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石破総理大臣は、次の衆議院選挙に向けて、自民党の政治とカネをめぐる問題で収支報告書に不記載があり、「党員資格停止」の処分を受けた議員などを公認しない方針を示しました。また不記載があった議員は処分の有無にかかわらず、小選挙区比例代表との重複立候補を認めない考えを示しました。

目次

石破首相の説明(ノーカット動画)
【非公認となる見通しの議員は】
注目
【記者解説】判断の理由 今後は
専門家「公認めぐる方針 一転して厳しいものに」

自民党の政治とカネをめぐる問題で政治資金収支報告書に不記載があった議員を次の衆議院選挙で公認するかどうかについて、石破総理大臣と森山幹事長、小泉選挙対策委員長は6日に続き、党本部で対応を協議しました。

このあと、石破総理大臣は記者団に対し、一部の議員を公認しない方針を明らかにしました。
それによりますと、公認しない議員は▼党から「党員資格停止」の処分を受けた下村元文部科学大臣、西村元経済産業大臣、高木元国会対策委員長

▼1年間の「党の役職停止」の処分が継続していて、政治倫理審査会での説明を行っていない萩生田元政務調査会長、平沢元復興大臣、三ツ林裕己・衆議院議員

さらに、半年間の「党の役職停止」と「戒告」の処分を受けた議員で、説明責任を果たしておらず、地元での理解が十分に進んでいないと判断される議員は基本的には公認しない方向で、地元の都道府県連からの公認申請や選挙区の情勢を踏まえて最終的に判断するとしています。

また、処分の有無にかかわらず収支報告書に不記載があった議員は小選挙区比例代表との重複立候補を認めないとしています。少なくとも30人を超える見通しです。

そして党総裁の石破総理大臣、党四役の森山幹事長、鈴木総務会長、小野寺政務調査会長、小泉選挙対策委員長比例代表との重複立候補をしないと明らかにしました。石破総理大臣は「結果として、相当程度の非公認が生ずることとなるが、国民の信頼を得る観点から、公認権者として責任を持って最終的に判断をしていく」と述べました。

石破首相の説明(ノーカット動画)

石破首相が、6日午後2時すぎに記者団に行った説明をノーカットの動画でお伝えしています。(動画は3分4秒)

【非公認となる見通しの議員は】

石破総理大臣の今回の方針で非公認となる見通しの衆議院議員は現時点で以下のとおりです。

党の8段階の処分のうち、「選挙における非公認」より重い「党員資格停止」の処分を受けた
▼下村元文部科学大臣
▼西村元経済産業大臣
▼高木元国会対策委員長

「選挙における非公認」より軽いものの、1年間の「党の役職停止」の処分が継続していて、政治倫理審査会での説明を行っていない
▼萩生田元政務調査会長
▼平沢元復興大臣、
▼三ツ林裕己・衆議院議員
一方、1年間の「党の役職停止」処分のうち、▽武田元総務大臣、▽松野前官房長官の2人は、政治倫理審査会に出席して説明しているため対象とはなりません。

このほか、すでに処分期間が終わった半年間の「党の役職停止」の7人や、「戒告」の9人については、すでに引退を表明した議員を除き、説明責任を果たしておらず、地元での理解が十分に進んでいないと判断された場合は基本的には公認しない方向です。

地元の都道府県連からの公認申請があるかどうかや、選挙区の情勢を踏まえて最終的に判断する方針です。さらに◇政治とカネをめぐる問題で収支報告書に不記載があった議員については、処分の有無にかかわらず、小選挙区比例代表との重複立候補を認めないとしていて、少なくとも30人を超える見通しです。
注目
【記者解説】判断の理由 今後は

政治部 奥住憲史記

Q 石破総理大臣は公認するかどうか「徹底して議論する」と発言していた。今回、どうして「非公認」を判断したのか。

石破総理としては、政治とカネの問題に厳しい姿勢を見せなければ、選挙への影響が避けられないという危機感があったのだと思います。

今回の判断について、党内からは「思い切って舵を切った」とか「これくらいの対応をしないと世論は納得しない」と理解を示す声も出ています。

一方で、非公認や比例代表との重複立候補が認められない議員が多くなる旧安倍派を中心に「旧安倍派潰しの敵対行為だ」といった強い反発が出ていまして党内の結束に不安を残す形となっています。

