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当時、私が演じたお初は、戦後日本に登場した新しい女性像と重なるといわれ、社会的なブームを巻き起こしました。お初が、縁の下に隠した徳兵衛に素足を差し出して死ぬ覚悟を問う場面ですとか、夜中に徳兵衛と2人、心中に向かうところで、花道を徳兵衛の手を取って先に引っ込む場面に象徴されるように、女性が自分の意志で能動的に行動したからです。それで随分、新しい女形のように言われましたが、実は義太夫の息など、古典の素養の上に成り立っているものだったのですよ。
お初に出会えたことは、私の役者人生、いや、私の人生のなかでも運命のようなものだと思っています。「曽根崎心中」で近松に出会い、「近松って深いなあ」と思って、近松という作家を生涯かけて追い続ける自主公演「近松座」を昭和56年に結成しました。近松は上方和事の創始者、初代坂田藤十郎と組んで「けいせい仏の原」など多くの歌舞伎作品を生み出しています。それが平成17年の「坂田藤十郎」襲名につながっていくのです。
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米財務長官が欧州に内需拡大促す、独財務相と緊縮策めぐり見解相違も
米財務省高官は記者団に対し、緊縮策がどの程度、経済成長を圧迫するかをめぐり、ルー財務長官とショイブレ財務相の間で見解の一致が見られなかったことを明らかにした。
そのうえで、欧州は需要押し上げと高水準の失業問題への取り組みの必要性を認識しており、双方は合意が得られる分野について集中的に議論したという。
ショイブレ財務相は記者団に対し、欧州をはじめ、財政再建と成長戦略が同時に成り立たないとみなす国はないとし、「成長、もしくは持続的成長に配慮した財政再建というのがわれわれの共通の立場だ」と強調した。
フランスのモスコビシ経済・財務相との会談後の共同記者会見では、ルー長官は「成長戦略と財政再建策における均衡の取れたアプローチが必要というのがわれわれの見解だ」と語った。
また、米国が強い欧州に関心があることを強調。「われわれは今後も多くの長期的課題に対処するが、米経済の強さは海外での出来事に引き続き非常に敏感になる。われわれは豊かな欧州に強い関心がある」と語った。
長官はまた、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)とのインタビューで、米政府による経済問題への取り組みに言及したうえで、「欧州も同様に、一段の内需拡大に向けどのような措置を講じることが可能か検討する必要がある」と語った。
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西内啓『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社) を読む
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かつての日本企業は、その組織力の強さが世界の注目を集めていた。欧米の研究者には、組織力は1人1人の自発的な協力と組織への忠誠からつくられているように見えた。
だが実際には、もっと「しがらみ」だらけの窮屈な社会であったことは、日本人である私たち自身が知っている。
上司、先輩には逆らえず、理不尽なことにも耐えなくてはならない。それができない者は社会人失格のレッテルが貼られる。職場のお局さまの目が怖くて有給も取れない。社員旅行に参加しないと、後で何を言われるかわからない。女性というだけで、飲み会ではコンパニオンさながらの振る舞いをしなくてはならない。
私たちは、そのようなしがらみでがんじがらめになった会社組織に嫌気がさしていた。
しかしバブル後に、そのしがらみが徐々に緩んできた。理由は終身雇用制が崩壊し、労働人口の流動性が高くなってきたからだ。
労働人口の流動性が高くなるということは、職場での人間関係が短期的なものになりやすいことを意味する。昔のようにしがらみを気にしなくても、「自分の好きなようにしても構わない」という人が増えてくる。
しかし、そのような「しがらみからの解放」は、人間関係の崩壊も同時にもたらした。お互いのことをよく知らない、協力し合えない、そんな人間関係では組織は立ち行かない。
