのではないかと不安を感じます。東京電力についてもこれまでトラブルが相次ぎ、今回のテロ対策の問題でも現場が本当に改善できたのか疑問も感じます」と話していました。

同じく柏崎市に住む80代の男性は、「原発が再稼働すれば落ち込んでいる地域経済も活性化するし、電気代も安くなる可能性があるので、企業にとってよいのではないかと思います」と話していました。

一方、新潟市に住む50代の女性は、「原発は、それがある地域にとってはプラスになっている部分もあるし、そこで働いている人もいるのでなかなか難しいです。1つの県と言っても、新潟市と、原発が立地する柏崎市では温度差があると思います」と話していました。

原子力規制委や東京電力
原子力規制委 委員長「お墨付きを与えたわけではない」
原子力規制委員会の山中伸介 委員長は「慎重に慎重を重ねて検査し時間はかかったものの今回の判断は適切なものだった」とした一方、「福島第一原発事故の教訓を踏まえると継続的な安全性向上を行うのは事業者である東京電力の責任なので、お墨付きを与えたわけではない」と述べました。
その上で「原発事故を起こした特別な会社であることは変わらない。東京電力は計画を立てるのは上手だが実行するのが苦手な会社ですとみずからの弱みをわかっているのでゼロからのスタートで今後も改善してほしい」と述べ、命令の解除後も東京電力のテロ対策について規制委員会として重点的に検査を続けていく考えを示しました。

齋藤経済産業相 今後の方針を報告するよう指示
齋藤経済産業大臣東京電力の小早川智明社長と面会。

小早川社長は「新潟県の皆様にとどまらず、広く社会の皆様に大変ご心配をおかけした」と陳謝した上で、テロ対策の改善に向けた取り組みを継続的に進めていく考えを示しました。

これに対して齋藤大臣は「あくまでスタートラインであり、原子力規制委員会からの指摘や地元の声を真摯に受け止め、社長みずから先頭に立ってしっかりと改善に取り組んでほしい。失われた信頼を回復することが極めて重要だ」などと指摘した上で、年明けに信頼回復に向けた今後の方針を報告するよう指示しました。

テロ対策に詳しい専門家「一層の緊張感 持つ必要ある」
テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功 研究センター長は2021年の問題発覚後に東京電力が設置した専門委員会に加わり、およそ2年半にわたって東京電力の再発防止策などについて検証し、提言を行ってきました。

今回、原子力規制委員会が命令を解除したことについて、板橋さんは、「東京電力では、経営資源である人、もの、金をつぎ込んだ結果核セキュリティのパフォーマンスを向上することができた」と評価する一方で、「これまでは優秀な人材も投入し社長みずからもかなりの時間を割いて対応してきたが、今の体制や予算を今後も、そのまま維持できるかというと難しい問題もある」と指摘しました。

また柏崎刈羽原発で、東京電力が再発防止に取り組む中でも不祥事が続いていることについて「せっかくパフォーマンスが上がっている中で小さい事案でも起こると注目されるので非常にマイナス面が大きく、小さな事案も起こさない努力も必要になってくることは提言している。意識や緊張感を持つとともに、システム上のチェックというか機械的に不正やミスが起こらないようにすることも重要だ」と話しました。

そのうえで、「経営層だけでなく原子力発電所に関わるすべての人たちが、どのようにモチベーションや核セキュリティに対する意識を維持していくかが非常に重要だ。ようやくその土台が生まれてきた状態なので、東京電力には勘違いをすることなくより一層の緊張感を持つ必要がある」と話していました。

これまでの経緯
柏崎刈羽原発とは
新潟県柏崎市刈羽村にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所は、1号機から7号機まで7つの原子炉があり、出力はあわせて821万キロワット余りと、世界最大級の原子力発電所です。
7基はいずれも原子炉で水を沸騰させてできた水蒸気で発電用のタービンを回す「沸騰水型」と呼ばれる原発で、事故を起こした福島第一原発と同じタイプです。最も古い1号機は1985年、最も新しい7号機は1997年に運転を開始していて、主に首都圏に電力を供給してきました。

相次いだトラブル
2007年に起きた新潟県中越沖地震により3号機で変圧器の火災が発生したほか、6号機の使用済み燃料プールがあふれ、微量の放射性物質を含む水が海に漏れ出すなどのトラブルが発生。さらに、機械が壊れたり、施設にひびが入ったりするなど被害は軽微なものも含めて3700件余りにのぼり、7基すべてが長期間の運転停止を余儀なくされました。

その後、東京電力はおよそ1000億円をかけて耐震化などの工事を進め、2009年以降、4基が順次運転を再開しました。

しかし、2011年3月に発生した福島第一原発の事故のあとは、新たに作られた規制基準への対応が求められ、2012年3月には再び全基が運転を停止。

東京電力は、2013年9月に6号機と7号機について再稼働の前提となる審査を原子力規制委員会に申請。4年におよぶ審査を経て2017年10月に合格すると、安全対策工事を進めるなど再稼働に向けた準備を進めていきました。

