「あなたの本を読むのはとてもつらかったが、本当のことが書かれている」
「この本を読めば、20世紀と21世紀のことがよく分かるようになる」
私が強調したかったのは、CIAは大統領の下、米国の政治、行政の一部だということ。CIAは、ボスであるホワイトハウスが喜ぶ方向に分析結果をねじ曲げ、イラクが大量破壊兵器を保有しているとしてしまった。ベトナム戦争でもケネディ大統領暗殺でも、大統領が聞きたくないような情報や現実に直面したときが問題なのです。
この本を書いていた2年間は、毎朝4時に起きていました。これは母の影響かもしれません。84歳の今もUCLAの歴史学の教授として教壇に立ち、執筆しています。私が幼いころ、朝5時半に目を覚ますと、洗濯機の横で小さなタイプライターに向かっていた。その姿は忘れられません。
記者になって約30年ですが、そうした生活の中で、取材と執筆のバランスがとても大事だと考えています。
コンピューターやブラックベリーなどの携帯端末で見られるような「9秒前に起こったこと」、即時性に打ちのめされてばかりいると、大きな絵が見えなくなる。米国が世界でもう少し建設的な役割を担うためには歴史を学ぶ必要が、「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」を考えることが求められています。
私は特派員の経験を通じて、大都市だけでなく、村々で、本当に人々がどう生きているかを取材する経験を得ました。情報を収集する現場での足腰が弱い、CIAやFBIの大きな問題はそこにあるように思います。
私は新聞は生き残るだろうと思います。ただ、昨日起きたことを伝えるだけでは生き残れないでしょう。調査報道や、もっと長い文脈からの記事も必要でしょう。
新聞が死んでしまったら、政府に関する主要な情報源が政府自身になってしまうおそれがあります。政府が情報を独占したらどうなるのか、人類はとっくに経験しています。民主的で自由な社会のためには、自由に情報を得られる市民が不可欠で、そのためには新聞が生き残ることがとても重要なのです。