かくて、職場の鬱の問題は大きくなり、フリーライダーは増え、不機嫌な職場が蔓延する事態となった。
ここで、しかし1つの疑問が生じる。それは、日本よりもはるかに早くから労働人口の流動性が高かった米国などでは、同様の問題は起きていないのか、というものだ。結論から言うと、起こってはいるものの、それほど深刻ではない。なぜなら、米国に限って言うならば「協力的な個人主義」があるからだ。
現在の「集団嫌い、組織嫌い」の日本人は「孤立主義」だ。他者と関わること自体が面倒だと思い、協力するつもりにもならない。集団のしがらみから自由になることだけが目標で、孤独になることのリスクをあまり考えないやり方である。自分では意識していないものの、孤独であることには相当な心理的負担がかかる。それが引きこもりや新型うつのような形で出てくるのだ。
その証拠に、アメリカの初等教育で最も強調されるのが、「Be unique 」(個性的であれ)と「Team up」(チームをつくれ)という、一見矛盾に思える2つの考え方である。そして強烈な個性がチームをつくったときに、集団は信じられないほどのパフォーマンスを見せる。
組織のしがらみを脱するのは良いが、その後自分から良い人間関係を築いていかなければ、幸福感は得られない。しかし、今多くの日本人が組織のしがらみを脱することが目的となってしまい、その後のことを考えていないように私には思える。
それは、長らく日本社会は、そもそも自分から人間関係をつくろうとしなくても、勝手に人間関係のネットワークに「組み込まれる」社会だったからだ。何かに「所属」していれば、自然とその集団の人間関係の中に入り、そこに適応することを要求される。そこでは、入った集団のしがらみを気にする能力こそが重要であり、新たな関係をつくる能力を発達させるチャンスはない。
それが、鬱、引きこもり、ぼっち社員の増加など、現在の日本の職場における様々な問題となって噴出している。
個人主義の文化では、「個人個人は異なっている」という考え方を前提としている。その上で協力し合える関係をつくることが重要だという価値観を持っている。コミュ力とは、その価値観を体現できる力だ。
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【特別寄稿 岡崎久彦氏】第2期オバマ米政権 第2のニクソン・ショックはあるか
ニクソン・ショックは国際情報分析を生業とする私の転機ともなった。たまたま私が情報事務から遠ざかっていた半年間の、米中ピンポン交流や中国を孤立させないとしたニクソン氏のカンザスシティー演説を追いかけていれば十分予見できたことだった。あの時、キッシンジャー訪中を予告する電報を東京に送っていれば日本の政局にさえ影響していたかもしれない。
世界中の情報機関が調査分析といえば共産圏情報に特化してきた中、国際情勢の大きな潮流を掴(つか)むには何より米国情報とその分析が大事だということを、恐らくは初めて悟らしめたケースだった。「共産圏分析家などは偉そうな顔をしているが、本当に難しいのは米国の動向の分析なのだ」とは時の牛場信彦駐米大使の感想である。現に、20世紀は、米国の出方を読み違えて滅びたドイツ(2回)、日本、ソ連などの帝国の死屍累々(ししるいるい)たるものがある。
以来、米要人の演説や議会証言、主要紙社説、識者論文をフォローし米政治の流れを間断なく掴んでおく作業が、私の情勢判断の仕事の中心となっている。
そこで、オバマ、バイデン正副大統領、ドニロン大統領補佐官、ケリー国務長官の言動を見ていると、第2のニクソン・ショック、つまり日本に断りなしの対中接近がいつあっても不思議ではないように思う。
オバマ氏は2期目就任演説で、「我々は問題を平和的に解決する勇気を持つ。関与政策こそ長期にわたって猜疑(さいぎ)と恐怖を取り除くからである」と述べ、バイデン氏は夙(つと)にその論文で「冷戦的発想の対中戦略に与(くみ)しない」と明言している。
ドニロン氏は最近の演説で、「米中関係をライバルや対立という概念では捉えたくない。そして、台頭する大国は既存の大国と衝突する運命にあるという論理には反対であり、我々は中国封じ込めも拒否する」と言い、ケリー氏は国務長官指名承認の公聴会でアジア回帰に一切触れず、「中国の脅威に関しては、指名承認された暁に非常に慎重に調べてみたいことだ」と韜晦(とうかい)しつつ、「全ての行動には反作用が伴う」として中国脅威論を戒めている。