Q 名前が上がっている議員以外にも非公認になる可能性があるということだが、結局、非公認はどれくらいの規模になると見られるか。

6日の時点では6人が非公認となる見通しですがまだ増える可能性はあると思います。

関係者によりますと、不記載があった議員の中で、地元の理解が得られていない議員や、選挙区の情勢が芳しくない議員は公認の対象から外れることもあるということです。

執行部は7日を期限とする地元の都道府県連からの公認申請があるかどうかなどをまずは見極めて、さらに調整を行うことにしています。

Q 不記載があった議員の比例重複を認めない狙い、選挙戦への影響は。

比例代表での復活がない状況で1人1人の有権者に説明を尽くし、支持を得ることが重要だという考えが伺えます。

世論が甘い対応だと受け止めれば自民党の得票に影響しかねないとも考えたんだと思います。

小泉さんは「覚悟を持って、国民と向き合う選挙にしなければならない」と述べました。

党幹部の1人は石破総理をはじめ党四役も重複立候補をやめることで衆院選に背水の陣で臨む姿勢を示すということだと話しています。

高木元国対委員長 無所属で立候補の意向

自民党から「党員資格停止」の処分を受け、次の衆議院選挙で公認されない方向となった高木・元国会対策委員長は、地元の福井県敦賀市で記者団に対し「党の決定は重く受け止める。私にとって大変厳しい判断をされたと思うが、私たちが政治不信を招いたことが大きな原因であり、謙虚に受け止める」と述べました。

そのうえで、今月27日に投票が行われる見通しの衆議院選挙への対応について「ほかの党から出ることはないが、立候補させていただきたい。しっかりと初心に帰って襟を正し、いちから出直す気持ちで、反省しながら政治活動を頑張っていきたい」と述べ、無所属で立候補したいという意向を示しました。

旧安倍派幹部「『安倍派を潰す』ということなのだろう」

自民党旧安倍派で幹部を務めた閣僚経験者はNHKの取材に対し「すでに党による処分が終わっているにもかかわらず追加的な措置がなされるのはゴールポストを動かすようなもので合理的ではない。こうした判断がくだされたことに正直、驚いている。比例代表の名簿に載せないとの措置もあり『安倍派を潰す』ということなのだろう」と述べました。

旧安倍派の中堅議員「新党つくって出ていった方がよかった」

自民党旧安倍派の中堅議員はNHKの取材に対し「選挙に強い人たちだけが集まって仲間ばかりを叩いて自民党のことを考えていない。このようなことをするのなら、中堅・若手で新党をつくって出ていった方がよかった」と述べました。

立民 野田代表「国民の理解得られず」

立憲民主党の野田代表は都内で記者団に対し「石破総理大臣は、相当程度、公認しないというようなことを話したようだが、ミスリードではないか。きょう聞いたスキームでは、大半が公認される仕組みではないかと思っており、国民の理解得られることは全然できないと思う」と述べました。

公明 石井代表「国民の厳しい見方受け止め対応か」

公明党の石井代表は、党本部でNHKの取材に対し「公認するかや比例重複するかどうかは各党の取り組みなので、どうこう言うことは控えたい。自民党として国民の厳しい見方をしっかり受け止めて対応しているのではないか。注視していきたい」と述べました。

共産 山添政策委員長「恣意的に判断し公認の余地残す」

共産党の山添政策委員長は神戸市で記者団に「党員資格停止や党の役職停止の議員を非公認にするのは普通だ。説明責任を果たしたかどうかを基準にするのは何かはっきりした判断基準が出ているわけではなく、恣意的に判断して、公認の余地を残していると言えるのではないか」と述べました。

その上で「説明責任を果たしたかどうかで言えば、少なくとも国会で求めた政治倫理審査会には出席する必要がある。国民に対して、選挙で勝てばみそぎは済んだという前提を置いているような対応だ」と批判しました。

国民 玉木代表「抜本的な解決にはならず」

国民民主党の玉木代表は「不記載があった人は、全員非公認にするぐらい厳しく臨まない限り、とても自民党が変わるとは思えないし、抜本的な解決にはならない。対応は不十分だ」と述べました。

その上で「まずやるべきは再調査だ。再調査の結果が出るまでは選挙をしてはだめだ。中途半端な調査に基づいているうちは何をやってもまったく信頼は回復されない」と述べました。

れいわ 山本代表「真相究明を」

れいわ新選組の山本代表は「組織的な裏金作りの全容解明は行わず、選挙に負ければ死人に口なし。これが本質。選挙やってる場合か。真相究明と被災地に補正予算を」というコメントを出しました。

専門家「公認めぐる方針 一転して厳しいものに」

政治資金の問題に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は、「裏金議員も原則公認する方針だという一部報道があったが、それに対する批判的な反応もあって、公認をめぐる方針は一転して厳しいものになった。そして、それ以上に厳しいのが重複を認めないという方針だ。セーフティーネットとしての重複立候補がなくなるので、選挙に強くない候補者にとっては非常に厳しい判断だと思う」と話しました。

さらに、「処分の軽い議員などの公認は地元選挙区に対して十分に説明してるかを判断基準にするという非常にあいまいな対応で、今後どのような結果が出るか注目される。石破総理はかつての政治改革の旗振り役だったというイメージが非常に強く、国民の期待もあるので、甘い結論を出すと失望感が強くなる」と述べました。

そのうえで、「裏金問題について、国民に対し、石破さんなりの決着をつけたと言えるのかもしれないが、政治とカネの問題について今後どういう施策をやっていくのか、選挙戦などを通じてもっときちっと具体的な対応をとることが求められる」と指摘しました。

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