今年2月、カナダで開かれたG7。ギリシャの財政破綻で激論が交わされたさい、日本の財政状況への懸念の声も上がった。もともと経済分野を得意としない菅氏は、各国の問いにうまく答えることができない。
そこを、財務官僚につけこまれた。「大臣、財政再建を早くしないと、国際社会から白い目で見られます」。
勝栄二郎主計局長は菅直人、野田佳彦の恐怖心をあおり、増税路線への転換を促した。
G7会合から約1ヵ月後、菅財務相は、自民党が通常国会に提出した「財政健全化責任法案」に目を通した。財政健全化への工程表が示されていた。
財務省の参事官らが内緒で自民党を手伝ってつくったのがこの法案だ。
前日の6月16日、自民党が消費税率10%をマニフェストに明記するという情報をつかんだ古川は菅首相と仙谷官房長官に「抱きつき戦術」を進言し、首相はそれに飛びついた。