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景気失速!実は安倍政権がこっそりアベノミクスに見切りをつけていた!|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見

 服部茂幸・福井県立大学経済学部教授(専攻・理論経済学)が書いた『アベノミクスの終焉』(岩波新書)は、客観的なデータで、「アベノミクスによって日本経済は回復しつつある」というシナリオのいくつもの“つまずき”を明らかにしている。


 その“つまずき”の1つとして挙げているのが、第一の矢による、円安の下での輸出拡大の失敗だ。


「金融緩和の目的の1つは円安によって輸出を拡大させることであった。浜田(宏一・米エール大名誉教授(内閣官房参与))も岩田(規久男・日銀副総裁)も日銀が金融緩和によって円高を防がないでいることが、日本の製造業の国際競争力を損ね、苦境を作り出していると述べていた。安倍首相も、二〇一三年四月の党首討論で、一三年度の経常収支が間違いなく四兆六〇〇〇億円の黒字になる。そして、それは間違いなく賃金に変わると断言した」(同書より/カッコ内は引用者による)


 しかし、現実には輸出が増えることで増加するはずの13年度の経常収支は8000億円の黒字にすぎなかった。


「黒字ではあるが、安倍首相の約束と比べれば遥かに小さい。しかも、一四年第一・四半期の経常収支(季節調整値)は一兆四〇〇〇億円の赤字である。一年に換算すると、五兆円を超える大幅な赤字である。(略)円安にもかかわらず、輸出が伸びず、円安に加えて経済成長率が低迷しているのに、輸入が急増しているのが現状である。深刻な状況といえよう」(同書より)


 同書では、輸出が伸びない理由に、中国をはじめとする世界的なバブルの終焉をあげているが、そのほかに「海外での現地生産が進んでいる」ことが大きな要因だと最近の新聞各紙でも分析されるようになった。


 つまり、円安のメリットはアベノミクス推進論者が喧伝していたほど大きくはなかったことがわかる。4兆6000億円の黒字が賃金に変わるという安倍首相の約束はどこに行ったのか!?


 さらに同書では第二の矢による「公共事業拡大による国土強靭化」は自民党を支える建設業界を潤わせただけで、「今後、供給能力が不足する建設業界で需要を拡大させても、生産の拡大には結び付かない」。第三の矢「成長戦略」は始まってもいないという。いや、始まってもいないというか、おそらく始まらない可能性が高い。どうも、アベノミクスはすでに「終わっている」ようなのだ。

 実は、政権自体も、三本の矢のアベノミクスに見切りをつけた可能性が高い。9月29日の臨時国会冒頭の首相の所信表明演説。安倍首相は演説の中で、臨時国会の重要課題と位置付ける「地方創生」と「女性が輝く社会」を強調したが、その一方で「三本の矢」という言葉を使わなかった。


「三本の矢は世の中の空気を一変させた」(昨年10月の所信表明演説
「日本経済も三本の矢によって自信を取り戻しつつある」(今年1月の施政方針演説)


「三本の矢」は首相が政権の経済政策をアピールするのに使ってきたキラーフレーズだったのに、今回の所信表明では一言も発せられなかったのである。


 東京新聞は9月30日付紙面で「首相所信表明『経済』進まず『地方』前面」と題し、「成長戦略がうまくいかない局面で『地方』を持ち出して、国民の目先を変えようとしている」という政府関係者の解説を紹介している。

 しかも、冒頭の麻生財務相の発言のように、安倍政権はなお、消費増税を断行する姿勢を崩していない。この状況で消費税が10%に引き上げられることになったら、消費はさらに落ち込み、日本経済が奈落に落ちていくのは目に見えているではないか。