しかし、2021年、本来入室が厳重に管理されている中央制御室に社員が他人のIDカードを使って不正に入っていたことが発覚。さらに、テロリストなどの侵入を検知する複数の設備が壊れたままになっていて、その後の対策も十分に機能していなかったことも明らかになり、規制委員会は2021年4月、東京電力に対し、法律に基づき核燃料の移動を禁止する行政処分を出し、事実上、原発の運転を禁止しました。

2021年のテロ対策上の問題を受けて
組織文化に関わる問題を繰り返し、テロ対策上の問題が起きた東京電力原子力規制委員会から経営層が関与した継続的な改善を求められました。

2023年5月、社長直轄の部署として「核物質防護モニタリング室」を設置。テロ対策をめぐる行動や意識に変化がないか、社員などのふだんの行動を継続的に観察し、問題の兆候をいち早くつかむことが目的です。実際の取り組みとして、原発の構内で本人確認などが行われる場所に立ち会い、警備員のテロ対策のチェックのほか、東京電力の社員などが警備員に協力的な姿勢を示しているか観察していました。調査結果は東京電力の本社で小早川社長に直接、報告されます。

背景には経営層が現場の実態を把握できず、適切な指示を出せなかったという反省があります。こうした教訓を踏まえ、社長は問題があればすみやかに現場に対応を指示して、継続的な改善を図るとしています。

12月20日の規制委員会の会合で伴信彦 委員は「東京電力は油断すればすぐに問題が起きるので、常に警戒心をとかないことが大事だ。特に時間がたった時にモニタリング室が形だけになったり、周りが活動を疎んじたりすることで意味がなくなってしまうことを非常におそれている」と述べ、取り組みの継続性が重要だと指摘しました。

今後の動きは
再稼働に向けて地元の判断材料は
再稼働にあたって今後、焦点となるのが地元の同意と知事の判断です。

東京電力柏崎刈羽原子力発電所が立地する新潟県柏崎市、それに刈羽村に再稼働への理解を求める方針で、県などは同意するかどうか判断することになります。新潟県の花角英世知事は再稼働について議論を進め、説明会などを通じて県民の意見を聞いたうえで、最終的に県民の意思を確認する方針です。

議論を進める材料として花角知事が主に挙げているのが次の4点です。
原子力規制委員会の追加検査の結果
新潟県が設置した技術委員会での柏崎刈羽原発の安全対策の確認
原発で重大な事故が起きた際の避難をめぐる国などの対応
▼それに福島第一原発の事故に関する県の検証結果

このほかにも原発が立地していることによる県全体の経済効果の試算も議論の材料にする考えです。

花角知事はこれまで県民の意思を確認する方法について「信を問う」としています。12月に開かれた県議会で花角知事は県民の意思を確認する方法について「その手法について現段階で決めているわけではない」としたうえで「現段階では私は信を問う方法が責任の取り方としてもっとも明確であり重い方法と考えている」と述べています。

花角知事はこれまで「信を問う」具体的な方法として知事選挙を行うことも選択肢の1つだという認識を示していて、最終的な判断が注目されています。

全国の原発 再稼働は12基
現在、国内には33基の原子力発電所があり、このうち、原発事故のあと作られた新しい規制基準の審査に合格し再稼働したのは12基です。

鹿児島県・九州電力川内原発1号機と2号機
佐賀県九州電力玄海原発3号機と4号機
愛媛県四国電力伊方原発3号機
福井県関西電力の高浜原発1号機~4号機
福井県関西電力大飯原発3号機と4号機
福井県関西電力美浜原発3号機

これら再稼働した原発はいずれも西日本にあり、「加圧水型」と呼ばれるタイプです。

一方、12年前に事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれるタイプでは再稼働した原発はありません。

ただ、これまでに5基が新規制基準の審査に合格。宮城県にある東北電力女川原発2号機は2024年5月ごろに、島根県にある中国電力の島根原発2号機は2024年8月にそれぞれ再稼働する計画です。

一方、茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発は、安全対策工事に加え、周辺自治体の避難計画の策定が終わっていないことなどから再稼働の時期は見通せていません。

また今回、事実上の運転禁止命令が解除された柏崎刈羽原発6号機と7号機は、地元の同意が得られていないことなどから、現時点で再稼働の見通しは立っていません。

全国各地のサービスエリアやパーキングエリアでは、慢性的な混雑が課題となっていて、その背景には、長時間、駐車する車が増えていることなどがあるとみられています。

このため高速道路各社は、混雑解消に向けて、2022年8月から有識者を交えた検討を進め、26日に今後の方針を公表しました。

この中では
▽短時間の利用に限定した駐車スペースを設け、増やしていくほか
▽長時間、駐車している車に対しては、将来的に有料化も検討するとしています。

また、駐車スペースを増やすため
▽サービスエリアやパーキングエリアの敷地の拡大や
▽2階建ての駐車場の導入なども、
将来的に検討していくとしています。

高速道路各社は、すでに一部のサービスエリアなどで
▽大型車の駐車スペースの利用を1時間に限定したり
▽1時間以上、利用した場合は有料化したりする実証実験を行っていて、
こうした結果も踏まえながら、今回の方針に沿って混雑対策を進めていくことにしています。

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#アウトドア#交通