ウクライナ政府と親ロシア派の代表は5日、双方が停戦で合意し、ことし4月から続いてきた東部での戦闘の収束に向けて動きだしました。
しかし、親ロシア派の武装集団が攻勢を強めていた主要都市マリウポリでは、6日から7日にかけて、双方の間で戦闘が起き、現地の報道によりますと、女性1人が巻き込まれて死亡しました。
また、中心都市ドネツクでも7日、空港周辺から黒い煙が立ち上っているのが確認され、地元の行政府は「あちこちで銃撃音が聞こえる」と話しています。
こうしたなか、ドネツクの親ロシア派の幹部はロシアの国営通信に対し、「政府軍は攻撃をやめていない。挑発行為が続くようなら反撃命令を出す」と警告しました。
これに対して、ウクライナの国家安全保障・国防会議の報道官は、「合意は順守している。攻撃しているのは親ロシア派だ」と反論し、双方の対立が再び表面化しています。
ウクライナでは市民の間からも、停戦が守られるか懐疑的な声が多く、合意の発表から3日目で早くも停戦が危ぶまれる事態になっています。
ウクライナ東部の戦闘を巡って、ウクライナ政府と親ロシア派の代表は次の12項目で合意しました。
▽双方が攻撃を即時停止する。
▽OSCE=ヨーロッパ安全保障協力機構が停戦を監視する。
▽東部のドネツク州とルガンスク州の自治権の拡大のため「特別な地位」に関する法律を採択する。
▽ロシアとウクライナとの国境に安全地帯を設け、OSCEが監視活動を行う。
▽拘束されていた兵士や戦闘員を解放する。
▽ドネツク州とルガンスク州で起きた事件に関わった人たちを刑事訴追することを禁じる法律の採択。
▽国民対話の継続。
▽東部の人道状況を改善するための措置を取る。
▽ドネツク州とルガンスク州で繰り上げ選挙を実施する。
▽ウクライナの違法な武装集団や兵器、よう兵の撤収。
▽東部の経済復興と生活再建のためのプログラムを策定する。
▽協議参加者の安全を確保する、となっています。
ウクライナ政府と親ロシア派の代表が5日、合意した12項目のうち、すでに順守が危ぶまれる項目も出ています。
まず、攻撃の停止については、ウクライナ政府と親ロシア派双方が攻撃停止の命令を出したにもかかわらず、ドネツク州のマリウポリなど一部の地域では、散発的な戦闘が続いています。
また、東部の「特別な地位」を巡っては、親ロシア派が独立を諦めていないのに対し、ウクライナ政府は領土保全を求める立場を決して譲らないとしており、双方の主張は平行線をたどっています。
さらに、違法な武装集団や兵器、よう兵の撤収についても、ウクライナがロシア軍の撤退を求めているのに対し、ロシアはその存在そのものを認めていません。
ウクライナのメディアの一部は7日夜、親ロシア派に拘束されていたウクライナ軍の兵士15人が解放され、東部のドネツク州に隣接するドニエプロペトロフスク州で家族などと再会したと伝えました。
これについてウクライナ政府などから公式の発表はありませんが、ウクライナ政府と親ロシア派の代表は、5日、東部の戦闘を巡って12項目で合意し、この中に「拘束されていた兵士や戦闘員の解放」も盛り込まれています。
またウクライナ政府の高官は、拘束された兵士や戦闘員の交換は、早ければ6日にも始められ、1週間以内に完了するとの見通しを示していました。
Sporadic shelling in E. Ukraine threatens ceasefire, parties trade blame (VIDEO) ― RT News