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MBSの自然減すら見送りか 薄氷を踏むFRBの出口政策|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

FRBの前回の利上げ局面(2004年6月から)で、政策金利の引き上げ幅は計4.25%に及んだ。


 当時は住宅バブルが燃え盛っていたが、今回はそのような過熱感はない。逆にイエレン議長は、住宅市場の回復が鈍化してきたことを気にし始めている。現時点では、来年半ばから始まると思われる政策金利のトータルの引き上げ幅は、前回引き締め時よりかなり小さくなると考えられる。


 11年6月のFOMCで出口政策の基本方針が決定されたとき、FRBは速やかに国債以外の資産は減らすことが望ましいというコンセンサスを形成した。MBSのような証券は、本来は中央銀行が持つべきではないという判断だ。


それは昨年、事実上撤回された。膨大な額のMBSFRBが市場に売却したら、住宅ローン金利が跳ね上がってしまうからだ。そこで、MBSは償還によってゆっくりと自然減少させる気の長い正常化策が代替案となった。


 ところが最近、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁は、相次いで、最初の政策金利引き上げ後も、しばらくの間、MBSを自然減すらさせない考えを示した。公式にFOMCで承認された考え方ではまだないが、FRBの幹部が、膨張したバランスシートの正常化よりも、政策金利の引き上げ回数を少しでも増やす方がいいと考え始めたことを示唆している。


 もしFRBが利上げを1%程度で止めざるを得なくなれば、「利下げカード」が十分に溜まらないうちに金融緩和に再び転換することになる。カードを数枚切ったらゼロ金利に戻ってしまうのではまずい。それは悪夢だ。QE4に追い込まれたらFRBのバランスシートは再膨張し、正常化が遥か遠くに行ってしまう。


「下げしろ」確保のためには、政策金利をある程度の水準(2%前後か?)に引き上げておきたい。よって、住宅市場の回復の腰を折らないよう、FRBMBS保有額は当面減らさず、住宅ローン金利の上昇を抑制する方がいい、と彼らは考え始めた様子だ。


 これは結局、QEが実は経済にそれほど効いていないことを意味する。「こんなに緩和しているのに、なぜ回復は弱いのか?」という昨年のサマーズ元米財務長官の問題提起に通じるテーマだ。かといって出口政策を当面見送ると言ってしまうと、後で厄介なバブルが起きる恐れがある。