中国国有の化学メーカー、「中国化工集団」は、23日、イタリアの大手タイヤメーカー、「ピレリ」のすべての株式を71億ユーロ(日本円にしておよそ9200億円)で買収することで大株主などと合意したと発表しました。
ピレリは1872年に創業したイタリアの製造業を代表する企業のひとつで、中国化工集団としては、今回の買収によって、ヨーロッパの販路を確保するとともにピレリの持つ高性能のタイヤの製造技術を獲得するねらいもあるものとみられます。
一方、ピレリにとっても、成長が続くアジア市場で、日本の「ブリヂストン」やフランスの「ミシュラン」などとの競争が激しくなるなか、中国化工集団の持つ販路を生かして収益を拡大したい考えです。
ヨーロッパでは、中国が設立を提唱するアジアインフラ投資銀行にイギリスやドイツ、フランス、イタリアなどが参加を表明するなか、イタリアを代表する企業が中国企業に買収されることになったことで、ヨーロッパで中国企業の影響力が拡大していることが改めて浮き彫りとなりました。