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『昭和の動乱(下)』
P109

共産党は、日本の鋒先きを極力ソ連より避けしめ、支那にける他の帝国主義国家、主として英国に向けんことを努力した。即ち、彼等の所謂一つの帝国主義勢力をもって、他の帝国主義勢力を駆逐し、両者ともに亡びる状態に導かんと計画したのであった。従って、支那事変の進行とともに、日本の武力をして北進を停止し、南へ南へと進出せしめ、英米との衝突に導くことは、彼等の心血を注いだところであった。
<中略>
米国における共産党は、米国政府及び世論を動かすために、極めて有効なる裏面的の活動をした。彼等の目的は、日米交渉を成立せしめずして、遂には日米を戦争に導くことであった。
<中略>
 尾崎は、捕えられた後に、検察当局に述懐して・・・「自分等の日本赤化運動は、すでにその目的を達し、日本は遂に大戦争に突入し、擾乱は起り、革命は必至である。自分の仕事が九分通り成功しながら、今その結果を見ずして死ぬのは、残念である」と述べた。
<中略>
 ゾルゲ事件は、この種事件の判明した一事件に過ぎない。共産党の世界にわたる組織は、政治、文化、経済の各部門に、或いは第五列として、或いは間諜として、あらゆる手段を用い、その目的を達するために、信念的暗躍を行っていることが、戦後次第に世界の人々に知られるところとなった。