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【正論】米新政権を占う 京都大学大学院教授・中西寛

いずれも、対立よりも融和を訴える基本的立場を守りつつ、微妙な問題から逃げない姿勢を示した点で、すぐれた政治感覚を表現することに成功した演説だったと言える。

 しかし演説能力だけでこなせるほどアメリカの大統領の職はたやすくないし、とりわけ今は困難が山積している。

日本を含めた東アジア諸国にとっては共和党政権の方が与(くみ)しやすかったことは否定できない。伝統的に共和党政権はアジア太平洋を重視し、安保関係を基軸としながら自由貿易体制を主導してきたからである。

 オバマ民主党政権は相対的に中国重視となるとの観測がある一方で、貿易、環境、人権などで摩擦が起きる可能性も共和党政権の時よりも高い。

 日本に対してはアジア最大の同盟国として重視する姿勢は共和党政権と共通するが、同盟の「実(じつ)」を求めてくるであろう。

 ただ、現時点では日本は慌てず、新政権との信頼関係の構築を目指すべきである。そのためには日本が世界、とりわけアジアにおいて責任を果たす姿勢を示し、また政権が国内で安定した政治基盤をもつことが前提となろう。