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【静かな有事】特別版 小宮山宏氏インタビュー 創造型需要を喚起せよ

 「やるべきことは3つ。まずは午後5時になったら家族が一緒に暮らせる雇用環境をつくる。2番目が保育所の問題。3番目が家庭への経済的支援。この3つがだいたいできれば、かなり変わる。フランス、デンマーク、スイス、スウェーデンでは、夕方になるといったん家に帰った人が再び街に出る。子供が走り回るのをみると『家庭はいいな』と思う人が増える」

 「やらないよりはいいが、順序でいえば1、2、3の3番目だ。保育所に子供を預けたい人が確実に預けられる体制をつくらなくてはいけない。父親が働いて家族を支え、妻が子供を育てて必死に頑張るというモデルは終わった。これに早く気づかなければいけない。核家族化した家庭に入り、夫は午後9〜10時まで帰ってこないと、女性は子供を産む気になるだろうか。そこが一番遅れている。1、2、3の順番通りに大事だ。決して逆ではない」

 「需要には2つある。『普及型需要』と『創造型需要』だ。例えば日本では自動車や家はもうみんなが持つようになった。道路などインフラもだいたいできている。これが『普及型需要』だ。しかし、人口はピークアウトしている。需要があるのは買い替えのときなどだ。ほとんどの先進国では普及型需要が飽和し、需要不足を招いている。だから普及型需要が旺盛な中国を中心に発展途上国にモノを売る」

 「中国でも普及型需要は早ければ2020年ごろには飽和する。遅くても2030年だ。次はインドに行くかもしれないが、こうした需要のあり方では人類の経済はやっていけない。じゃあ、もう需要がないのかとなるが、そこで重要となるのが『創造型需要』だ。これは新しい状況に対する需要であり、ひとつが環境分野、もうひとつが高齢化分野。これを意識して開発することができるかが重要だ。グリーンイノベーションを重視するのは正しい。日本はグリーンイノベーションに絶対に勝たなくてはいけないし、勝てる」

 「発想を転換させなくてはいけない。産業を興せば、国内総生産(GDP)が増え、人が幸せになる。これが明治以降の日本のモデル。それは『坂の上の雲』の時代、つまり途上国のモデルだ。そのための国策が所得倍増論であり、日本列島改造論だった。先進国になったら、さらに自分らの暮らしをよくしようと考え、そこに新しい産業が興る。結果的にGDPも増えて経済も成長する。これがこれからのモデルだ」

 「簡単にいかない。明治時代は外国人教師を呼んできたが、今度は新しいことをやろうとしているので先生がいない。だが、始めなければいけない。失敗もあるだろうが、やらないと人も育たない。これが先進国の苦しさだ。『坂の上の雲』の時代は先進国が美しい雲だった。われわれはそこに入ってしまった。雲に入れば中は霧だ。霧の中で前に進むのは勝手が違うが、進む以外にない。逆に初めておもしろい時代に入るということでもある。これはチャンスだ。どれほどの人がチャンスだと思えるかが重要だ」

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