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はっきりいうと今は円高ではない - 藤沢数希

むしろファンダメンタルからいえばとても円高とはいえず、為替介入は政府による一部の輸出企業への補助金ではないのかという批判も根拠のないものとはいえない。

金融危機以前の世界経済はアメリカの信用バブルとグローバル・インバランスの拡大が進行していた。グローバル・インバランスというのは中国や日本やドイツのような輸出産業がさかんな国がひたすら経常黒字を拡大して、アメリカが経常赤字をどんどん拡大させていたことである。全ての国の経常収支を合計すればゼロになるのだから、日本が輸出でどんどん黒字を出すと、どこかがどんどん赤字をだしているわけで、それはアメリカだった。アメリカが世界中からモノやサービスをどんどん買っていたのだ。アメリカが経常赤字を出すということは、アメリカは外国からどんどんお金を借りたり投資してもらっているわけだが、日本や中国がアメリカ国債を大量に買ったり、アメリカの会社に投資したりしていた。


世界中からアメリカに集まってくるお金がアメリカで住宅バブルを引き起こしたりして、アメリカでは信用バブルが起こっていた。世界中がアメリカの資産を買い漁るので、ドルはどんどん強くなっていった。そして強いドルが外国からさらにモノやサービスを買いやすくして、アメリカの経常赤字を膨らませていった。


アメリカの信用バブルは、住宅バブルの崩壊を引き金に破裂し、リーマン・ブラザーズの破綻でバブル崩壊のクライマックスを向かえた。つまり金融危機以降に何が起こるかというと、信用バブルとグローバル・インバランスの拡大の反対のことが起こるのである。アメリカの経常赤字が縮小し、ちょうど鏡のような関係にある日本の経常黒字も縮小する。グローバル・インバランスの調整だ。その過程でアメリカの金融資産に向かっていた世界のお金も元に戻っていく。つまりドルが売られてドル安になるのだ。今までのバブルやグローバル・インバランスが持続不可能なもので、それが揺り戻しているのだから、高すぎたドルが安くなるのは当たり前で健全なことなのである。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20101010#1286668458
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20101005#1286236624