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【巨編に挑む】小林秀雄「本居宣長」 「古事記」に感じる古人の語り - MSN産経ニュース

 宣長の思想を理解するために通常行うのは、彼と同時代、あるいは先行する学者たちの思想と付き合わせて、影響関係を比較検討する作業である。真っ当なアカデミズムの方法だが、小林に言わせると、《宣長という人間に近附くのに有力な手段であり、方法であるには違いなかろうが、この方法が、いつの間にか、方法の使用者を惑わす》。


 もちろん、小林は宣長に関する多数の研究を参照しているし、その成果はこの大著の中でも随所に引かれている。アカデミズムの方法を完全に否定しているわけではないが、それだけでは足りない、と言うのだ。


 では、方法に惑わされずに人間・宣長を知るにはどうすればいいか。《彼にとって、「古事記」とは、吟味すべき単なる史料でもなかったし、何かに導き、何かを証する文献でもなかった。そっくりそのままが、古人の語りかけてくるのが直かに感じられる、その古人の「言語(モノイヒ)のさま」であった》。宣長古事記に没入したのと同じように、現代人の賢(さか)しらな理屈を捨てて宣長の心に寄り添い、彼が考えたように考えてみること。そうすれば、「古人の語りかけてくるのが直かに感じられる」。

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