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供給ショック時の経済政策の目的は、総需要の抑制|野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか|ダイヤモンド・オンライン

 第1は、災害によって生産設備や社会資本などが破壊され損傷し、生産力が落ち込むことである。これは、経済の総供給を減少させる。このフェイズは、通常は震災後の数ヵ月間、あるいは1年程度続く。ただし、今回の東日本大震災では、電力制約が長期にわたって続くと考えられる。


 第2は、復興のために巨額の投資が行なわれることである。投資は、企業の設備投資、住宅投資、社会資本に対する投資で生じる。これは、需要の増加を意味する。このフェイズは、震災後数ヵ月たってから始まり、数年間続く。

 この図において、フェイズ1は、ショックによる経済の落ち込みを示す。フェイズ2は、落ち込みからの回復過程である。このフェイズは、供給面の制約があるかないかで、大きく変わる。なければ、復興のための投資が有効需要となって経済を拡大させる。しかし、制約があれば、復興投資はクラウディングアウト(希少資源の奪い合い)を引き起こす。フェイズ3は、最終的な均衡に至る段階である。

東日本の経済活動の規模が大きいため、日本全体としての問題になってしまうのである。

 実際、生産活動が西日本に移動しても、問題は解決できない。なぜなら、そうなると今度は西日本で電力不足が発生してしまうからである。

戦災によって生産設備が破壊されたことも、供給ショックである。この時の復興投資は日銀引き受けの公共債(復興金融金庫債)によってファイナンスされたため、激しいインフレーションを引き起こした。この経験は、反面教師とすべきものだ。