検察に詳しいジャーナリストの須田慎一郎氏は「検察はハチャメチャになっている」と、こう言った。
「このタイミングの強制捜査にはびっくりしました。なにも筋立てがないんですよ。ただやみくもにガサ入れして、領収書などが出てきたところで、事件にはならない。誰がいつ、どういう趣旨で、どういう請託をしたのか。こういう筋立てがあって、その裏付けのためにガサ入れはするんです。ところが、小沢幹事長の疑惑は、土地購入費用の4億円の原資に大手ゼネコンの裏献金が充てられていたのではないか、という漠然とした憶測しかないのです。だから、法務・検察内部では小沢氏を立件するのは無理だとみていた。政治的幕引きが話し合われていたくらいです」
シナリオが大きく狂ったのはさまざまな理由が考えられる。ひとつには、小沢がガンとして、事情聴取に応じなかったことだ。
「それでなくても、検察上層部と捜査の現場ではかなりの温度差があったのです。佐久間達哉特捜部長を中心に現場は石川を逮捕し、小沢疑惑の全容解明を狙っていた。店じまいを考えていた上層部に現場は強い反発を持っていました」(司法事情通)
しかし、こうして見ると、まさしく検察ファッショと言うしかない。最初から小沢憎し、小沢潰しなのである。検察のバックには、同じように民主党政権に人事介入されたくないオール霞ヶ関がついている。さらに、これまた民主党政権が気に食わない大新聞・TVが支援する。
となると、この「戦争」の最終決着もおのずと見えてくるというものだ。ガサ入れでよっぽどのブツが出てこない限り、小沢一郎逮捕はあり得ない。しかも、今回、ガサ入れしたところの多くは昨年3月の西松事件でもガサ入れしている。「何をいまさら?」という場所だ。前出の須田慎一郎氏は「検察に隠し玉はない。あればとっくにリークしているでしょう」と皮肉まじりに言う。
焦りや苦し紛れが透けて見える検察は今回、立ち上がれないような全面敗北を喫するかもしれない。