https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

アングル:自衛隊の邦人救出、人質事件で今国会の論点に急浮上  | Reuters

1月下旬に始まった今年の通常国会では、集団的自衛権の行使を可能にする法案審議が焦点になるはずだった。しかし、今回の人質事件を受け、海外で日本人が拘束された場合に自衛隊が救出に行けるのか、という点がにわかに注目され出した。


海外で邦人がトラブルに巻き込まれた際、現行法で自衛隊に許されている活動は、輸送に限定されている。


しかし、安倍首相は1月29日の衆院予算委員会で「領域国の受け入れ同意があれば、自衛隊の持てる能力を生かし、救出に対して対応できるようにすることは国の責任だ」と語り、任務の拡大に意欲を示した。

自衛隊による邦人救出は、安倍政権が昨年7月の閣議決定で法整備を進めることを決めており、今回の事件を機に降って湧いた話ではない。


ただ、元防衛相の小池百合子衆院議員は1月30日のロイターとのインタビューで「検討しなければならないケースが増えた」と語り、今回の事案が新たに政府内の議論や国会審議、実際の法整備に影響を与えうるとの見方を示している。

後藤健二さんと湯川遥菜さんの拘束が明らかになった直後、政府は自衛隊の邦人救助が国会などで議論になることを見越し、統一見解をあらためてまとめ、論戦に備えていた。国家安全保障局が作成した想定問答集には「領域国の同意に基づく邦人救出などの警察的な活動ができるよう法整備を進める」との文言が盛り込まれていた。


つまり、テロ集団などに邦人が拘束されたケースで、その場所が現地政府の実効支配下にあって治安が維持され、かつ同政府の許可を得ることができれば、武力行使を伴わない警察力として自衛隊を派遣できるよう法整備をする、との方針だ。

だが、現場の自衛隊の指揮・命令に責任を持つ立場の防衛省関係者は、自衛隊が実際に救出作戦を行うのは現実的ではないとの見方を示す。領域国の支配が及ぶ地域に警察力を送るのは、相手国の主権にかかわる問題であり、同意を得るのが難しいと見る。


一方、支配が及んでいない地域には組織的な武装勢力がいる可能性が排除できず、武力衝突につながる恐れがあるとして、現行憲法の枠内では自衛隊を派遣できないとの法的解釈が維持されている。


その関係者は「どういう場面があるのか、考えにくい」と話す。


能力面でも問題点を指摘する。陸上自衛隊には、オウム真理教による一連の事件後に創設準備が始まり、2004年に発足した「特殊作戦群」と呼ばれる部隊がある。海外で人質を救出するには、対テロ作戦を主任務とする彼らが派遣される可能性が高いとみられる。


しかし、日本はインテリジェンス(情報能力)が弱く、人質の居場所を特定することが難しいと、同関係者は言う。

それでも、邦人救出に向けた法整備は議論が進みそうだ。海外での自衛隊の任務拡大に慎重な公明党も、井上義久幹事長が1日朝のテレビ番組で「国民の間にも、何とかできないのか、という率直な意見があると思う」と指摘。「これからしっかり協議していかなければならない」と語っている。


人質救出のケースとして有名なのは、1976年にイスラエル軍ウガンダエンテベ空港で行った「サンダーボルト作戦」。人質105人のうち犠牲者は3人で、今も成功例として引き合いに出されることが多い。


「法整備をしたとしても、日本はサンダーボルト作戦のようなことは絶対にできないと思う」と、小池衆院議員は言う。「でも、今は備えもなく、選択肢さえない。選択肢として持っていることで抑止力になる」と、同議員は話す。

邦人救出活動 国会論戦の焦点の1つにも NHKニュース

海外で日本人がテロなどにあった場合、現在は、相手国の同意があったとしても、自衛隊が武器の使用を前提として救出活動に当たることは認められていません。
このため、政府は、去年7月の閣議決定で、日本人がテロなどにあった国の同意があり、その国の権力が維持されている範囲なら、自衛隊が救出活動に当たれるようにするとしており、安倍総理大臣は国会答弁で、「邦人救出の際に、自衛隊の持てる能力を生かし、対応できるようにすることは国の責任だ」と述べています。
政府・与党としては、イスラム過激派組織「イスラム国」によるとみられる日本人殺害事件も踏まえ、「日本人の救出を外国に頼るわけにはいかないという国民の声がある」として、安全保障法制の一環として、今の国会で、海外での自衛隊による日本人の救出活動の在り方を検討する考えです。
これに対し、野党側は、民主党が、外国の警察権に関わる問題であり、安全保障法制の枠組みの中で議論すべきではないとしているほか、維新の党も、能力の面などから自衛隊の派遣は難しいとしています。一方で、野党側からは、民主党岡田代表が「このような事態が二度と起こらないよう、今回の事件への対応を検証することが必要だ」と述べるなど、今回の政府の一連の対応を国会で検証すべきだという指摘も出ており、今後の国会論戦で焦点の1つになることも予想されます。