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「頂きはどこにある?」著者 S・ジョンソン氏と作家・佐藤優氏対談

 ジョンソン ワオ。1人で監獄にいたときは、まさにこの本でいう「谷」だったと思います。そのとき、何か重要なことを発見しませんでしたか?

 佐藤 私が見つけたのは人間の信頼でした。

 ジョンソン 悪いとき(谷)を良いとき(山)に変えたということですね。

 佐藤 個別的なアドバイスはある意味で簡単で、カウンセラーでもできますが、難しいことを簡単に書くことは難しい。どういう着想で、この本を書くことができたのですか?

 ジョンソン 人は良いときも悪いときもある。それを誰にでも伝えられるような方法を探していました。

 佐藤 私はこの本を読んで、プラトンに似ていると感じました。構成が人物2人(若者と老人)の対話になっているということと、頂きと谷との行き来を繰り返す中で、お互いに成長していくからです。さらにこの本は、ブルーワーカーから企業のトップ、あるいは政治家まで色んな職業の人の抱える問題のすべてに役立つようにできている。普遍的な形で人間の問題を描いているという意味で、プラトンと同じことをやっていると思うんです。

 ジョンソン 今、鳥肌が立ちました。私にとってプラトンは重要な先生です。普遍的であるということは大事なことで、何か信じられる普遍的な真実に、われわれは信頼を寄せていかねばならないと思う。

 ジョンソン 特に感銘を受けたのは中国で、30年前は閉鎖的な社会だと思っていましたが、今回はまったく違っていました。中国では、私の本が合法的なものだけで200万部くらい出ています。1100万部くらい海賊版も出ていますが(笑い)。

 ジョンソン 中国をはじめ今経済発展を遂げている国について思うことがあります。西洋の知恵を学び、それを繁栄に結びつけることは良いことだ。ただ、東洋が昔から持っていた重要な考え方や哲学を忘れてはいけない。とかく西洋の価値観は物質主義に走りがちであるし、最近は東洋の新興国にもその傾向がある。西洋的な繁栄と東洋的な価値観のバランスを保つことが大事で、それは人にも国にも企業にも当てはまることだと思います。物質的な豊かさとともに精神的な静けさも保たねばいけない。

 佐藤 『頂き〜』にも『チーズ〜』にも、3つの要素があると思います。1つは超越性。ユダヤキリスト教の伝統です。2番目はギリシャ古典哲学、なかんずくプラトンの影響です。3番目は約束したことを守る−契約を重視するローマ法の伝統。この本を読むことで、われわれはこうした普遍的な価値を作っている西側の遺産を非常に的確につかむことができる。と同時に、それと違うわれわれ東側の伝統が分かるのでバランスが取れるんです。

 ジョンソン 「谷」にいると不安になると思いますが、それは長くは続かない。いつかは変わるということを忘れないでほしい。悪いときに大事なのは、こういうときに何を学び、どう使っていくかということ。過去にお金をいっぱい使っていた経験のある人であれば、今は貯蓄をして、生き方のスケールを小さくしてみてはどうか。今は厳しい時代ですが、シンプルなものに立ち返って、本当に大切な人たちとの関係を大事にするチャンスなのではないでしょうか。

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頂きはどこにある?

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