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『民法案内1私法の道しるべ 第二版』
Pⅸ

 まさに、教授のいわれる通り。アメリカでは、判決を中心に、学生と教授とで、いきなり議論してゆくのだから、暗記をするな、とか、理解せよ、などという必要はない。理解するよりほかにしようのない教えかたをしているわけである。
 法律の教えかたも、学びかたも、そうあるべきだと思う。しかし、わが国の制度の下では、そうしたやりかたをすることはできない。

P1

 しかし、その前に、民法に限らず、すべて法律を学ぶときに心得ておかなければならないことをひと通り説明しておく必要がある。それは、しかし、極めて簡単なことである。法律を学ぶには、暗記してはだめだ、理解しなければならない、というだけのことである。
 これは、どの先生も諸君に注意することだと思うが、諸君には案外通じない。暗記してはだめだ、理解しなければならない、という意味がよくわからないからだと思う。そこでまず、理解するとはどういうことか、なぜ理解する必要があるのか、という点について説明することにしよう。

P34

 このことは、教科書を何べんも繰り返して読めということとは、全然違う。第一回に読むときにも、常に前のほうで一応理解したことにあてはめてみて、後のほうの理解を完全にするとともに、前のほうで一応した理解を深めるように心がけるということである。
 私は、学生時代から、教科書を何べんも繰り返して読むということはしなかった。頭の性質にもよることだから」、一概にはいえないだろうが、「理解する」ということのためには、何べんも読むよりも、ゆっくりかみしめながら読むほうが効果的だと思っている。
 私の学生時代の勉強のやり方は、その時代の大学の秀才の勉強のやり方をまねしたものだから、今日そのまま諸君にすすめることは適当でない。巻末に付録としてつけてあるから、参考にしていただくことにしよう。

P230

ただひとつだけいおう。私は、入学試験勉強としては、中学の三年からの教科書を全部極めて詳細・正確に復習することをその中心とした。受験のための参考書は、その時分にも、むろん沢山あったが、私はほとんど見なかった。狭く深く、徹底的に理解する。これが私の一生を通じての勉強方針といってよいかもしれない。

P232

 いま世にときめく自民党の幹事長(当時、後の内閣総理大臣岸信介君と特に親しくなったのは、この時からである。一高時代には、それほど親しくはなかった。私が首席で入学し、彼はビリから三番で入学したから、というためではない。同じ一高の寮にいても、室も違ったし、私は、田舎者のバンカラな生活を送っていたのに、彼は悠々として、歌舞伎の助六に感心したり、娘義太夫の昇菊昇之助に魂を奪われたりしていたからだ。

 話は横にそれたが、その岸君が一高一年の一学期に三番にとび上がり、卒業も、たぶん二番か三番だった。

我妻栄 - Wikipedia

1914年:山形県立米沢中学校卒業
1917年:第一高等学校卒業

岸信介 - Wikipedia

1914年(大正3年)、山口中学を卒業。間もなく上京して高等学校受験準備のため予備校に通ったが、勉強より遊び癖の方がつきやすく、受験勉強そっちのけでしばしば映画(当時は活動写真といった)や芝居を見に行ったりした。第一高等学校の入学試験の成績は最下位から2、3番目だったが、高等学校から大学にかけての秀才ぶりは様々に語り継がれ、同窓で親友であった我妻栄、三輪寿壮とは常に成績を争った。
1917年(大正6年)、東京帝国大学法学部に入学。法学部の入学試験はドイツ語の筆記試験だけで、難なく合格した。大学時代は精力を法律の勉強に集中し、ノートと参考書のほか一般の読書は雑誌や小説を読む程度で、一高時代のように旺盛な多読濫読主義ではなく、遊びまわることもほとんどなかった。我妻栄と二人で法律学の勉強に精を出し、昼食後や休講時などに、大学の運動場の片すみや大学御殿下の池の木などで、最近聞いた講義の内容や、二人が読んだ参考書などについて議論を戦わせた。
このころ岸は北一輝と大川周明の思想に魅了され、上海で大川に説得されて帰国した牛込の北を訪ねている。特に北について岸は「大学時代に私に最も深い印象を与えた一人」と認め、「おそらくは、のちに輩出した右翼の連中とはその人物識見においてとうてい同日に論じることはできない」と語っている

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http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140815#1408099476吉田茂麻生太郎