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【金曜討論】消費税率の引き上げ 榊原英資氏、石弘光氏

榊原英資

財源論はナンセンスだと思う。みんな財源にとらわれすぎている。日本は今、一般会計歳出の4割が国債の発行でまかなわれている。それなのに、財源の話になると、増税か歳出減かの二者択一になる。なぜ、国債発行を財源の選択肢に入れないのか。

医療は診療報酬も薬価も国が決める社会主義制度。しかし、技術は急速に進展し、高度医療が進んでいる。今のままでは滅茶苦茶な赤字になる。だから、最低限の医療は公的保険でカバーし、市場原理を導入する。ある程度以上は自費か民間保険で払う形にしないと、日本の医療は崩壊する。事実、外科や産婦人科は崩壊しかかっている。セーフティーネットを維持しながら、市場原理が効くようにすることが重要だ。お金のある人には払ってもらい、そうでない人は保険でみる

節約できる部分が民主党が言っているほどあるかどうかは、やってみないと分からない。だが、政権交代があれば、今までの制度を見直せる。増税を納得してもらうプロセスは必要だ。いろいろなところで身を切って努力して、それからどうしても必要なら増税でしょう

石弘光

『消費税を4年は上げない』と言っている間に、毎年1兆円ずつ増える社会保障費を削らざるを得なくなる。米国のような低福祉、低負担の国になり、貧富によって受けられる医療や介護に差が出る。格差は今以上に深刻になるよ

消費税と言った途端に票が離れるのは、昔のこと。賛否は拮抗してきている。感情論や願望も含めて反対は多いが、事態を見れば消費税以外に財源はない。特に若者は、負担増でも、福祉を切らないでほしいと言う。両親の介護を心配し、低負担ではサービスを維持できないと考えているからだ。年金への不安もある。負担と給付の関係を、われわれ世代以上に切実に考えている。健全だと思う

インフレの度合いや金利政策にもよるが、景気が良くなれば、利払いにも影響する。長期金利は1%上がれば、利払いが1・6兆円増える。景気が好転すれば増税しないで済むという理屈は破綻している。この景気では増税は難しいが、消費税で10兆円取っても、税収を医療や介護につぎこめば、そんなに大きなダメージにはならない

社会保障のような、コンスタントに毎年1兆円ずつ上がっていくものには安定財源が必要。それは消費税しかない。