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【正論】年頭にあたり 高朗なる明治の精神に立ち返れ 東京工業大学名誉教授・芳賀綏 - 産経ニュース

 じつは、有名な神格否定の宣言は詔書後半に置かれていて、明治大帝が内外に宣せられた「五箇条の御誓文」の引用から詔書は始められている。この引用は、日本の民主主義は敗戦を機に取って付けたものではなく、明治初年、「廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スベシ」と始まる五箇条の御誓文にその根本理念が明示されており、近代日本の国家運営は民主主義を基底として出発した旨も、この詔書で明らかにしたい、という昭和天皇のご意向によるものだった(平川祐弘『平和の海と戦いの海』。詔書全文も同書に付録)。


 右のご意図は、日本を占領した連合国側の意思とも矛盾していない。ポツダム宣言の対日要求にも、「日本における民主主義的傾向の復活強化」を不可欠とする条項がある。旧敵国は日本の「民主主義的傾向」を明治以来のものと見ていたのか、大正民本主義あたりからと見たのか? ともかく、軍国一色以前から民主政治の歩みが存在したことを彼らも認識していたのだ。


 年頭詔書はGHQ(連合国軍総司令部)ほかの外圧は一切なしに発意された(多くの俗説とは違う)が、それは昭和天皇が確信された近代日本の起点と基軸を明快に示すものでもあった。

 昭和天皇と同じ見方を、敗れるやすぐさま言明した言論人があった。後に宰相となる石橋湛山だ。

 昭和天皇は明治の原点こそ戦後の原点であると教えられた。湛山も同じ精神を敗戦と同時に筆にした。戦後を歩むには明治の初心に立ち返れ。「復初の精神」である。復初はただの復古ではない。原点の確認と建設的な改良である。若返りなのだ。


 21世紀の日本人が志すべきは、近代国家発足のさわやかな初心を追体験することである。

新年ニ當リ誓ヲ新ニシテ國運ヲ開カント欲ス國民ハ朕ト心ヲ一ニシテ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ - Wikisource

茲ニ新年ヲ迎フ。顧ミレバ明治天皇明治ノ初國是トシテ五箇條ノ御誓文ヲ下シ給ヘリ。曰ク、
一、廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スヘシ
一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ經綸ヲ行フヘシ
一、官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメンコトヲ要ス
一、舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一、智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
叡旨公明正大、又何ヲカ加ヘン。朕ハ茲ニ誓ヲ新ニシテ國運ヲ開カント欲ス。須ラク此ノ御趣旨ニ則リ、舊來ノ陋習ヲ去リ、民意ヲ暢達シ、官民拳ゲテ平和主義ニ徹シ、繁養豐カニ文化ヲ築キ、以テ民生ノ向上ヲ圖リ、新日本ヲ建設スベシ。
大小都市ノ蒙リタル戰禍、罹災者ノ艱苦、產業ノ停頓、食糧ノ不足、失業者筯加ノ趨勢等ハ眞ニ心ヲ痛マシムルモノアリ。然リト雖モ、我國民ガ現在ノ試煉ニ直面シ、且徹頭徹尾文明ヲ平和ニ求ムルノ決意固ク、克ク其ノ結束ヲ全ウセバ、獨リ我國ノミナラズ全人類ノ爲ニ、輝カシキ前途ノ展開セラルルコトヲ疑ハズ。
夫レ家ヲ愛スル心ト國ヲ愛スル心トハ我國ニ於テ特ニ熱烈ナルヲ見ル。今ヤ實ニ此ノ心ヲ擴充シ、人類愛ノ完成ニ向ヒ、獻身的努カヲ效スベキノ秋ナリ。
惟フニ長キニ亘レル戰爭ノ敗北ニ終リタル結果、我國民ハ動モスレバ焦躁ニ流レ、失意ノ淵ニ沈淪セントスルノ傾キアリ。詭激ノ風漸ク長ジテ道義ノ念頗ル衰へ、爲ニ思想混亂ノ兆アルハ洵ニ深憂ニ堪ヘズ。
然レドモ朕ハ爾等國民ト共ニ在リ、常ニ利害ヲ同ジウシ休戚ヲ分タント欲ス。朕ト爾等國民トノ間ノ紐帶ハ、終始相互ノ信褚ト敬愛トニ依リテ結バレ、單ナル神話ト傳說トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神トシ、且日本國民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル觀念ニ基クモノニモ非ズ。 朕ノ政府ハ國民ノ試煉ト苦難トヲ緩和センガ爲、アラユル施策ト經營トニ萬全ノ方途ヲ講ズベシ。同時ニ朕ハ我國民ガ時艱ニ蹶起シ、當面ノ困苦克服ノ爲ニ、又產業及文運振興ノ爲ニ勇往センコトヲ希念ス。我國民ガ其ノ公民生活ニ於テ團結シ、相倚リ相扶ケ、𥶡容相許スノ氣風ヲ作興スルニ於テハ、能ク我至高ノ傳統ニ恥ヂザル眞價ヲ發揮スルニ至ラン。斯ノ如キハ實ニ我國民ガ人類ノ福祉ト向上トノ爲、絕大ナル貢獻ヲ爲ス所以ナルヲ疑ハザルナリ。
一年ノ計ハ年頭ニ在リ、朕ハ朕ノ信褚スル國民ガ朕ト其ノ心ヲ一ニシテ、自ラ奮ヒ自ラ勵マシ、以テ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150101#1420118106
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20121206#1354803003