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「日本一新運動」の原点(39) ── 議会民主政治の原点を忘れた日本の国会

 菅首相は「消費税増税社会保障を整備し、財政再建をすることが、平成23年という時点で国会議員の責任である」という趣旨のことを方々で大言壮語している。果たしてそうであろうか。私はそうは思わない。消費税を福祉目的税にして、社会保障制度を整備するという政策は、30年前に実現すべきことである。菅首相の絶叫は30年古い。


 平成6年2月の「国民福祉税法案」構想が、最後のチャンスだった。潰したのは誰か、菅氏が所属したグループだった。歴史観がまったくない。

菅首相の消費税増税論は、本来あるべき税制の本質的改革を妨げるものである。

 私は財政再建に反対しているのではない。真の財政再建を実現させるためには「国民の生活が第一」という国家社会にとって、どうしても必要な仕組みをつくらなければならない。そのためには官僚の帳尻合わせの財政再建であってはならない。資本主義社会の変質に応じ、人間の価値観が変化向上しなければならない。いま最も大切なことは、国家社会や経済発展の決定的要因は「人間の精神のあり方」であることを、政治家たちが自覚することである。政治家や官僚、既得権をもつ人たちの意識改革が先だ。

 私は、大学時代の修士コースで「日本憲政史」を専門的に学び、衆議院事務局で33年勤め、12年間参議院議員として政治改革の実現を目指し、引退後六年間は政治評論を仕事としてきた。


 現存する日本人の中で、誰よりも議会政治の実務、歴史、理念などに精通するとともに、責任を強く感じている一人だ。

その私が断言したいのは、一昨年からの「小沢問題」(政治とカネ)は、政治謀略が検察を暴走させ、さらに裁判所まで法治国家を否定しようとしている恐ろしい問題である。

こんな状況だと、明治憲法下の帝国議会の方が、はるかに議会民主政治の原点を知る政治家が多かったといえる。昭和9年の帝人事件での検察ファッショは、軍部の拡大を抑えようとした斉藤実内閣を倒閣させることになる。しかし公判で、藤沼庄平警視総監は「起訴は司法省の行刑局長の塩野季彦らが内閣倒壊の目的を持って仕組んだ陰謀だった」と証言したことで真相が判明したのだ。いまこんな士(さむらい)の官僚はいない。


 その後の日本の軍部によるファシズムを阻止しようと浜田国雄、斎藤隆夫らが堂々と本会議で、議会主義を守るため弁論で戦った。今日の「小沢問題」を議会民主政治の危機として理解する国会議員は、きわめて少数だ。

こんなことだから、まともな政治ができないのだ。

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