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米中ファーストレディー外交 中国のねらいは NHKニュース

今月20日から中国を訪れているオバマ大統領のミシェル夫人は、23日は、北京の郊外にある万里の長城を見学しました。
ミシェル夫人はこれまで、習近平国家主席の彭麗媛夫人の案内で世界遺産故宮を見学したほか、北京の高校などを視察し、このうち、21日に訪れた北京市内の高校では書道や卓球を体験しました。
ミシェル夫人は、彭夫人に筆の持ち方などを教わりながら「永久」の「永」の字を書くと、彭夫人も筆をとり、「徳を高くしものごとを成し遂げる」という意味の漢字4文字を書いてミシェル夫人に贈りました。
また、卓球の後には彭夫人がミシェル夫人に対して、「40数年前、米中は小さな球を使って地球を動かした、『ピンポン外交』を行い、両国関係の改善と発展につなげた」と述べ、米中関係の重要性を強調しました。
さらに、21日は習主席みずからミシェル夫人と面会し、「米中関係は、両国だけなく世界にとっても非常に重要だ。両国が双方の努力を通じて『新しい形の大国関係』という目標に向けて前進すると信じている」と述べ、24日からオランダで開かれる核セキュリティーサミットに合わせて行われる予定のオバマ大統領との首脳会談に期待を示しました。
中国のメディアは、ミシェル夫人の中国での活動について連日、大きく伝えており、米中首脳会談に向けて友好ムードを演出するねらいがありそうです。

ミシェル夫人は、22日北京大学で行った講演で、「国家は、市民が自由に声を上げ意見を述べることができるとき、より強力になり繁栄する。表現の自由と信仰の自由、そして、情報への自由なアクセスは、すべての人類の権利だ」と述べました。
この発言は、インターネット上の一部のソーシャルメディアへのアクセスを制限したり人権活動家などを抑圧したりしていると国際社会から指摘されている中国政府を暗に批判したものと受け止められています。

ミシェル夫人の中国訪問について、アメリカの専門家は、底流に不信感がある米中関係を変えたいという思惑があるとみています。
米中関係の専門家で、ワシントンのシンクタンク、「ウィルソン・センター」のロバート・デーリー氏は、「ミシェル夫人が中国に滞在する1週間は、両国にとってここ数年なかった友好の時間となる」と話しています。
米中関係を巡っては、中国が去年、東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことや、東シナ海南シナ海で強硬ともいえる海洋進出の動きを続けていることにアメリカが警戒しているほか、先月には、オバマ大統領がチベット仏教の最高指導者のダライ・ラマ14世と会談し、中国側が厳しく抗議しました。
デーリー氏は、米中関係の底流には互いへの不信感が拭えない状況があると指摘し、その背景について、「中国は、アメリカが中国の台頭をくじこうとしているとみている。特に、オバマ大統領が掲げるアジア重視政策は中国の封じ込めだとみている。一方、アメリカは、中国の急速な軍備増強は、歴史の被害者だという認識を背景に東アジアの覇権国を目指すためだとみて警戒している」と説明しています。
こうしたなかでミシェル夫人が中国を訪問したことは「訪問自体は米中間の懸案を直接解決するものではないが、米中関係の雰囲気を変える機会となる」としています。
また、ミシェル夫人が母親のマリアン・ロビンソンさんと2人の娘、マリアさんとサーシャさんを同行させていることについて、デーリー氏は、家族と年長者を大切にしていると印象づけることで、中国国民の共感を得たいねらいもあると指摘しています。
オバマ大統領にとっては、ウクライナ情勢を巡ってロシアと激しく対立するなか、今回のミシェル夫人の訪中を通じて、中国とは良好な関係を確保したいという思惑もありそうです。