オバマ大統領は6日、議会に対しアメリカの国家安全保障戦略について報告しました。
この中でオバマ大統領は「われわれは『イスラム国』を弱体化させ、最終的には打ち負かすための国際的な行動に参加する60か国以上を主導している」と指摘しました。
そのうえで、地上で戦うイラク軍やシリアの穏健派の反政府勢力への訓練を進め、「イスラム国」の壊滅を目指す決意を強調しました。
一方、アジア政策については、「アメリカは引き続き太平洋地域の大国であり、日本などとの同盟関係を強化していく」として、アジア重視政策を進める考えを改めて示しました。
そして、「もっと開かれた経済を実現するためアジアの国々と協力しており、TPP=環太平洋パートナーシップ協定がその取り組みの中心だ」として交渉妥結を目指す考えを強調しました。
また中国については、「平和的な台頭は歓迎するが、軍の近代化やアジアでの影響力の拡大を注視していく」とけん制し、領土を巡る問題は国際法に基づいて平和的に解決するよう求めました。
さらにウクライナ情勢を巡ってはロシアを非難し、制裁を維持していく考えを示しました。
ライス大統領補佐官は6日、ワシントンでオバマ政権の国家安全保障戦略について講演しました。
この中でライス補佐官は、アジア重視政策について「われわれの戦略はアジア太平洋地域に焦点を当てることだ。長年続く同盟関係を深化させていく」と述べ、日米同盟などを強化していく考えを強調しました。
そして、安倍総理大臣と中国の習近平国家主席にアメリカを公式訪問するよう招請したことを明らかにするとともに、ことし韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領やインドネシアのジョコ大統領などアジアの指導者がホワイトハウスを訪れることに期待を示しました。
一方で中国については「建設的な関係を築くとともに領有権を巡る主張を押し通すため力を用いることなどには立ち向かう」と述べ、けん制する姿勢も崩しませんでした。
また、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について「われわれはアメリカのビジネスのためにさらなる市場を開放しようとしている」と述べ、交渉妥結を目指すとともに、そのために必要とされる法案の成立に向けて議会と連携していく考えを示しました。