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川内原発が新基準で合格 地元同意が焦点に NHKニュース

原子力規制委員会は、ことし7月、川内原発1号機と2号機で進められている九州電力の安全対策について、新しい規制基準に適合しているとする審査書の案をまとめ、一般からの意見を募集しました。
10日の規制委員会には、寄せられた1万7000通余りの意見を踏まえて表現を修正した審査書が示されました。地震や火山、重大事故などへの対策をもっと厳しくすべきといった意見が多く寄せられましたが、結論に変更はないとして、規制委員会は全会一致で審査書を正式に決定しました。
今回、募集の対象にしていない防災などに関する意見には、審査とは別に対応がとられるとしています。
決定の際、委員会の傍聴者からは「納得できない」「火山対策をもっと議論しろ」などの声が上がっていました。
審査書の決定を受けて、川内原発1号機と2号機は、3年前の原発事故後につくられた新しい規制基準の審査に合格した初めての原発となり、九州電力に再稼働に必要な許認可の1つの「設置変更許可」の文書が手渡されました。
九州電力の中村明上席執行役員は「今回の許可に基づいて設備の運用を確実に実施して原発の安全確保に努めたい。再稼働に向けては、まだ設備の詳細設計の認可などの手続きがあるので着実に進めていきたい」と話していました。
今後は地元自治体の同意など再稼働に必要とされる手続きがどのように進むかが焦点になります。法律の定めはありませんが、九州電力は、自主的に結んでいる安全協定に基づいて、原発が立地する薩摩川内市と鹿児島県の同意を得たいとしています。
これに関連して鹿児島県は、審査書の内容について、来月9日から薩摩川内市など原発の30キロ圏内にある5つの市や町で住民説明会を開くことを決めました。
ただ、今回決定した審査書以外にも、詳しい設備の設計や原発の運用体制について規制委員会の認可を受ける必要があり、地元の同意が得られた場合でも、九州電力が目指す川内原発の再稼働は早くて12月以降になる見通しです。

川内原発の審査書を決定したことについて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は会見で、「法律に基づいて求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認した。今後、ほかの認可の手続きや使用前検査があるので、引き続き詳細な部分の確認を進めていきたい」と述べ、川内原発が再稼働する場合に最低限必要な安全の水準に達したという認識を示しました。
新しい規制基準が施行されてから1年2か月が経過したことを問われると、「1つの大きなステップを踏み出したということだと思う。このあとにたくさんの審査が控えているので着実に進んでいきたい」と述べました。
一般からの意見募集で防災に関する意見が多く、原子力規制委員会が住民の避難計画を審査すべきだいう意見が寄せられたことについては、「防災対策は内閣府の担当で、規制委員会は技術的な指針を示すと分担が決まっていて、われわれとしてできることをやっている。3年前の事故を踏まえて、それなりに工夫されていることがきちんと理解されれば、安心感を持ってもらえると期待したいが、安心は強制するものではない」などと理解を求めました。

ことし7月に示された川内原発の審査書案に対しては、一般から地震や火山、重大事故の対策などをもっと厳しくするべきだという意見が寄せられましたが、原子力規制委員会は大半の意見について、「これまでの審査で対策が十分だと確認している」として、大きな修正はせず、新しい基準に適合するという結論は変えませんでした。
寄せられた意見は、地震や火山、重大事故といった審査の内容に関わるものから防災や地元への説明といった審査で扱われていないものまで、幅広い分野にわたる1万7000通余りに上りました。
想定される最大の地震の揺れの評価については、「ほかの原発に比べて過小に評価しているのではないか」という意見が寄せられましたが、原発の場所の特性を十分に考慮して評価されていて妥当性を確認していると回答しました。
規制委員会の有識者会議で議論が続いている火山対策については、「原発の運用期間中に巨大噴火の可能性が十分に小さいと判断する根拠や基準が不十分ではないか」という意見が寄せられましたが、地下にたまっているマグマの状況の評価などから巨大噴火の直前の状態にはないことを確認しているとしています。
重大事故の対策を巡っては、「航空機の墜落に備えた設計上の対策は確率が低いため不要だとされているが、墜落事故だけでなくテロを考慮すべきだ」といった意見が多く寄せられましたが、「テロの確率を想定するのは難しいので設計上の対策は考えないが、施設が大きく壊れた場合の対応手順などを審査で確認している」と回答しています。
さらに今回、募集の対象となっていない防災対策について、「住民の避難計画が審査対象になっていないため不備がある」などの意見が寄せられましたが、審査とは別に「原子力災害対策特別措置法に基づいて対応がとられる」としていて、審査書には反映されていません。

川内原発 再稼働に必要な手続きとは NHKニュース

今後の手続きの流れです。原発の再稼働には法律上、「設置変更許可」と「工事計画認可」、それに「保安規定変更認可」という3つの許認可が必要です。
このうち「設置変更許可」は、原発の設備や機器の基本設計が新しい規制基準に適合しているとして審査書が決定した原発に対し出されるもので、10日、原子力規制委員会が3年前の原発事故後、初めて出しました。
これを受けて、九州電力は今後、原発が立地する薩摩川内市と鹿児島県から再稼働の同意を得たいとしています。一方、地元の鹿児島県は、川内原発の30キロ圏内にある薩摩川内市いちき串木野市など合わせて5つの市と町で住民説明会を来月9日以降順次開き、規制委員会から審査結果の説明を受けたいとしています。その後、薩摩川内市議会と市長、それに県議会の意向を確認したうえで、県知事が再稼働に同意するか判断するとしています。


こうした地元の同意を得る動きと並行して、再稼働に必要な認可や最終的な検査の手続きも進められます。
九州電力は、▽安全設備や機器の詳しい設計書や地震の揺れに耐えられるかを計算した膨大な資料、▽それに重大事故対策の体制や訓練などに関する規定を今月末をめどに規制委員会に提出する予定です。


これらが認められると「工事計画認可」と「保安規定変更認可」という2つの認可が出されます。さらに新しい設備を対象に「使用前検査」という設備の完成後の検査を受ける必要があります。
こうした認可や検査には少なくとも2か月ほどかかるとみられます。

川内原発 再稼働に向けた課題は NHKニュース
川内原発 周辺自治体や住民の反応は NHKニュース

徳永みちお

川内原発再稼動へ合格証を出した今日の記者会見で、「(火山の予測や影響について)現在の科学の知見をねじまげて審査書を出すと、いわゆる安全神話の復活になるのではないか?」という記者の質問を無視する田中委員長。(画像は報道ステーションより)