小室氏を語る上で特筆すべきことは、非常に多岐にわたる学問を修めていることだ
小室氏をここまで学問へと突き動かしたものは、小室氏が12歳で迎えた敗戦があると、橋爪氏は話す。敗戦時、まだ若い小室氏が「世界がガラガラと崩れたような感覚」を覚え、その後、敗戦の屈辱を噛みしめながら、近代の基本原則を熟知する以外に欧米諸国に対する捲土重来を果たせる手段はないと考えたことが、小室氏をもっぱら学問の道へと向かわせたという。
小室氏は一貫して田中角栄を訴追した特捜検察や裁判所を批判したが、そこには高級官僚たちが「主人であるはずの市民を甘く見ている」ことへの怒りがあったと橋爪氏は言う。汗水垂らして働き、日本を支えている市民に民主主義を理解させ、ツールとしてその使い方を伝えることが、小室氏の仕事だった。「社会の構造への怒りを、学問で解決」(宮台氏)しようとした人生だった。
- 作者: 小室直樹
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